シカの角や丸太の輪切りがメルカリで取引されているので田舎的小商いについて考えてみた

モノの価値は、いつ、何処に、どんな状態であるかで大きく変わることがとても面白いなと感じています。

富士山頂では500mlペットボトルが1本500円!

いつもコンビニで150円で買っている500mlペットボトルジュース。これが富士山の頂上付近では1本400-500円で売っています。

  • 「いつもより3倍以上高いジュースなんて買わないよ」
  • 「ここまで運ぶための物流コストが含まれているから当たり前」
  • 「もう喉がカラカラ。500円払ってでもコーラが飲みたい!」

どう思うかは人それぞれですが、ぼくは富士山頂で飲むキンキンに冷えたコカ・コーラに500円を払ってしまいそうです。絶対美味いっすよね。

 

富士山にある山小屋・鎌岩館のWEBにも説明がありました。

なぜ飲料水などの物価が高いのでしょうか?
山小屋での値段には、下界の価格設定とは違い、運搬する際の運賃が含まれております。

富士山まで飲み物や食料を運ぶには、下界からトラックで五合目まで運び、小屋の近くまでをブルドーザーで、あとは、全て人力で運んでおります。ご理解頂ければ幸いです。

参考価格:500mlのペットボトル400円

下界からトラック+ブルドーザー+人力で運んでるんですね…!

音楽フェスで丸太の輪切りが飛ぶように売れた!

昨年、愛知・蒲郡で開催される森、道、市場という音楽フェスに西粟倉・森の学校として出展しました(アジカンと在日ファンクが最高でした!)。

 

木製雑貨と合わせ、実験的に直径30cmくらいの丸太の輪切りを販売してみたところ、これが1枚1,000円で飛ぶように売れました。

その時の様子についてはこちらの記事「95%以上の日本人が丸太の値段を知らないからこそ林業は可能性のある産業だ」に書きました。

 

木は日本中に生えているけど、丸太の輪切りを売っているお店はほとんどありません。丸太の値段はたかが知れているけど、多くの人がその値段を知りません。ぼくが住んでいる村で丸太の輪切りを販売しても買う人なんて居ないけど、音楽フェスならたくさんの人が買ってくれます。

 

林業は斜陽産業だと言われて久しいけど、95%以上の日本人が丸太の値段を知らないからこそ林業は可能性のある産業だと信じてやみません。やり方はいくらだってあるはずです。

メルカリでシカの角が5,000円で売っている!

メルカリでどんな商品がいくらで販売されているかを調べるのが好きなんですが、本当にいろんなモノが出品されていて驚きますね。そんなの誰が買うのよって商品もすでにソウルドアウトしていたりします。

メルカリは、自分にとっては物置の肥やしにしかならないものが、誰かにとっては探し求めていた一品になるかもしれない素晴らしいサービス。

 

メルカリではシカの角まで出品されています。3歳程度の雄シカの角は5,000円。頭蓋骨付なら10,000円!インテリアやDIYの材料、犬のおもちゃにも使われるようです。

写真は今年獲れた雄シカの立派な角。狩猟で雄シカを獲れば当然シカの角も手に入りますし、山を歩いていれば拾うこともあります。

でも、その一方で立派な雄シカの角はそうそう手に入りませんし(雌シカばかりが獲れてしまいます)、10本くださいと言われたら急には用意できないのが歯がゆいところ。

 

ちなみに上に書いた丸太の輪切りもメルカリで2,000-3,000円でバンバン出品されています。メルカリは送料込みなので、「重くて・安くて・かさ張る」木材は物流コストが高くなりがちなのが痛いところですが…。

新書をAmazonで買って読み終わる前にメルカリ出品

Amazonで定価購入したビジネス新書を手元に届いた時点でメルカリに出品するメルカリハックがあります。

新書が発売されてすぐならメルカリでも定価に近い価格で取引されますし、割とすぐに購入してもらえるので「売れちゃったから早く読まなきゃ」と読書も捗ります(笑)

読み終わってからBOOKOFFで売っても大した値段にはなりませんが、新書発売→Amazon即購入→メルカリ即出品→即読書をすれば、実質的に新書をかなりお値打ちに読むことができますし、読書ペースも進むので一石二鳥

発売されてから1週間、2週間と時間が経っていくと少しずつ値段が崩れていくので面白いですね。時は金なり。

今は価値が無くても仕組みがあればお金が生まれるモノ

狩猟で捕まえたシカを解体しジビエにする過程で発生する内臓や骨はドッグフードに加工できることを最近知りました。

内臓や骨は本来なら山奥の地中に埋めるか廃棄物処理場で有料で引き取ってもらうものです。低カロリーで高タンパクなシカ肉はワンちゃんの肥満予防にも最適!

臭いし腐るし放っておいても価値にはなりませんが、適切な流通に乗せることができれば、廃棄するものからお金が生まれます。

シカやイノシシ自体を捕獲することによる報奨金(国や県、自治体から支払われます)だけではなく、肉自体はジビエとして販売、内臓や骨はドッグフードの原材料に流通、毛皮は革になめし、角はメルカリで売る(笑)内臓を抜いてしまえば重さが半分になるようなシカですが、こう考えると捨てる所がほとんどありませんね。

 

また、私たち木材加工会社は無垢フローリングなどを製造する過程で節の処理に埋め木を使うのですが、それは埋め木屋さんから購入しています(ニッチな業界ですね)。

埋め木は木の枝から製造するのですが、埋め木屋さんは原材料になる枝が手に入りにくいと困っています。山には枝なんてたくさんあるのにそれを集める人がおらず安定供給がままならないし値段も上がっていると課題を感じているそう。

だったら徳島・上勝町の株式会社いろどりの葉っぱビジネスのごとく、おじいちゃんおばあちゃんに山に入ってもらい枝を集めることができないかと社内で話題になりました。おじいちゃんおばあちゃんの副業として、新たな雇用にも繋がりそうです。なにより、ぼく自身も毎日狩猟で山に入っているので枝を集めるのは簡単。

 

田舎発のビッグビジネスを生み出そうと考えると、一向に良いアイデアは生まれてきません。でも「いつ、何処に、どんな状態であるか」でモノの価値は変わるので、田舎では価値がないと思われているモノでも、新しく価値を生み出し、小商いにできるものってたくさんあるんですね。

まずは自分自身が実践者になるべく、メルカリでシカの角を売るところから始めてみようかな。メルカリのような誰もが小商いを始められるC2Cプラットホームを生かさない手はないですから。

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