送料無料で翌日届くAmazon、最短納期で50年かかる木材

「ハダさん、今日は村にいらっしゃいますか?」

クロネコヤマトのドライバーのおにいちゃんからの電話。

今は会社にいますよ、と伝えたわずか3分後には会社に荷物を届けてくれる。家と会社が車で3分の距離なので、自宅にいなければ会社まで荷物を運んでくれる神対応、ありがたや。

とは言うものの、会社も自宅も完全にバレているのでインターネットで変なモノは絶対に買えないなといつも思う、これが田舎のサガ。

送料無料の送料は無料じゃない

一昨日Amazonでポチった本がもう届いたのでした。注文してから1.5日。驚く早さにもはや慣れてしまっているのが怖い。

なんでも買えちゃうAmazonだからワタシはもちろんプライム会員。年会費3,900円と言われると一瞬悩むけど、月額325円でこのサービスを受けられると思うと喜んでお金を払いたいなと思えるくらいAmazonすごい。ただAmazonプライムの膨大なサービスを生かしきれてる気はしない。

 

Amazonの件どうですか?と仲の良いドライバーのおにいちゃんに聞いてみたら「配達が忙しくてニュース観てないんでよく知らないんすよw」とのこと。いつも現場はたくましい。いつもありがとうございます。

されど巷では「Amazonクロネコヤマト問題」をはじめ、EC小口配送の急増加、再配達コスト問題、ドライバー不足、重労働環境、など物流に関わるニュースを目にすることが多くあります。

 

ぼくたち材木屋も他人事じゃありません。

運送業者さんに毎日のように全国に商品を届けてもらっています。ヤマト運輸、西濃、佐川、オカケン、地元の運送業者さん…。運ぶモノや運ぶエリアによって使い分けています。

もはや送料無料が当たり前になりすぎてしまったけれど、モノを運ぶのにはお金がかかります。送料無料は聞こえがいいけれど、モノを運ぶというサービスの費用はしっかりと商品価格に乗っています。

「安くて・重くて・かさ張る」木材は物流の敵?

木材は「安くて・重くて・かさ張る」商品です。

そう、物流に適さない三拍子が揃っています。だから、商品価格に対する運送費が高くなりがち。

 

柱やフローリングなど住宅に使われる部材は2・3・4mで流通することが多く、ドライバー1人でトラックから下ろせない重い荷物もあります。トラックの上で渡す「車上渡し」が一般的だから量が多いとフォークリフトなどがないと下ろせません。

また、宅急便ではフローリング1箱も運べません。「縦・横・高さの合計が160cm以内、もしくは重さが25kgまで」の制限を越えてしまいます。だから時間指定なしの4t車トラック混載便を使うことが多い。

 

冗談みたいな本気の話で商品の値段よりも運送費が高くなってしまうことも多々あります。納品先までの道が狭くて4t車トラックが入りません。小型トラックでの着店チャーター便に切り替えます。時間指定です。車上渡しではなく軒先渡しなので荷揚げ賃も必要です。なんて言ってたら足し算ばかりで運送費は跳ね上がってしまいます。

製造リードタイムが長い産業

また、木材業は製造リードタイムが非常に長い産業です。「来週中にどうしても欲しい!」と依頼のあった製品を丸太から挽いていては到底納期には間に合いません。

 

ぼくたち材木屋の場合、山から伐り出された丸太を製材し、天然乾燥で3ヶ月、人工乾燥で1週間、その後に加工・仕上げ・梱包・発送という過程で製品をつくります。少なくとも3ヶ月以上はかかってしまう。

木材の品質として重要な要素が乾燥。いわゆる含水率が指標。しっかりと乾燥させた木材でないと納品後に膨らんだり縮んだり割れたり反ったりとクレームの元になってしまいます。

製造リードタイムが長い産業ならその原因となる乾燥工程後の半製品在庫を増やせばいいじゃんというわけでもなく、乾燥後の半製品を長時間持ち続けると乾燥の品質を維持できなくなることもあります。

Amazonとは真逆の木材だけど

・「安くて・重くて・かさ張る」物流に適さない木材

・製造リードタイムが非常に長い木材

と並べてみると、送料無料で翌日に届くAmazon様とは真逆じゃねえか。くそう、悔しい!

一方で、木材業=物流業と揶揄されるように物流サービスを充実させれば木材業界はもっと面白くなるはずです。みんなが簡単に安心して木を買えるようになれば国産材マーケットは確実に広がる。ほんとです。

 

その一つとして、ぼくたち材木屋は、宅急便で運べる商品づくりを積極的に進めています。

ユカハリ・タイルカベハリがそう。1箱◯◯円で運べて、マンションの20階にも上げてくれて、時間指定もできる商品。女性ひとりでも運べる商品。宅急便で運ぶので結果的に長さの短い商品になり、工場の歩留まりも高くなります。今までだったら商品にすることのできなかった木材も短く切って商品にすることができます。

 

また、製造リードタイムを短くする商品づくりもあります。

フローリングなどの住宅資材としての木材であれば、例えば含水率15%といった品質を守れないとクレームの元になってしまうけれど、そもそも住宅業界から離れ含水率を問われない商品づくりをする。だから最終製品としての在庫を持っておくことができます。

ヒトテマ・キットがそうです。フローリングと同じ木からできているけど、含水率の表記はありません。上小節といった木材等級も関係ありません。しかもレターパックでも送れちゃう。

材木屋は木を売るのが仕事。だけど、木でできたモノを売るのではなくて、木でモノをつくる機会を提案する商品です。

最短納期は50年です

まだまだ出来ていないことばかりで途方にくれることもあるけれど、まだまだ出来ることばかりだと思うと材木屋の未来は明るい。だから新しい商品やサービスをガンガンつくって儲けて自分たちがいちばん楽しみたい。

林業・木材業界は斜陽産業だとか儲からないとか言われ続けているけれど「山で面白く儲ける」ことができたら日本の森はきっと明るい。

 

いつかお客さんに「納期最短で!」と言われたら「木材の納期は最短でも50年です!」と言ってみたいなと思うけど、そんな勇気はない。でも、お客さんが山に寄り添い、木が育つ時間に思いを馳せられる何かができたら嬉しい絶対に楽しい。