ファッションが表現する人生観について書いてみました。
ひと目でトレイルランナーだと分かる服装で会話が弾む
大阪出張。お客さんのオフィスにお邪魔して打ち合わせをしてきました。「遠くからありがとうございます」といつも笑顔で出迎えてくださる担当者さん。
彼の服装を上から眺めてみると、パタゴニアのキャップ、パタゴニアのTシャツ。足元はOnのランニングシューズ、腕にはアップルウォッチ。顔や腕はしっかりと日に焼けています。
「あれ、もしかして○○さんってトレランやってますよね?」
「そうなんですよ!ハダさんもやってるんですか?!」
打ち合わせもほどほどに、トレイルランニング話で大いに盛り上がったのは言うまでもありません。あー、楽しかった!!
「今度、六甲山でも一緒に走りましょうよ」
「ルナサンダルで山を走るとめっちゃ気持ちいいですよ」
「一泊二日のファストパッキング(軽量登山)にハマってるんですよ」
お互いがスーツを着て打ち合わせをしていたらきっとこんな話題にはならなかったはずです。会話の内容は着ている服一つでこんなにも変わるんだと楽しい体験をしました。
着ている服から人生観が見えてくる
「パソコンやスマホばかり触っていないで、人はもっと自然の中で活動した方がいいはずなんですよね。そうでないと本来の人間性を失ってしまうと思うんですよね」
と担当者さんがおっしゃっていたのが印象的でした。
彼は六甲山近くに居を構え、トレイルランニングだけでなく、キャンプや登山、渓流釣り、トライアスロンなど自然志向&スポーツマンなライフスタイルを体現しています。ちなみにその日も家まで走って帰る予定なんだそう!
一方で、仕事では業界を変えるんだと大きなビジョンを描きながらバリバリと事業を進めています。
ワークライフバランスだとかワークアズライフだとかいろんな言葉が飛び交う昨今ですが、ライフもワークも全力で楽しもうとする生き方が本当にかっこいい。こんなおじさんになりたい。
着ている服は、好みや趣味だけではなく、生き方や人生観までも表現するものなんだなと感じたのでした。
パタゴニアの店舗で薪ストーブが売られているワケ
先日訪れたパタゴニア京都店では店頭に薪ストーブが販売されていました。え、京都ど真ん中のアパレル店舗で薪ストーブを売るの!?
販売されているのは、南スペインのストーブブランド・PANADERO(パナデロ)。店内にバイオマス燃料、再生可能エネルギー、カーボンフリーといったキーワードが並んでいるのは非常に新鮮です。
思わずパタゴニアがチョイスする薪ストーブってどんなものなんだろうと調べた自分がいたのでした。
よく考えてみると、パタゴニアのような地球環境に寄り添うアウトドアメーカーを好むユーザーと、火のある生活を実現する薪ストーブの親和性は非常に高いはずです。
ノースフェイスやアークテリクスは薪ストーブを売らないけど、パタゴニアやスノーピークが薪ストーブを売るのはなんとなくイメージがわきますね。
再利用できて捨てずに取っておきたくなる工夫あり!パタゴニアのブランディングは封筒一枚にも表現されるこの封筒のアイデアも素晴らしくて驚きました。
パタゴニアはオーガニックで環境負荷の少ない、持続可能な食品コレクション「パタゴニア プロビジョンズ」も展開しています。ビールやサーモン、ムール貝、豆など展開は多岐に渡ります。美味いんだな、これが。
パタゴニアのミッションステートメントはこちら。
- 最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。
- そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する。
アパレルメーカーだからといって服しか売らないのではなく、このミッションを実現するために薪ストーブや食品だって売る。全ては一貫しています。
「自分たちは○○屋だ」と自らが規定した枠にハマって目線を狭く低くしてしまうことは少なくありません。自分の仕事は材木屋です、といつも答えてしまうので反省。
「今やっていること」だけで事業を考えるのではなく、「自分たちが実現したい社会」に焦点を当てて、ユーザーに、社会に、何を提案するのかを考え抜く姿勢をパタゴニアから感じました。
フィリップ・コトラー先生も「ブランドを広告するのではなく、ブランドを体現せよ」って言うてました。
生き方をさらけ出す手段としてのファッション
- デザインが好み
- コスパが高い
- 体型に合っている
- 着心地や素材感が良い
どんな服を、どんな理由で身にまとうかは百人百様です。
自分自身はファッションに疎い三十路前の男。良いのか悪いのか、東京を離れ田舎で生活し、歳を重ね、いっそう顕著になってしまいました。
我が家にテレビはありません。雑誌も買わないので今年のファッショントレンドなんてまったく分かりません。
- コスパ重視で全身ユニクロの日が多い
- 大好きなパタゴニアの一張羅をドヤ顔で着てる
- 友達が始めたアパレルブランドを応援するためにこれ見よがしに着倒す
- 出張先でもランニングシューズを履いている
- 15年以上履き続けるリーバイス505はボロだけどやっぱり捨てられない
全部、自分自身の生き方が表れています。
新卒で林業会社に就職した後輩はいつもチェンソーブランド・STIHL(スティール)のティーシャツやキャップを身に着けています。もちろん、使っているチェンソーも全部STIHL!そんな彼は「林業は生き方なんですよ!」といつも声高に言っている理由が少しだけ分かったような気がしました。
何を所有しているかで人の生活水準や行動様式が見えてくるものですが、ファッションもまた、人の生き方が見えてくるものだと思います。
スタイルを格好良く見せるだけのファッションではなく「自分はこんな人間なんですよ」とライフスタイルや生き方をさらけ出す服を身にまといたいと思ったのでした。