デュポンのタイベック・シルバーのレビューです。
- テント用グランドシートを探している
- 専用グランドシート(フットプリント)は高いので代替品で良い
- タイベックにはいろんな種類があるが違いが知りたい
購入した超軽量ドーム型ツェルトであるヘリテイジ・クロスオーバードーム2G(2人用)のグランドシートとして購入しました。
テント用グランドシート(フットプリント)はテントに合わせた正規品もありますが5,000円以上と価格が高いのでタイベックで代用します。
- 軽量・防水・透湿・強靭な素材なのでグランドシートに代用できる
- シルバーは片面にアルミニウム蒸着が施され遮熱性を高めた製品
- 浸水防止のため、テント底面積よりも一回り小さいものを選ぶ
- コスパ重視ならタイベック以外に農ポリの選択肢もあり
材木屋に勤務するハダは建築資材=外壁下地シートとしてのタイベックを見掛けることが多々あります。
テント道具を一式揃えるにあたり、タイベックがグランドシートして使えることを知り、見慣れた建築資材がキャンプにも使われているんだと嬉しくなりました。これは一度試さねば!と購入したのでした。
タイベックは一般流通する建築資材なのでお近くのホームセンターでも必ず取り扱いがあります。
しかし、ホームセンターで手に入りやすい幅1m*長50mなどのロールタイプは長過ぎて余ってしまいますし、保管も大変です。Amazonや楽天市場でカットされたシート状のものを購入するのがおすすめです。
Amazonでは1m*2mサイズが送料込・税込1,155円とたいへんお値打ちですよ。
遮熱・透湿・防水性能を持つ強靭なシート状建築資材
デュポンのタイベック・シルバーの概要は以下です。
- 価格 1155円(税込)
- 重さ 12g
- 生地厚 約0.16mm
- サイズ 1m*2m(多少の余尺あり)
- 素材 高密度ポリエチレン不織布
タイベック®はアメリカのデュポン社が開発した特殊な高密度ポリエチレン不織布です。
耐水性・通気性などのバリア性能を持ちながら軽くて強靭という特性を持っています。
建築用途としては透湿・防水を目的とした外壁下地用シートとしての使用が一般的です。しかし実は農業資材、化学防護服、医療用滅菌包材など幅広く使われているんですね。身近な用途で言えば、お菓子の乾燥剤を入れる袋としても使われています。
ハダはAmazonでタイベック・シルバーの1m*2mサイズを送料込・税込1,155円で購入しました。
柔らかく薄い和紙のような質感ですが、裏地にはアルミニウム蒸着が施されています。しっとりやわらかいエマージェンシーシートのような風合いです。
折り畳んでジップロック(写真はIKEA製)に入れ、空気を抜いて封をしています。
グランドシートは地面に触れて汚れてしまうのでザック内に泥や砂が入らないように密封できると便利です。UL系ザックの背面パッドスリーブに入るのでザックから取り出しやすいのが良いですね。
ジップロックを入れて重さは140g。
繰り返し使用すると表面や折り目は擦れて毛羽立ってきますが、支障はありません。
タイベックの種類 ハード/ソフト/シルバー
様々な用途で使われているタイベックですから種類も豊富です。
「テント用グランドシートにはどの種類を買うのが良いの?」と悩む人も少なくありません。
一般流通しているタイベックは以下3種類を抑えておくと良いです。
基本的には紡糸スピードと結合条件の組み合わせにより、紙のような風合いのハードタイプ、布のような風合いのソフトタイプがありますが、今回購入したシルバーのようなアルミニウムを蒸着させた遮熱性能の高いものもあります。
- ハード
・パリッとした紙のような風合い
・強靭、高密度、表面がなめらか
・寸法安定性と表面摩擦抵抗性に優れる - ソフト
・柔らかい布のような風合い
・布状のドレープ性を持つ
・ハードタイプよりも引っ張り強度や表面平滑性で劣るが引き裂き強度は優れる - シルバー
・タイベックにアルミニウムを蒸着させた遮熱シート
・繊維の1本1本にアルミニウムの劣化を防ぐ抗酸化樹脂コーティング済
・長期間使用しても遮熱性や防水性の劣化が少なく強靭
・主に建築資材として使われ、外壁下地や小屋裏施工の用途
ハード/ソフトで手に入りやすいものは建築資材用のハウスラップ®というシリーズです。
ハウスラップ(通常=ハード)とハウスラップ・ソフトがあります。既に販売から30年以上経過しており、国内400万棟の施工実績があるのだそう。すごい。
ハダはエマージェンシーシートのように遮熱性能を高めたアルミニウム蒸着のあるシルバータイプを購入しました。質感は柔らかい布のようでソフトタイプ片面にアルミ蒸着しています。
ハウスラップと同じく、建築資材用の外壁下地や小屋裏施工用です。薄い防水フィルムに透湿アルミニウムを挟んだだけの他社製品とは異なり、長期間使用しても遮熱性、防水性の劣化が少ない、強靭さがウリとのこと。
家庭調理で使うアルミホイルはしばらく使っていないと黒ずんだり破れやすくなったりと劣化してしまいますよね。そう、アルミニウムは劣化に弱い素材です。そのため、タイベック・シルバーは繊維の1本1本にアルミニウムの劣化を防ぐ抗酸化樹脂コーティングを施しています。
グランドシートの役割からタイベックを選ぶ
グランドシートの主な役割は以下でしょう。
- テント底部の保護(石や枝から守る)
- テントの底冷え(冷気・湿気)を防ぐ
- テント底からの浸水を防ぐ(雨天時)
テント底部の保護だけであれば、ブルーシートやシルバーシートでも十分という意見もありますが、底冷えや浸水を防ぐためにはグランドシートの素材選びが必要です。
ここで高密度ポリエチレン不織布であるタイベックの防水性や強靭性が生きてきます。生地が薄く軽いこともテント泊縦走などでベースウェイトを落とせるのが良いですね。
テント用グラウンドシートとしてはハード/ソフト/シルバーいずれも対応できると思います。
タイベック・シルバーはさらにアルミニウム蒸着による遮熱性が高いことがポイント。地面からの底冷えを防ぐ効果を期待できます。
グランドシートはテント底面積よりも一回り小さいものを選ぶ
最後にタイベックをグランドシートとして使う際のサイズについてです。
グランドシートはテント底面積よりも一回り小さいものを選びましょう。
その理由はテントとグランドシートの間から雨や結露した水分が入り込み、テント底部が濡れる原因になるからです。
ハダの場合、テントはヘリテイジ・クロスオーバードーム2G(2人用)を愛用しています。
底面積は100cm*210cmです。タイベック・シルバーのサイズは1m*2mなのでほぼ同サイズですが、テント底面からグランドシートがはみ出ないように設置しています。大きい場合は端を折り曲げて使っても良いですね。
透湿性があるので加圧すると浸水しやすい
タイベックの機能性は分かりましたが、気になるのが透湿性についてです。
タイベックはまだ春夏のスキー場や針葉樹林での野営で数回しか使ったことが無く、激しい雨や結露は経験していません。
グランドシートとして地面とテントの間にタイベックを敷いた場合、透湿性によって地面からの湿気を吸収してテント底部の結露や濡れを助長させてしまうのでは?と気になっていました。
【教えてタイベックユーザー】建築資材タイベックをテント用グランドシートとして使ってます。防水性や遮熱性は理解できるけど、透湿性が高いと地面からの湿気を吸収してテント底部の結露や濡れを助長させる原因にはならないんでしょうか?
— ハダ|西粟倉・森の学校 (@hada_tomohiro) August 15, 2021
ツイッターで相談してみたところ、経験豊富な皆さまから様々な意見をいただきました。ありがとうございます!
- グラウンドシートとして上に乗ってしまうと透湿性や耐水圧より体重による加圧が勝って染みる気がする。嵩張るのでタイベックをグラウンドシートには使わない。ヘリテイジ・クロスオーバードームではエマージェンシーシートを使うが、軽さ勝負のテントなので気休め程度にしかならない
- 透湿性能というより、人間の自重によって耐水圧を超えるのでは?湿気を切りたいならもう少し耐水圧がある素材じゃないと厳しいのではないか
- タイベックより透湿性能を気にするならナータッグ・ウェザーメイトプラスだが、同じく耐水圧は無さそう。ウルト・DB2、ウルト・サーモファザード、タイベック・ルーフライナーあたりが役を果たせそう(いずれも建築資材)
- 取り扱いのしやすさから、タイベック→農ポリ→SOL・ヘビーデューティブランケットシートと変遷した
- タイベックのグラウンドシートは機能というよりもファッションw
多くいただいた意見が「透湿性よりも加圧によって耐水圧を越える」というものでした。
国内アウトドアブランドの山と道のブログでは下記の意見がありました。ここでも加圧による浸水について触れていますね。<山と道 ブログ 2012年執筆「三条の湯」>
水たまりの上に、タイベックをグランドシートとして使ったのですが、朝起きると、グランドシートの上のマットの裏面が濡れてました。結露なのか、身体の重さによる浸透圧でタイベックを水が通り抜けてきたのか気になります。グランドシートに透湿性は入らないだろうとう気もするので、農ポリを持っていけば良かったかな…。
タイベック以外のグランドシート案として教えていただいたものの中で購入しやすいものはSOL・ヘビーデューティ・エマージェンシー・ブランケットと農ポリでしょう。
エマージェンシーシートでお馴染みのSOLですが、ヘビーデューティ・エマージェンシー・ブランケットは通常のSOL製品に比べ2.5倍の厚みを持つヘビーデューティな仕様。
透湿性はなく、グランドシートやタープとして使うことのできるエマージェンシーシートです。
142cm*213cmで210gと重さは多少ありますが、エマージェンシーシートをグランドシートにも併用できることでUL的な1つの道具に2つ以上の役割をつくることができますね。
2,750円と買いやすい価格なのもポイント。
農ポリとは農業用ポリシートもしく農業用ポリエチレンの略称です。
主にビニールハウスなどで使用されるものですが、安価で軽量なことから沢登り・渓流釣りではタープとして定番とのこと。グランドシートとして使用しているULハイカーも多い素材だそうです。
厚みは0.05mmや0.1mmなど種類が豊富なのでグランドシートとして適正な厚みが悩ましい。
見た目は透明でザ・使い捨て感がありますが、透湿性は無いので浸水は防ぐことができそうです。
ホームセンター・カインズの公式オンラインストアでも幅1m*長100mで3,000円程度なので1m*2mサイズ換算すると120円。安っ!使い捨てでも良いレベルの価格感が嬉しいですね。
ホームセンターでも購入しやすい一般流通資材ですが、テントのサイズに合わせるためには自分でカットする必要があります。
生地としての性能の高さからメジャーブランドも使用している
「真っ白な建築資材でキャンプ感が無い」「デカデカと日本語が書いてあるのでダセェ」といった意見もありますが、もはやULハイキングとしては定番の道具として認知されつつあります。
MYOG(Make Your Own Gear:自分の道具は自分で作る)の精神を体現する素材としても選ばれており、インターネットやSNSで調べてみるとタイベックを活用したスタッフサック、シュラフカバー、レインジャケットなどが散見されます。
日本が誇るアウトドアブランド・モンベルでは、タイベックを使用したシュラフカバー・タイベック スリーピングバッグカバーという商品が販売されています。
スリーピングバッグにかぶせて使用することで、テント内に発生した結露などからスリーピングバッグ本体を守るとともに、保温力を高めることもできます。また、優れた透湿性により、スリーピングバッグ内をドライで快適な状態に保ちます(モンベル公式オンラインストア参照)
保水しにくく、寝袋を蒸れや結露から守る適度な透湿性・通気性を備えているんですね。
家庭用ミシンがあればシュラフカバーやサックは作れそうなのでDIY心をくすぐられますね。ちなみにタイベックは英語表記タイプや無地のものもAmazonで手に入れることができます。
ホームセンターでも購入できるがカットされたものをネット購入するのが楽
デュポン タイベック・シルバーの特徴のまとめは以下です。
- 軽量・防水・透湿・強靭な素材なのでグランドシートに代用できる
- シルバーは片面にアルミニウム蒸着が施され遮熱性を高めた製品
- 浸水防止のため、テント底面積よりも一回り小さいものを選ぶ
- コスパ重視ならタイベック以外に農ポリの選択肢もあり
タイベックは一般流通する建築資材なのでお近くのホームセンターでも必ずと言っていいほど取り扱いがあります。
ハダはAmazonで1m*2mサイズ(多少余尺あり)を購入しました。送料込・税込で1,155円。
しっかり折り目も付いているのでジップロックにも収納しやすいです。UL系ザックに収納する場合は背面パッド用スリーブに入れるのが良いですね。
ちなみにモノタロウでタイベック・ハウスラップ(ソフト)を調べると、幅1m*長50mのロール型が7,249円(税抜)で購入できます。今回購入した1m*2mサイズに換算してみると290円…!大量に使うのであればロール型がかなり安くなりますね。
テント専用のグランドシート(フットプリント)は5,000円以上は掛かりますし、他テントとの汎用性が低い欠点があります。初心者ゆえにとりあえず正規品=専用グランドシートを購入してお金で安心を買うような選択をしなくて正解でした。
記事を書くにあたっていろんな人に意見をいただきながら調べたことで知識が増えました。後はもっと様々な環境下で試したいところです。