ウルトラトレイル&マラソンランナーのハダです。
今回は、最近DIYにハマっているランニングサンダル・ワラーチについて書きました。
5足以上のワラーチを自作して溜まったノウハウを詰め込みました。
ワラーチを自作しようとしているランナーの参考に、初めてワラーチを知った人の興味のきっかけになれば嬉しいです。
そもそもワラーチって何?
タウラマラ族とBORN TO RUN
ワラーチと言えば、メキシコの走る民族・タラウマラ族が履いているサンダルとして有名です。
廃棄されたタイヤをカットして靴底に使い、革ひもで足を止めるという、至ってシンプルなサンダルです。
そして、2010年に発売されたクリストファー・マクドゥーガルの著書「BORN TO RUN 走るために生まれたウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”」をきっかけにワラーチや裸足ランニングが一気に世間に広まりました。
ハダもこの本でワラーチや裸足ランニングについて知り、走力の向上のために取り入れてみたいと思ったことがワラーチに興味を持ったきっかけでした。
既成品のランニングサンダルは足に合わないし値段が高い
ランニングサンダルと言えば、LUNA SANDALSやXero Shoesが有名です。
最近では音楽フェスやキャンプでも履いている人をよく見かけるようになりました。
自分もそれらのブランドに憧れ店頭で履いてみたもののいまいち足にフィットしませんでした。
しかも1万円以上とサンダルにしてはずいぶんと値段が高いんです。
だったら自分で試しに作ってみようと自作ワラーチに挑戦してみたのでした。
5足以上のワラーチを自作して自分なりの完成形が見えてきた
既成品のランニングサンダルやネットに無数にあるワラーチの記事を参考に5足以上のワラーチを自作しました。
ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返し、何百キロと走ってみては擦り傷や血豆をつくりながら実験を重ねました。
そして、ようやく簡易でコストパフォーマンスの高い「速く走れる」「長い距離を走れる」ワラーチを完成させることができました。
なにより自分の足のサイズにあったソールときつく結びすぎないことが重要。
今回はそのワラーチの作り方をまとめてみました。
ワラーチに必要な材料は2種類のみ。3,000円以内で調達可能
- ビブラムシート 1セット・2枚
価格:1,500円〜2,500円
8338:厚み7mm、8327:厚み10mmと2種類あり - パラコード(パラシュートコード) 1.5m✕2本
価格:30mで800円〜1,000円
4mm径・中芯9本タイプがおすすめ
必要な材料はたった2種類だけです。
お近くに東急ハンズがあれば店頭で購入できますが、ハダは人口1,500人の村に住む田舎民なのでネットでポチりました。
- 穴あけポンチ 4mm径 100均で購入可能
4mm径のパラコードと同じ4mm径がおすすめ - 裁ちバサミ(キッチンバサミ)
- マジックペン(黒もしくは白)
- えんぴつ
- A4サイズ程度の白い紙(コピー用紙)
- あると便利なもの
・キリもしくはマイナスドライバー
・ライター
必要な工具はこれくらい。
穴あけポンチは100均で購入することができますし、それ以外は家に揃っていると思います。
特段のこだわりは無く、家にあるもので作れればOK。
最低限買う必要があるのはビブラムシート、パラコード、穴あけポンチの3つだけ。
購入材料が少なくて済むのは嬉しいですね。
パラコードを買わなくてもまずは余った靴紐で始めてみても良いと思います。
ネットで自作ワラーチについて調べると、クッション性やグリップ性を高めるためにインソール(ビブラムシートの上)にノンスリップシートやペレマット、ウェットスーツの生地を貼る方法がありますが、今回は使用しません。
シートをカットして張り合わせるのに手間と時間が掛かりますし、そこまでの効果は感じられなかったので簡易さとコストパフォーマンスを優先しています。
ワラーチの作り方は簡単3ステップ、制作時間はわずか2時間
このワラーチの作り方はたった3ステップ。
2時間あれば完成します。
- 自分の足型を紙に書き写し、ハサミでカットする
鉛筆を紙に垂直に当て、足の形を正確になぞる
なぞった足型を鉛筆で丸みを付けながら繋げる
ワラーチのシルエットを作りハサミでカットする - 紙の足型をビブラムシートに当てマジックペンでなぞり、ハサミでカットする
足の左右裏表を間違えないように注意
工作用ハサミよりも裁ちバサミやキッチンバサミなど刃が大きいものが◎ - カットしたビブラムシートに穴を開け、パラコードを通す
穴あけ位置は下図を参照
シート端部と穴が近過ぎると紐を結ぶ際に穴がちぎれるので注意。1cmは空ける
穴に紐を通す際はキリやマイナスドライバーを使うと入れやすい
足型をカットする際はジャストサイズを徹底すること。
ソールの上から足がはみ出ることを気にして大きめにカットしてしまうと、走っている最中にソールが地面に引っかかりやすくなり、とても走りにくくなります。
ちょっと小さいかな?くらいがちょうどいいです。
ワラーチの結び方の手順
ビブラムシートのカットと穴あけが終わったらあとはパラコードを通せば完成です。
このワラーチは結び方が簡単で着地時にズレが起きにくくなるよう工夫しました。
普通の靴のように甲部分で蝶々結びをするので脱ぎ履きが簡単なのが良い点です。
①鼻緒から始まり、踵で紐を交差
- 紐は鼻緒から開始。鼻緒部分の2穴に通し、紐を同じ長さに設定します
- 2本の紐を両脇の穴へ。ソールの表面(上面)から裏面(下面)へ通します
- 下から出た紐を内側に通して踵側へ
- 両脇から出た紐2本を踵で交差させます(踵で紐が散らばらないように一重結びすると◎)
②紐が動きにくくなるように両脇を結んで固定
- 踵で交差して両脇に持ってきた紐2本をそれぞれ、鼻緒紐の上から下へ通します
- そして、踵側へ戻り、踵に残った紐2本を巻き込みます
- 出来た輪を通って足の甲に向かって紐を引くと結び目ができ固定されます
③足の甲で蝶々結びをして完成
- 足の甲中心に持ってきた2本の紐を蝶々結びをして完成!
*甲の上よりも高い位置(=足首側)に結び目を作ると結び目がズレにくいです
パラコード先端をライターで炙って溶かしておくと、後々ほつれないので便利です
ビブラムシートは7mm厚の8338&10mm厚の8327の2種類
ワラーチでよく使われるビブラムシートには2種類の厚みがあります。
- 7mm厚:8338
- 10mm厚:8327
わずか3mmの違いなんて大差ないでしょう?と侮ることなかれ。
厚みが3mm違うだけで履き心地が大きく変わるのでどちらが自分に合っているか検討してみてください。
わずか3mmの厚みの違いが履き心地に大きく影響する
ハダのおすすめは7mmタイプの8338。これが一番オーソドックスで手に入れやすいビブラムシートです。
写真右側:7mm厚の8338は土踏まずのアーチに合わせてシートが曲がっていることが分かると思います。足裏の形に沿ってフィットするのでより裸足に近い感覚で走ることができます。しかし、7mm厚と薄い分、小石を踏んだ時には猛烈に痛いので注意。
写真左側:10mm厚の8327は厚みがしっかりとある分、フィット感は少なくなりますが、安心感があります。小石を踏んだ時にもあまり痛くありませんし、トレイル(未舗装路)の枝や石などの凸凹にも対応することが可能です。
シート裏のデザインにも注目
それぞれの裏面はこのようになっています。
個人的には写真右側:10mm厚の8327が滑りにくそう&柄が好み。ビルケンシュトックみたいですね。
写真左側:7mm厚の8338は「vibram」のロゴがでかでかと刻印されているため、いつもビブラムシートをハサミでカットする際の位置決めに悩んでしまいます。
また写真右側:10mm厚の8327は、黒・茶・白と3色のカラー展開がありますが、写真左側:7mm厚の8338は、黒・茶の2種類しかありません。
フィット感重視の7mm厚:8338、初心者向け安心感◎の10mm厚:8327
それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。
- 足裏に沿うようなフィット感で裸足感覚を味わいやすい
- 薄い分、小石を踏むと痛い
- 黒・茶の2色展開
- ビブラムシートをカットする際、vibramロゴのポジションに悩む
- フィット感は少ないが、足裏へのダメージ耐性◎
- ロードはもちろん、トレイル(未舗装路)でも走りやすい安心感のある厚み
- 黒・茶・白の3色展開
- 裏面柄がビルケンシュトック風で可愛い
木村東吉式、MANSANDALSをはじめ、さまざまなワラーチアレンジ
100均コルクマットや人工芝、革バージョンまで多種多様なワラーチ
ネットで「ワラーチ」と検索してみると、さまざまな材料や結び方のワラーチが見つかります。自分なりに工夫してオリジナルを追求するのがDIYの醍醐味でもあります。
- わずか2mmの極薄ビブラムシート(足の前面部のみに貼る半張り用シート)を使ったもの
- 100均のコルクマットをソールに使ったもの(コスパ抜群で素晴らしい…!)
- ラダーロックを使ってサイズ調整しやすくしたもの(ルナサンダル風)
- 革や革紐を使って普段使いに落とし込んだもの(汗染みが目立つそう)
- 足裏との設置面に人工芝を貼り付けた「芝ーチ(シバーチ)」
本当の裸足ランは足を怪我しそうでなかなか挑戦できませんが、究極の裸足感覚の2mm厚・極薄ビブラムシートはぜひ挑戦してみたいところです。もはや薄皮1枚。相当に痛いんだろうな。
いつかワラーチづくりワークショップを開催してみたいと思っているので、女性に喜ばれそうな革&革紐バージョンも作ってみたいですね。
ビブラムシート+真田紐を使った定番の木村東吉式ワラーチ
マニアックなワラーチ界ですが、特に有名なのが木村東吉氏が考案した真田紐を使用したもの。
真田紐は伸びにくく結び直しやすい特徴があり、伝統工芸的な可愛い柄も楽しむことができます。実はハダも自作ワラーチ1号は木村東吉氏の方法を模倣してビブラムシート+真田紐で作ってみました。
しかし、何度か走っているうちに自分には合わないことが分かり、真田紐仕様のワラーチを履くことは止めました。その理由は、
- 親指の付け根の裏に結び目ができ凹凸が生じるので着地がフラットではなく、マメができやすい
- 真田紐と足の設置面積が大きく、フォームが崩れると擦れて痛い
- 雨や路面の水たまりで真田紐が濡れると、紐が縮み固くなって履き心地が変わり足が擦れやすくなる
- ワラーチの脱ぎ履きに時間がかかる
木村東吉式ワラーチが自分の足や走り方に合わず、いろんな方法を試してたどり着いたのが今回ご紹介したビブラムシート+パラコードによるワラーチです。
ワラーチストの間で根強い人気のMANSANDALS
木村東吉式ワラーチと双璧を成すのが、裸足ランナー・manさん(@man10000)が考案した、パラコードを使ったワラーチ「MANSANDALS」。
manさんは、ワラーチでフルマラソン・サブ3達成にとどまらず、ハセツネ(長谷川恒男CUP、71k&D+4500m越えのトレイルランニングレース)や富士登山競走・山頂コース(21k&D+3,000mの)など名だたるレースを本当に「裸足」で完走する生粋の裸足ランナーです。
ハダも実際に模倣して作ってみました。パラコードを使用し、親指の付け根から足の甲までパラコード1本なのでずいぶんと見た目がすっきりします。
パラコードで足を抑えるのではなく、足首にパラコードが付いてるだけでビブラムシートがぶら下がっているかのような感覚です。
着地が下手なのか左右へのズレが気になる点と脱ぎ履きに手間が掛かる点からあまり履かなくなってしまいました。
自作したワラーチで実際に走ってみた
ランニングサンダルですから、走れなければ意味がありません。自作したワラーチで本当に走れるのか?身をもって実験してみました。
最初はダメージが大きいが、慣れると快適なワラーチランニング
最初は「こんなペラペラのサンダルで本当に走れるのかな?」とそのソールの薄さに不安になると思います。
クッションが無いので地面の凹凸がダイレクトに足裏に伝わりますし、小石を踏んだら猛烈に痛い。ソールの先が地面に引っかかってつまづくこともあるでしょう。
なにより、今まで履き続けてきたランニングシューズの過剰なクッションに身体が慣れてしまっているので、少し走っただけでふくらはぎや足の裏が痛くなるに違いありません。
しかし、足指を使って地面を掴んで走る感覚を得ることができますし、ソールが薄いので自然とフォアフット走法(足の前足部から着地する走り方のこと)が身につきます。
なにより足が涼しくて新鮮で気持ちいい!代わりに冬は寒い…!
まずは5〜10kmと短い距離をゆっくり走り、慣れてきたら徐々に距離を伸ばすのが良いと思います。
ハダはワラーチランニングとフォアフット走法を始めてランナー膝(腸脛靭帯炎)が解消されました。
これは素晴らしい効果。
赤穂シティマラソン(ハーフ)で当時の自己ベストを更新
ワラーチを履いてハーフマラソンに出場してみました。
結果は当時の自己ベストタイムを更新する1時間29分01秒。
ハーフマラソンでサブ1.5を達成することができました。
レース後半にはフォームが崩れて鼻緒部分に擦れを感じたり、足裏が痛むこともありましたが、大きな問題なく走り切ることができました。
西粟倉村〜姫路城までのロングラン66km
そして、ワラーチでロングランにも挑戦してみました。
ハダが住む岡山・西粟倉村から姫路城までの66kmランです。
ペースはゆっくりで長い距離を走るLSD(Long=長く、Slow=ゆっくり、Distance=距離)の練習です。
前半は気持ちよく走ることができたのですが、30kmを越えたあたりからふくらはぎが張り、足裏にも多少の痛みを感じるようになりました。
疲労が溜まってフォームが崩れると着地時にソールと足裏にズレが生まれてしまい、鼻緒部分やパラコードと地肌の設置部分に擦れが生じやすくなります。
ただ、ワラーチでも66kmもの距離を走れたのは自信になりました。
練習を重ねたらゆっくりめのペースならフルマラソン程度の距離は問題なく走れるようになりました。
今年はトレイル&フルマラソン、ゆくゆくはウルトラマラソンにも挑戦
今はまだレースでワラーチを履いたのはハーフマラソンのみですが、今年はトレイルランニングやフルマラソンでもワラーチを試してみようと思っています。
特にトレイルランニングは急な上り下り、ガレ場、ふかふかの落ち葉クッションなどさまざまな路面を走ることができるのでよりフォアフット走法の練習になるのではないかと思っています。
ゆくゆくは100kmウルトラマラソンをワラーチで完走することを目標に練習に励みたいと思います。目指せワラーチでサブ9(9時間切り)!
【奥出雲ウルトラおろち100キロ遠足】総合順位11位!年代別1位!人生2度目のウルトラマラソンでサブ10達成購入必要な材料と工具をおさらい
最後に、ワラーチづくりで必要なアイテムをおさらいします。
ビブラムシートやパラコードは東急ハンズ、穴あけポンチは100均でも買えますが、ハダは田舎民なので全部ネットでポチりました。
小さくて軽いものなので送料もそこまで掛かりませんし店頭で探す手間が省けます。
ビブラムシートは7mm厚(8338)か10mm厚(8327)を選ぼう
ワラーチで裸足感覚を味わいたいなら7mm厚の8338。
安心感のある厚みとシート柄の可愛さを選ぶなら10mm厚の8327がおすすめです。
パラコードは4mm径がすっきりしておすすめ
パラコードは4mm径が一般的ですが、5芯/7芯/9芯など中芯の数に違いがあります。
ハダは頑丈さを考慮して、4mm径&9芯タイプを愛用しています。
パラコード 30m・1本 全80カラー 7Strand 4mm
穴あけポンチはパラコードと同じ4mm径を選ぼう
穴あけポンチはパラコードと同じ4mm径を選びましょう。
紐の太さに対して穴が大き過ぎると走っている最中に紐が動きやすく、ワラーチのフィット感が損なわれます。
穴あけポンチは100均でも購入できますが、ハダが訪問したお店は7mm径しか置いておらず、結局ネットで購入しました。
外に出て走り出したくなる名著、BORN TO RUN
いよいよワラーチランニングが楽しい季節がやってきました。今年はロードもトレイルもいっぱい走るぞ〜!
ワラーチを作った感想を聞かせていただけたらハダが飛んで喜びます。