レースや練習でハンガーノックになった経験からマラソンやトレイルランニング時の消費カロリーについて調べてみました。トレランって想像以上にカロリーを消費するんですね、驚きました。
補給食不足が原因でハンガーノック状態になる
以前、トレイルランニングの大会(30km程度)に参加中、十分に補給食を摂らなかったことが原因でレース中にハンガーノック(エネルギー切れのガス欠状態)になり、倒れてしまったことがありました。
その時は、他ランナーの方にチョコレートを分けていただき、エネルギーを補給。なんとか持ち直して完走することができました。ハンガーノックの経験以来、トレイルランニングの大会に出る際は、必ず補給食を多めに持って走るようになりました。
しかし、つい先日、いつもより距離を長くしてトレイルランニングの練習をしていたところ、またもやハンガーノック状態になってしまいました。
練習だからと気が抜けていたのか、補給食もチョコレート一つだけしか持っていませんでした。フラフラになりながらなんとか下山。会社のスタッフに連絡して助けを求め、スタッフの家でひたすら米を食べさせてもらったのでした。山の中で一人で嘔吐を繰り返し、頭も回転しない状態だったので不安になったものでした。生きて帰れてよかった。
また、あいにく台風で中止になってしまったOSJ氷ノ山山系トレイルレースは、総距離78km、累積標高5,000m越え、制限時間16時間という今までに経験したことのないハードなトレイルランニングレース。
補給食は何をどれくらい持っていけばいいの?!と散々悩んだこともあり、消費カロリーについて調べてみたのでした。
消費カロリー = 時間 × 体重 × 運動強度 × 1.05
人の消費カロリーは下記の式で表すことができるそうです。
消費カロリー(kcal) = 時間(h) × 体重(kg) × 運動強度 × 1.05
運動した時間や自身の体重は簡単に入力することができますが、運動強度はあまり馴染みがありません。運動強度はMETs(メッツ)とも言い、体を安静にしている時を基準にして、体を動かした時にどれだけエネルギーを使っているかを見るための単位とのこと。つまり、
運動強度 = METs(メッツ) = (安静時の消費エネルギーを1としたときの、各運動のエネルギー消費量)ということ。
例えば、ランニングの運動強度は8.0METs(あくまでランニング全般)。
体重60kgの人が1時間のランニングをした際の消費カロリーは以下ような計算式になります。
1(時間) × 60(kg) × 8.0(METs) × 1.05 = 504(kcal)
こうして計算してみるとだいぶイメージがわいてきますね。
どんな運動が何METsなの?
運動における消費カロリーを知るには、どんな運動が何METsの運動強度なのか知ることが重要ですね。
国立栄養・健康研究所が作成している改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』という資料が非常に分かりやすかったのでいくつかピックアップして紹介。かなり細かい項目まであって面白いですよ。
- 2.3 … 掃除(掃き掃除、ゆっくり、楽な労力)
- 4.0 … 自転車に乗る(レジャー、通勤、娯楽)
- 8.3 … 水泳(クロール、ふつうの速さ)
- 10.0 … サッカー(試合)
- 11.0 … フルマラソン(5分20秒/km、4時間切りペース)
- 12.8 … フルマラソン(4分20秒/km、3時間切りペース)
体重60kgの人がフルマラソンをサブ4(=4時間切り)で走る際の消費カロリーを計算してみると、およそ2,800kcal!
おにぎり一つのカロリーを180kcalとしてみると、おにぎり16個分のカロリーをフルマラソン一本で消費するんですね。
体重67kgの自分のフルマラソン・ベストタイムは3時間14分。いわゆるサブ3.25ですね。この場合の運動強度は11.8(12.9km/時)なので、消費カロリーを計算してみます。
3.25(時間) × 67(kg) × 11.8(METs) × 1.05 = 2697(kcal)!
ちなみに「性行動(積極的、きつい労力):2.8METs」だそうです(笑) ええっと、体重60kgの人が1時間ヤッたとしたら……ってこの計算は要らないですね。
トレラン=登山のMETsとして消費カロリーを計算してみる
消費カロリーの計算式やMETsについては分かったものの、トレイルランニングって歩いたり走ったり山を登ったり下ったりするので、METsをいくつで設定したらいいのかいまいち分かりません。
走るコースによって獲得標高をはじめ強度も異なるし、計2−3kg程度の補給食やドリンクなどを入れたバックパックを背負うこともあります。
調べてみると、トレイルランニングのMETsは登山と同じ8.0METsに設定して計算するトレイルランナーが多い印象です(賛否両論あるようですが)。
10時間を越えるレースであれば、消費カロリーは5,000kcalを簡単に越えますね。言い換えれば、体重60kgのランナーでは1時間あたり500kcalを消費しているということ。
また、総距離78km、累積標高5,000m越え、制限時間16時間のOSJ氷ノ山山系トレイルランニングレースを自分に当てはめてみます。13時間で完走すると想定してみると、
13(時間) × 67(kg) × 8.0(METs) × 1.05 = 7316(kcal)!
おにぎり一つのカロリーを180kcalとすると、なんとおにぎり40個!
さすがにおにぎり40個も持って走れねえ…!だから、30-40分に1本のペースでエナジージェルを摂取するなど、エネルギーを補給しながら走り続けるんですね。
METs法による消費カロリーは、あくまでトレイルランニング時の消費カロリーなので、実際は生命活動の維持に必要なエネルギー(基礎代謝分1,500kcal/日)も消費されます。
今回は消費するエネルギーがメインになりましたが、アミノ酸やナトリウム、マグネシウム等々の摂取量やタイミングも自分なりに試行錯誤して仮説を持っておきたいなと思ったのでした。
レース前のカーボローディングだったり、補給食の種類やタイミングだったり、走力を鍛えることと同じように「何を、いつ、どれくらい摂取するか」がトレイルランニングでは大事ですね。これからロングレースに挑戦していこうと考えているので良い勉強になりました。今まで知識がなさすぎたわ。
アスリート専用マルトデキストリン届いた。これで3820kcal摂取 pic.twitter.com/39UqCxe7TE
— ハダトモヒロ (@hada_tomohiro) 2017年10月14日
そして、1本のレースで何十本も摂取するエナジージェル。PowerBarやShotz、ハニースティンガーあたりが有名ですが、1本200円(120kcal程度)くらいの値段がするのでかなり割高です。高いしそもそも田舎にゃ売ってない!海外モンだから味もキツくて飲みにくい!
つい最近、スコット・ジュレク「EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅」を読んだこともあり、今度はエナジーバーやエナジージェルを自作してみようと思ったのでした。とりあえずマルトデキストリンは買うたで。