こんなミニトマトの売り方もあるんですよー!と会社のスタッフに教えてもらって購入したのがうれし野アグリの房どりミニトマト。
名前の通り、房を付けたままミニトマトを売っているんですが、素晴らしい販売方法だなぁとキーボードを叩いています。
うれし野アグリが生産する房どりミニトマト
房どりミニトマトを生産販売しているのは三重県松阪市嬉野にあるうれし野アグリ株式会社です。
三重大学出身のハダとしては三重県というだけでも嬉しい。
うれし野アグリは辻製油、浅井農園、イノチオアグリ、三井物産の4社が出資する農業カンパニー。
辻製油や浅井農園は三重にとどまらず全国レベルで有名ですね。
この房どりミニトマトに特化した生産販売に取り組み、栽培面積はなんと3.2ha!でけぇっ!
房どりミニトマトの特徴
房どりミニトマトは名前の通り、房が付いた状態で販売するミニトマトです。
ふつうはヘタ部分のみを残してプラ製パックや袋詰めして売られていますもんね。
単価を上げながら収穫手間も減らす提案、枝付きミニトマト。
枝いらねぇじゃん!と思いきや途端にごちそう感が出るからすごい pic.twitter.com/TUmhd6GtGy— ハダ|材木屋トレラン猟師 (@hada_tomohiro) March 13, 2020
岡山駅前のイオンを訪れたら売っていたのでさっそく購入してみました。
上のツイートにある写真の1パックで298円(税込)程度の価格だったと思います。
一般的なヘタ付ミニトマトの袋詰めの1.5〜2倍くらいの価格感でしょうか。値段はお高め。
これはマーケティングの勉強になるぞ!と会社のスタッフみんなと一緒に食べてみました。
食べてみた感想は以下です。
- 味わいには不必要な房が付いているだけで高級感があるし写真映えする
- 房に付いている位置で甘みや酸味が違うので味わいを楽しめる
- 収穫手間を減らしつつ卸売単価も上がる素晴らしい方法だね
- 収穫手間は上がったとしても生産歩留まりは落ちるんじゃないの?
- プレミアム感で高価格帯を提案しつつ、房ごと収穫できなければ袋詰めすれば良い
材木屋の工場長や製造部長、農業経験者と食べたので話に上がるのは房どりミニトマトの味以上に生産効率や販売単価の話ばかり(笑)
この房どりミニトマトの売り方は非常に示唆に富んでいるように感じます。
房付きのまま収穫することで収穫手間がどれくらい省けるのかは分かりませんが、房付きでパッケージングできなくても1個ずつ分けて通常の袋売りもできる点は良いですね。
余計な手間をかけず、生産時のミニトマトそのままに近い状態でパッケージングして高価格帯商品として販売している点が非常に面白いです。
房付きによって鮮度の劣化が遅く、みずみずしい美味しさが長持ち
うれし野アグリ公式サイトなどを調べると、房どりミニトマトの特徴は以下のものが記載されていました。
- 房付きのため、鮮度の劣化が遅く、みずみずしい美味しさが長持ち
- 房の上の方が甘く、下の方に酸味があり、ひと房の中でどれを食べるかによって味が変わる
- 珍しくかわいらしい見た目のためプレゼントやお土産としても好評
ハダ
見た目重視の高価格帯ブランディングかと思いきや、房が付いていることで鮮度劣化が遅い特徴を持ってるのか!
手間をかける=価値が高いわけではない
ハダが勤務する西粟倉・森の学校は創業10年目の材木屋。
住宅用内装材である無垢フローリングやDIY製品をBtoB、BtoC問わず生産販売しています。
毎日木と向き合う中で考えているのはいかに木の価値を高めるか?ということ。
安直に考えてしまいがちなのが手間を掛けたら高く売れるという幻想です。
そして、節が1つも無い無地等級は高い&節がある節有等級は安いといった木材業界の当たり前に縛られて考えてしまいがちです。
お客さんにどんな価値を提供するかをないがしろにして、自分たちの努力を原価に(勝手に)積み上げたり、木材業界の慣習を押し付けていてはいけないなと反省したのでした。
きっと、この房どりミニトマトに特化して生産販売すると決めたうれし野アグリも現場スタッフからはこんな意見が挙がっただろうと想像できます。
「食えもしないゴミ(=房)を付けて売るなんてお客さんに迷惑が掛かる」
「房ごと商品にしたら味がバラついて売れなくなる」
しかし、お客さんは「房が付いてるなんて珍しい&可愛い」「ミニトマトの味の違いが楽しめて面白い」と通常のミニトマトに比べれてば高価格な房どりミニトマトを選んでいるのでしょう。
どうしても農業や林業などの一次産業はどれだけ効率的に作って売るかと前時代的なモノづくりを考えてしまいがちです。
お客さんにとって嬉しい&面白いトマト体験を届けつつ、販売価格や生産効率を高める房どりミニトマトは学び深い商品でした。