インナーファクトのAXIOソックスのレビューです。
- ランニング用ソックス選びに悩んでいる
- 長距離レースを走るとマメができやすい
- 汗や雨で濡れた時のシューズ内の不快感を軽減したい
エンデュランススポーツに特化したソックス開発に定評のあるインナーファクトが2021年秋に満を持して販売する新作ソックスです。
- ソフトだがフィットする履き心地、5本指でも履きやすい
- 履き口に羽根が付いており脱ぎ履きしやすい
- 吸湿速乾性が高くドライで匂いにくい
トレイルランニングやウルトラマラソンといった長時間・長距離でのエンデュランススポーツの運動環境を考慮し、新素材ウール・NIKKE AXIO®をベストバランスで混紡しています。
従来のウール素材と比較して吸湿速乾性・耐久性・防臭性・吸湿速乾性の高さが魅力です。
ハダ
毎日の練習から100マイルのトレイルランニングレースまで幅広く愛用しているインナーファクトのソックスですが、今回のAXIOソックスは締めつけ感の少ない柔らかな履き心地が特徴です。しかも耐久性や防臭性も高いのがお気に入り
2021年8月現在は2021年秋の発売に向け、製品の最終調整中とのこと。
全国のランニング専門店でも取扱いが始まると思いますが、公式オンラインサイトからの購入がスムーズです。
新素材NIKKE AXIO®を採用したメリノウール混紡トレイルランニング用ソックス
インナーファクト・AXIOソックスの概要は以下です。
- 価格 2,750円(税込み)
- サイズ S(22〜24cm)、M(25〜27cm)、L(28〜30cm)
- カラー チャコール、マスタード 計2色
- 素材 ウール56.6%、ナイロン36.5%、ポリウレタン3.5%、ポリエステル3.4%
- その他 現在は5本指タイプのみだが、ラウンド型や足袋型、厚みを変更したバージョンも生産予定
- 販売 2021年秋予定
見た目はシンプルな靴下です。
現在は2色展開ですが、チャコールもマスタードも上品な色味と質感です。
ランニングソックスにありがちな滑り止めのゴムや過剰なコンプレッションは一切ありません。これは繊維独自の機能性を追求するインナーファクトの開発姿勢のかたちです。
1年以上の歳月を費やし、100足以上の試作品を繰り返し、トップレベルのランナーにテストを繰り返してようやく形になったとのこと。
インナーファクト・AXIOソックスは名前の通り、NIKKE AXIO®という多機能ウール素材を採用しています。NIKKE AXIO®を56.6%混紡することでトレイルランニングに必要な機能を備えた靴下に仕上げています。
「素材や糸の話なんか分からないし興味ないよ」と侮るなかれ。快適性や機能性が重要な靴下だからこそ素材の話を深堀りしていきましょう。
ハイブリッドな多機能ウール素材・NIKKE AXIO®採用
インナーファクト・AXIOソックスの特徴はなんといっても新素材ウール・NIKKE AXIO®を採用している点です。
NIKKE AXIO®を56.6%混紡することでトレイルランニングに必要な機能を備えた靴下に仕上げました。
セーターや登山用ウェアでお馴染みのウールと聞くと「洗濯すると縮む」「長期保管時に虫に食われやすい」など取り扱いが繊細なイメージがあります。
しかし、NIKKE AXIO®はウールのソフトな風合いと機能を生かしながらも耐久性を向上させたハイブリッドな多機能ウール素材です。
NIKKE AXIO®の特徴は以下です。
- 汗をよく吸いすぐに乾く=ドライな履き心地
- 消臭効果がある
- 毛玉ができにくい
- 摩擦に強いので耐久性が高い
- 家庭で洗濯ができる
これらの特徴の秘密はIN-SPIRAL SPIN製法という糸の編み方にあります。NIKKE AXIO®は偏芯螺旋構造と呼ばれる方法でウールの内部にポリエステル製のフィラメントを撚っています。これが特許取得レベルの新技術。
糸の表面をウールにすることでウール特有のソフトな風合いや吸放湿性を最大限に活かしつつ、内側にポリエステルフィラメントを撚ることで、洗濯や着用時の摩擦への耐久性が向上したハイブリットなウール素材です。
NIKKE AXIO®を開発するニッケファブリックは愛知県一宮市に拠点を構える会社です。高校時代を一宮市で過ごしたハダとしてはそれだけで感慨深い…。尾州(愛知県西部から岐阜県一部)は織物の一大産地だがやっ!
1896年(創業125年!)に神戸で創業した日本毛織株式会社(通称・ニッケ)と言えば、学校制服のウール生地で国内シェアトップの老舗繊維メーカー。歴史あるメーカーですが、近年はNIKKE AXIO®をはじめウール由来の先端素材の開発に注力しています。
既にトレイルランニングシーンにもニッケのウール素材は登場しています。
国内アウトドアブランドとして人気のTeton Bros.(ティートンブロス)は独自配合のAXIO素材を使ってウェア・AXIO LITEシリーズを展開しています。販売開始しても即売り切れてしまう人気シリーズですね。
国内アウトドアガレージブランドのフランク&モリスでは、肌側にメリノウール+表側にポリエステルを使用したNIKKE ActiveWool®を採用したウェアを展開しています。
ニッケ工場が加古川市にあるため、加古川マラソン(12月・兵庫)では、NIKKE ActiveWool®を使用した参加賞Tシャツが配られます。毎年Tシャツ目当てに参加しています。スーパーフラットな河川敷折返しコースなのでベストタイムを出しやすいのも見逃せません。
他ブランドや他インナーファクト製品との比較
インナーファクト・AXIOソックスとハダが所有する他ブランドの靴下の比較してみました。
- パタゴニア LW・メリノ・パフォーマンス・アンクレット・ソックス
・2,530円(税込)
・メリノウール58%+ナイロン40%+ライクラ・ポリウレタン2%混
・ソフトで柔らかな履き心地だがフィット感は強くない - ドライマックス ライト・トレイル・ランニング(1/4クルー)
・1,760円(税込)
・ドライマックスでは売上No.1のトレラン用ソックス
・厚手だが常にドライ。雨に濡れてもマメや靴ずれがしにくい
履き心地や性能が近いのはパタゴニアのメリノ混ソックスとドライマックスです。
インナーファクト・AXIOソックスは、パタゴニアのライトウェイト・メリノ・パフォーマンス・アンクレット・ソックスのようなソフトな履き心地ながら、ドライマックスのライト・トレイル・ランニングのような耐久性やドライ性能を併せ持っています。
インナーファクトの他シリーズの靴下とも比較しましょう。
- レギュラー(5本指型・ミドル丈)
・2,200円(税込)
・インナーファクトのフラッグシップ的ソックス
・耐久性は高いが洗濯を繰り返すとゴワつきやすい - SKINSOCKS(足袋型・ショート丈)
・1,386円(税込)
・生地が薄く素足感覚で履ける、圧倒的にドライ
・性能は申し分ないが、生地が薄い分、破れやすい - フェザーライト(ラウンド型・ショート丈)
・2,640円(税込)
・インナーファクトお得意の天然繊維ラミーではなく化繊100%
・穴が空きやすい部位にはパイル編みで補強アリ
インナーファクトの靴下と言えば、天然繊維ラミーを使用した吸湿速乾性の高さ=ドライな履き心地が魅力です。
ハダは普段の練習から100マイルのトレイルランニングレースまで幅広く愛用しています。靴が濡れても足が蒸れたり匂いにくいので雨の日の普段履きにも履いています。
インナーファクトのレギュラーモデル/SKINSOCKSはラミー(麻)を80%混紡しており、硬めでシャリ感のある履き心地が特徴です。ソフトな柔らかさというよりもドライでコシのあるシャリ感が強いですね。
レギュラーモデル/SKINSOCKSの違いや形状別の特徴については別記事をお読みください。<【インナー・ファクト】天然繊維ラミーによるドライ感と耐久性が魅力のランニングソックス>
ソフトな履き心地で蒸れにくい
インナーファクト・AXIOソックスの特徴は以下です。
- ソフトだがフィットする履き心地、5本指でも履きやすい
- 履き口に羽根が付いており脱ぎ履きしやすい
- 吸湿速乾性が高くドライで匂いにくい
生地のこだわりは先述した通りですが、多機能ウール混紡生地によるソフトかつフィットする履き心地が特徴です。
やわらかくて適度なクッション性がありながらも足の形に合わせてフィットするのでランニング中の足裏の滑りがありません。
どうしても硬い生地だと5本指タイプは脱ぎ履きにストレスを感じやすいですが、伸縮性が高くやわらかい生地感なのでささっと履くことができるのも嬉しいポイント。
履き口に羽根が付いており脱ぎ履きしやすい点も見逃せません。
ショート丈の靴下は涼しげではありますが、トレイルランニングにおいては小石が靴下の中に入ってくることも多いのでミドル丈以上が好みです。
何度も使っていると洗濯して天日干ししても臭ってしまう靴下もあります。特にポリエステルなど化繊素材がそうですね。インナーファクト・AXIOソックスはランニング後も洗濯後も匂いが気になりません。
1泊2日以上など長時間使用時の防臭性は未知数
インナーファクト・AXIOソックスの気になる点は以下です。
- ウール混紡ゆえ真夏は暑さを感じる
- 300km程度履いたが破れはなし → どのくらい長持ちするか?
- 1泊2日以上など長時間使用時の防臭性は未知数
ウール混紡ゆえソフトな履き心地が特徴ではありますが、真夏はシューズ内に蒸れを感じます。同じくインナーファクト・SKINSOCKSの素足感覚でドライな履き心地には劣る印象です。しかし蒸れは感じるものの、足指や足裏がベタベタになるといったことはありません。
既に300km程度走ってみましたが、破れやほつれはありません。選りすぐりの素材選びと国内生産の縫製クオリティには安定感がありますね。
レース以外で1,000kmを越えても破れなければ完璧なのですが、5本指タイプは親指の先に穴が空いてしまうことが多くあります。練習では薄底のシューズを履くことが多いので踵や親指付け根の耐久性も要チェック。
防臭性がどの程度あるのかはまだ未知数です。ウール混ゆえの防臭性の高さが魅力なので1泊2日のテント泊縦走などでその効果を試してみたいですね。あまえり汗を掻かない夏場のキャンプで2日連続で履いても匂いは気になりませんでした。
シューズ選び同等に大切なソックス選び
ランニングにおいてはシューズ選びと同じくらい靴下選びは重要です。
高機能なシューズを履いても靴下との相性が悪ければシューズ本来のパフォーマンスを出せません。にも関わらずシューズには数万円を払うものの「どうせすぐに汚れるし穴が空くし…」と靴下は消耗品と割り切ってケチりがちです。
100マイルのトレイルランニングレースになると活動時間は24時間をゆうに越えます。大量の汗を掻き、雨に打たれ、シューズの中はぐちょぐちょ。
ごはんは食べられるし筋肉も攣っていないけど、足のマメが痛くて走りに集中できない。足のマメを気にしているうちにランニングフォームが崩れてしまい、いつも攣らないような筋肉が攣ってしまって走れなくなった…なんて経験をしたランナーは少なくないはずです。
100km越のウルトラトレイルランニングレース完走直後のハダの足
過去の練習の成果を発揮する場としてレースがあるとすれば、ウェアやギア選びなどでストレスは感じたくないものです。誰もが実力を発揮できないような道具は選びたくありません。
その最たるが靴下と言っても過言ではないでしょう。毎日当たり前のように履く消耗品だからこそ、レースでも慣れ親しんだものを履きたいですよね。
ハダの靴下選びのポイントは以下です。
- 必要以上に分厚い素材は選ばない
- 滑り止めやコンプレッション機能がある靴下は選ばない
- ぶっつけ本番のレースで新しい靴下は履かない(一度洗う)
今回紹介したインナーファクト・AXIOソックスを履いて100マイルのトレイルランニングレースは出場していませんが、コロナ禍が落ち着いてレースが開催されるようになれば試してみたい安心感のある靴下です。
インナーファクト AXIOソックスは公式オンラインサイトから
2021年8月現在は2021年秋の発売に向け、製品の最終調整中とのこと。
全国のランニング専門店でも取扱いが始まると思いますが、公式オンラインサイトからの購入がスムーズです。
個人的にはインナーファクトの足袋型+足首より上のミドル丈〜クルーソックス丈が好みなので、シリーズの展開に期待しています。
インナーファクト・AXIOソックスのソフトな質感は丈の長い方が似合いそうですし、ハイカーなど登山カテゴリでも喜ばれそう。