ウルトラマラソン&トレイルランナーのハダです。
2020年3月21日(土)〜22日(日)に兵庫・神戸で開催された六甲縦走キャノンボールラン2020に出場しました。
参加したのはPOWERの部で六甲縦走往復の112kmです。
今回は六甲縦走キャノンボールラン2020(POWERの部112km)の大会レビューです。
- 六甲縦走キャノンボールランってどんな草レース?
- 大会の雰囲気やコース、難易度が知りたい
- 草レースの装備や補給食は何が必要?
ハダは岡山に住んでいることもあり、出場するレースは関西エリアが中心です。
トレランレースで知り合った関西ランナーから「キャノンボールは一度は走ってみたほうがいいよw」と何度も(強く)おすすめされてきました。
噂に聞くキャノンボールの魅力を体感するべく、六甲縦走を往復するPOWERの部(112km)に参加しました。
ハダ
4月末に開催される予定だったUTMF2020直前の調整レースとして位置づけていましたが、UTMFはコロナウイルスの影響で中止になってしまいました(泣)
六甲縦走キャノンボールランとは?
六甲縦走キャノンボールランは、兵庫・神戸〜芦屋〜西宮〜宝塚を横断する六甲山系を縦走する草トレイルレースで。
六甲全山縦走と呼ばれる総距離42km&獲得標高2,500m程度のコースを走ります。
3月と10月と年に2回開催され、今回で開催22回目を迎える関西の歴史ある大会です。
- 開催日 2020年3月21日(土)21時スタート
- 開催地 兵庫・神戸〜芦屋〜西宮〜宝塚
- 出発地 須磨浦公園(神戸市須磨区)
- 参加費 3,800円(保険料含む)
- 距 離 総距離85km&獲得標高5,600m程度
- コース 須磨浦公園~宝塚(塩平寺下の広場)~須磨浦公園
- 備 考 毎年3月と10月の年2回開催
草レースだけあって参加費用が安いのが嬉しいですね。
走りたいと思いながら挑戦できていなかった六甲全山縦走を楽しめるのもポイント。
今回参加したPOWERは六甲全山縦走を往復する、総距離85km&獲得標高5,600m程度のコースです。
公式サイトではPOWERの部は112kmと表記されていますが、実際は総距離85km&獲得標高5,600m程度です。
POWERの部は3月21日(土)21時スタートなので、スタートから9時間以上はナイトランのパートが続きます。
ナイトランは1人では練習しにくいので良い練習になります。他のランナーと一緒なら怖くないですもんね。
次の日は月曜日で仕事なので3月22日(日)の夕方までには帰ってきたいなと計画していました。
とはいうものの、順位を競うレースではないのでキャノンボールを雰囲気を存分に楽しみたいと思っていました。
個人はもちろんチーム戦もあり 56kmから168kmまでコースは8種類
片道42km&獲得標高2,500m程度の六甲全山縦走(須磨浦公園〜宝塚・塩平寺)
ハダが出場したのはPOWERの部ですが、六甲縦走キャノンボールランは草レースとは思えない幅広い難易度別コースが用意されています。
コースは合計8種類。
56kmの六甲縦走片道から168kmの六甲縦走1.5往復までありますw
- SPEED 56km 六甲縦走片道(宝塚~須磨浦公園)
- NIGHT SPEED 56km SPEEDの夜Ver.
- POWER 112km 六甲縦走往復(須磨浦公園〜宝塚〜須磨浦公園)
- RAINBOW 168km 六甲縦走1.5往復
- TEAM 112km 女性2人を含む5人1組でPOWERを走る
- BUDDY 112km 男女ペアでPOWERを走る
- GAY 168km 男ペアでRAINBOWを走る
- STAIRWAY TO HEAVEN 112km 女ペアでPOWERを走る
コロナウイルスの影響で残念ながら中止になってしまいましたが、人生初100マイル(=160km)レース・UTMF直前の調整として参加予定だったのでハダはPOWERの部(112km)にエントリー。
ハダ
六甲全山縦走を2往復(!)するOVER THE RAINBOWという信じられない距離に挑む猛者もいました
UTMFの調整練習と偉そうにしていたものの、結果は片道43kmでDNF。
六甲全山縦走を往復するPOWERどころか片道のNIGHT SPEEDになってしまいました…。
今回はツイッターで知り合ったトレイルランナーの皆さんと一緒に走らせていただいたのですが、猛者たちのハイペースに付いていくのが精一杯で心が折れてしまいました。情けない。
エンジン以外は何でもありの六甲縦走キャノンボールラン
六甲縦走キャノンボールランの魅力はそのルールにあります。
公式サイトの説明文を抜粋したものが以下です。
- エンジン以外何でもあり
人力、MTB、馬、ミニチュアポニー、ウィングスーツ、グライダー、スケボー等、とにかく六甲縦走路を1番早くゴールした者が勝者 - 死なない
- 酒に飲まれない
- あまり文句を言わない
- 万が一、ポリスに捕まってもキャノンボールランの名前は出さないように
- 恋人募集中の方は、ゼッケンにマジックで「募」と書く事を認める
- エイドでの投げ銭とマイカップに協力してください
ハダ
トレイルランニングレースではないので馬に乗っても自転車に乗ってもOKw 実際にチャリを担いで山を登る参加者も居ました
この雑なノリがキャノンボールが愛され続ける理由なのでしょうか…!
六甲縦走キャノンボールランは多くのボランティアスタッフによって成り立っており、どこに出現するか分からない変わり種たっぷりの私設エイドも特徴です。
- スイーツ
- カレーライス
- 流しそうめん
- 刺し身の盛り合わせ
- 日本酒、ビール等のアルコール類
- エロ本
六甲縦走キャノンボールランは草トレイルレースとは思えないエイドの豪華さが魅力です。
過去にはお刺身の盛り合わせまで登場したことがあるようです。
そして、もはやキャノンボール名物となっているエロ本エイドも登場するそう。
エロ本エイドで記念写真を撮影するのがキャノンボールの楽しみどころの1つです。
ハダ
ボランティアによる私設エイドのため、利用させていただいたエイドにはチップを払います。毎回100円程度を払っているランナーが多い印象でした
コース途中には住宅街や展望台など観光地走ることもあり、自動販売機で水分補給をすることも可能です。
私設エイド用のチップと自販機での水分補給用に小銭を用意しておくと良いです。
ハダは500mlソフトフラスク2本(=1L)でスタートし、片道42kmの間に自販機で500mlペットボトルを2本購入したのみです。
六甲縦走キャノンボールランを走ってみた
六甲縦走キャノンボールランを様子をまとめました。
ツイッタランナーと合流
今回の六甲縦走キャノンボールランは普段ツイッターでやり取りさせてしているチェルさんを中心に10人のツイッタランナーで参加しました。
コース中にマーキングが無かったり、長距離のナイトランになるため1人で走るのは不安だったので誘ってもらえて嬉しかった。
本名も素顔も知らないツイッターのお友達ランナーとハジメマシテ!と合流して一緒に夜通し山を走るんですからキャノンボール以上にオフ会のような気分です。
岡山から参加したハダを含め、愛知、静岡、千葉と全国からキャノンボール目当てにランナーが集まりました。
お会いしたことがあるのはネムネムさんだけだったので、楽しみな反面で緊張していたのですが、お会いしてみれば皆さん気さくな方ばかり。
今までは1人で山を走ってばかりでしたが、ツイッターを通して全国のトレイルランナーと知り合うことができてSNSの面白さを実感しています。
三ノ宮駅で集合し、みんなでとんかつを腹いっぱい食べ、スタート会場の須磨浦公園へ向かいました。
スタート直前
須磨浦公園駅に到着すると、すでにトレイルランナーがたくさん。
受付ではステッカーやハンバーガーをいただきました。合わせて消毒用のアルコール(焼酎)も勧められましたが、さすがに飲む勇気はありません…。
出場するPOWERは21時スタートですが、今回は恒例の開会式は無し、受付次第随時スタートということで「ちょっと早いですが、行きますか!」と20時30分前に10人でレーススタート。
スタート〜掬星台
須磨浦公園をスタートするとまずはひたすら階段を登ります。須磨浦公園は海沿いでほぼ標高10m程度。
受付で渡された説明にも書かれていた通り、すれ違う人とはなぜか「アロハ〜✋」と挨拶を交わすのがキャノンボール流。
階段を登り、トレイルに入り、また階段を登り、トレイルを下り、と短いスパンで状況が変わっていくので楽しいですね。
どんどん頭と身体のモードを切り替えていかないとスピードが出ません。
キャノンボールには何度も出場し、六甲全山縦走にも詳しいチェルさん&ミックさんがグループをガシガシ引っ張ってくれました。はえぇ〜!
六甲名物の馬の背に到着。
想像以上に険しくてゴツゴツしています。
景色が見渡せれば最高ですが、真っ暗闇で怖い…。
5〜6kmほど走ったところで初めてのエイドが登場。
まさかの日本酒のみ。これがキャノンボールッ!
「飲まんともったいないええお酒ですよ」とおすすめされましたが、飲む勇気がありません。
他ランナーは酒を飲んだ状態で六甲全山縦走を走り切れるのでしょうか…。
キャノンボールはトレイルばかりではなく「え、こんな市街地を通るんですか?」と驚くような道も進みます。
コンビニや自動販売機もあるので途中で補給しやすいのが有り難いですね。
市街地は六甲全山縦走の看板も少ないため、ロストしやすいポイントとのため注意とのこと。
UTMF完走者やサブ3ランナーは上りでもほとんど歩きません。グイグイ上る。
トレランでは上りが遅いと結果が出ないとよく言われますがこういうことか…。
ついていくだけで精一杯でしたが、スタートから15kmほどの地点の上りでついに足が攣ってしまいました。情けない気持ちとともにグループから離脱。
ザックに携行していたトレランポールを使い、少しでも追いつこうと山を登れど誰にもすれ違いません。
一度も走ったことのない夜の山は不安を煽ります。
なぜかコースに(ランナーが怪我をした?)血痕が残っており、血痕を頼りにコースを進む名探偵スタイル。
しばらくするとなぜか山中から松任谷由実「やさしさに包まれたなら」が聞こえてきます。
天狗エイドに到着してみれば小学生がリコーダーを吹いていました。
休憩していたとぅくろーさんとも合流し、エイドで温かいレモンティーを飲んで回復。
とぅくろーさんとおしゃべりしながら走り続けると、スタートから25kmほどの地点、ようやく掬星台に到着しました。
掬星台〜折返し地点42kmでDNF
掬星台では感動するような神戸の夜景を眺めることができました。
さすが観光地だけあって25時を回っていても観光客がたくさん居ます。
一緒にスタートした皆さんが待っていてくださったおかげで(お待たせしてスイマセンでした…)再度合流して走り始めます。
残りは17km。ここからはグループ内のペースに合わせて小グループを作ってランを開始。
しばらくはロードの下りが続いたので随分とリズムが戻ってきました。
最高峰の六甲山でも標高1,000mを越えないコースですが、少し立ち止まると途端に身体が冷えて凍えてしまいます。
自販機で水分補給しつつ、エイドでは温かい飲み物を飲ませてもらい身体を温めます。
携行性重視でエナジージェルばかりを飲んでいたので温かい飲み物が身体に染みる。
掬星台を越えてからは六甲山に向けてロードが続きます。
夜中にヘッドライトを付けて短パンTシャツで走る怪しい集団なのでナイトドライブ中の若者に「頑張れ〜」と何度も声を掛けられます。
六甲山を越えてしまえばあとは下り基調のトレイル。
35km以降のラスト7kmはしっかり走れるトレイルも多く、気持ちよく走ることができました。
そして、28時(明け方4時)頃にようやく折り返し地点42kmの塩尾寺に到着。
ゴールという雰囲気は皆無で簡単なエイドと休憩するランナーがちらほら居るのみ。
折り返してもう42kmを走る気力は残っておらず、DNFしました。
初参加のキャノンボールは六甲全山縦走・往復達成ならず片道42kmでリタイアです。
ゴール〜帰宅
折り返し地点・塩尾寺からJR宝塚駅まで小走りし(3km、15分程度)、夜明け前のコンビニでどん兵衛を啜りながら始発電車を待ちます。
電車に揺られて1時間弱、スタート地点の須磨浦公園駅の隣駅・須磨駅の駐車場に到着。電車で寝過ごさなくてよかった…
車で15分ほど移動し、兵庫・明石の龍の湯(休日は朝7時オープン、サウナ&露天風呂付!)にピットインして冷えた身体を温めたのでした。
神戸〜岡山・西粟倉村までは車で2時間弱なので、お昼過ぎには帰宅することができました。
NIGHT SPEEDの場合、夜21時にスタートし、始発前にはゴールに到着できるので休日夜を有効活用したナイトラン練習として生かせそうです。
六甲縦走キャノンボールランのまとめ
六甲全山縦走を往復するどころか、片道42kmでDNFしてしまいましたが、結果は以下でした。
タイム 7時間34分02秒
距 離 総距離:43.8km(須磨浦公園〜塩尾寺、NIGHT SPEED仕様)
標 高 獲得標高:2,510m
キャノンボール出場前はナイトランで道も分からないこともあり、片道9時間切り・往復18時間切りができれば御の字だと考えていましたが、実力不相応のハイペースで片道で試合終了。
しかし、ツイッタランナーの猛者たちに引っ張っていただいたおかげで想像以上に良いタイムで六甲全山縦走・片道42kmを走り切ることができました。
ハダ
往路を共にしたミックさん&ヒロさんは復路もペースを落とすことなく、六甲全山縦走・往復(POWER、85km&D+5,600m)を15時間16分37秒でゴール。すげえ…
六甲縦走キャノンボールランのまとめは以下です。
元々はUTMF直前の調整レースに位置づけていたのですが、そうじゃ吉備路マラソン(2月)、鳥取マラソン(3月)、UTMF(4月)と3大会連続でレースが中止になりテンションはだだ下がり。
六甲縦走キャノンボールランも低いモチベーションで迎えたのですが、ツイッターで知り合ったトレイルランナーの皆さんが一緒に走ってくださったのでとても楽しい時間になりました。
天気にも恵まれ、走りやすい気候の中で神戸の絶景を楽しむことができました。
六甲全山縦走は市街地からアクセスしやすいのでラン後の温泉やビールを味わいやすいのも最高。
コース不明瞭なナイトランなので補給食やギアは十分に用意する
六甲縦走キャノンボールランの良かった点は以下です。
- 六甲全山縦走に詳しいランナーと一緒に走ったので道に迷わなかった
- トレランポールを携行したので上りで負担を軽減できた
- 十分な補給食と気温差に対応できるウェアリングを用意していた
今回は六甲全山縦走に詳しいランナーと一緒に走ることができたので道に迷うことはありませんでしたが、1人でトレイルを走っている時間は夜ということもあり、猛烈な不安に襲われました(泣)。
初めてのキャノンボールに参加する際は(特にナイトランの場合)、六甲全山縦走に詳しいランナーと一緒に走ることを強くお勧めします。1人で走ったら100%迷う自信がありますw
ガシガシ階段を登るようなコースもあるのでトレランポールを携行しておくと随分と気持ちに余裕ができます。腰痛持ちのハダはトレランポールにずいぶんと救われました。
六甲縦走キャノンボールランの反省点は以下です。
- ツイッタランナーの上りペースについていけなかった
- コース把握していないので1人になると猛烈な不安感に襲われた
- エナジージェル中心の補給だったため後半はエネルギー摂取が少なかった
今回は彩の国100mileや加藤文太郎・兵庫縦断176kに挑戦するランナー、UTMF完走者、サブ3達成者の皆さんと一緒に走ることができたおかげで改めて自分の上りの弱さを痛感しました。
あぁ、100mile完走者はこんなペースでガシガシ上るのか…と半泣きになりながら早々に置いていかれました(泣)。
マラソンやトレイルランニングレースに出場するとタイムや順位ばかり気にしてしまいますが、六甲縦走キャノンボールランにおいてはタイムや順位は重要ではありません。
ピリッとした雰囲気は皆無、ワイワイガヤガヤした雰囲気が非常に心地良かったです。
裸足ランナーやワラーチランナー、コスプレランナー…各々が自分の楽しみ方でレースに参加していました。
関西で長年愛される草レースの魅力を体感でき楽しい時間でした。
次は日中の六甲全山縦走を楽しんでみたいなと思ったのでした。
エロ本エイドにて。クロリティ高くて馬の背から落ちそうでした。 #22cb pic.twitter.com/GM79QpxL39
— けんこう堂 繁田雅弘 (@go_kenkoudou) March 22, 2020
ちなみにキャノンボール名物のエロ本エイドは2日目の昼には登場していたようです。折返しも走っていたらエロ本を読めたと思うと悔しい…