木材商社に就職して1ヶ月が過ぎ、最近では製材工場などの現場を訪問させていただく機会が増えてきた。
まだまだ慣れない日々が続いてはいるが、現場で生きた情報を伺うことができるのがなによりの楽しみだ。
日に何千本と原木や製材品に触れる現場の方々とお話をさせていただくなかで気づくことがたくさんある。
製材工場で働く方々は、木を「見る」「読む」能力に非常に長けている。その目こそが品質に大きく影響する。
地域によって山から伐り出される原木の質や径級は異なり、求められる製品の品質・規格も市場や地域によってさまざまだ。
同じものが2本とない原木を一定の品質・規格の工業製品に仕上げる過程では、人の目による選別が欠かすことができない。
実際に製造ラインに入って選別工程に同席させていただいても、まだまだ理解できないことが多い。
「なぜこの柱は特等で、あの柱は特一等に分けたんですか?」そんな質問を何度も投げかける。
選別を担当する方には(もちろん製品ごとの一定の規格や品質基準があるものの)、彼らなりの経験や感覚に基づく判断を瞬時に行い、それを日々繰り返している。
そこで課題となるのが選別者による判断基準のばらつきだ。話を伺うと、人の目で選別していることもあり、多少のばらつきは発生してしまうのだと言う。
割れ、反り・曲がり、アテ、腐れ、虫食い…製材品の選別基準にはさまざまな項目がある。
選別者による選別基準のばらつきをおさえ、一定の品質・規格を担保できる製材工場は信頼を得られることになる。
そのためには、一定の規格や品質の基準を守ることはもちろんだが、いわゆる経験や感覚をもとに行われる「きわどい材の選別」の可視化が必要だ。
ギリギリOK/OUTの振れ幅を選別者で共有できることが大切なのだと教えていただいた。
自分自身に当てはめてみても、なんとなく経験や感覚で物事を判断していることがたくさんある。しかし、その判断を言語化することは非常に難しかったりするものだ。
経験や感覚の言語化・可視化は、製材業のような1点モノの原木を一定の品質・規格の工業製品にする過程において非常に求められるべきことなのだと感じる。