すっかり日も沈んでうす暗くなった19時頃、ふと庭の木に目をやってみるとなにやら白い物体が。
なんとアブラゼミが羽化をしていました。26年間生きてきてはじめてセミの羽化の瞬間に立ち会うことができました。サナギの期間を経ず、幼虫が直接成虫に変態する不完全変態ですね。まぁ、なんとも神秘的。
羽根はまだ透けるように白くてとても柔らかそう。うっすらと色づいたエメラルドグリーンが美しいです。まだ成虫したセミのような黒みや硬さは感じられず、とてもひ弱な印象です。よくよく見てみると、風に吹かれながらもわずかに手足が動いています。あとは羽根が乾くのを待ちながら、夜を過ごし、夜明けには静かに飛び立っていくようです。
調べてみると、この状態は非常にデリケートな状態のようで、途中で羽化に失敗してしまうセミも少なくないようです。羽化の途中で力尽きてしまったり、風に吹かれて落ちてしまったり、鳥などの外敵に襲われて命を失うケースもあるんだとか。
▽ YouTubeにアブラゼミの羽化の様子をまとめた動画がありました。
アブラゼミの幼虫期間は6年前後と言われ、土の中で脱皮を繰り返しながら長い時間を過ごしています。羽化した成虫の寿命は2週間前後と非常に短いもの。
そして、雌は死ぬ直前に木に卵を産み付け、翌春〜夏には孵化しますが、その幼虫が成虫になり、地上に顔を出すのはそのまた6年後です。
個体や状態にもよりますが、羽化にかかる時間はおおよそ2時間程度ということなので、仮に寿命6年(=52,560時間)のうちの2時間と考えると、本当に一瞬のタイミングということがよく分かります。人間の寿命80年(=29,200日)として換算してみると、わずか1日。その一瞬に立ち会えたことがなにより嬉しいですね。
小さなアブラゼミからすこしだけ元気をもらえた夏の夕方だったのでした。精一杯鳴いて美しく生きろよアブラゼミちゃん!