無垢フローリングで生活するために考えたい5つのこと(施主支給〜メンテナンス)

材木屋の営業マンとして、毎日のように工務店や設計事務所に木材の営業をするワタシ。

一方で、ウチの会社が運営する国産材に特化したEC・西粟倉・森の学校 Online Shop を通して一般のお客さんと接するなかで、工務店などの施工業者と一般ユーザーの間に木材に関する意識の違いを感じることが多々あります。

住宅購入やDIYを通して無垢の床で暮らしてみたいと思いながらも、「無垢フローリングは値段が高い、反れたり汚れたりするからのちのち困る」なんて話を(ましてや工務店などのプロから)聞いて、木のある暮らしを諦めかけている方に出会うことも少なくありません

だけど「妥協せずに無垢の床にして本当によかったです」という嬉しい声をもらうこともまた事実(これこそ材木屋のやり甲斐!)。

だからこそ無垢材を通して、木のある生活を実現するために考えておきたい5つのことについてまとめてみました。どうぞ!

無垢フローリング、高いものばかりじゃありません

一言にフローリングと言っても、無垢フローリング、複合フローリング、突板フローリング、木目調クッションフロア…とさまざまな種類があります。

そして、無垢フローリングと言っても、杉や桧、パイン(松)などの針葉樹や、クリやナラ、ウォルナットといった広葉樹、ましてやアフリカ原産の聞いたこともないような樹種のフローリングもあるのだから迷うのも無理ありません。

見た目以上に何がどう違うのか全然分かりません。

そのなかでも、国産材(杉・桧などの針葉樹)、さらに細かく言えば、自分が暮らす岡山・西粟倉村周辺の木を素材として無垢フローリングを製造・販売するのが弊社でございます。

「国産の杉や桧ってそんなに高くないんですね」と言われることがあります。

それは一般のお客さんはもちろん、自然素材の家をうたっている工務店の営業マンだって口にするのだから驚くのは材木屋の営業マン(俺)。

価格帯で言えば、坪単価5,000円代の合板フローリングもあれば、坪単価30,000円を越えるような広葉樹の無垢フローリングもあります。

自然素材をPRする工務店がよく使うパイン材(無印などの棚でおなじみ)であれば安くて坪単価6,000〜8,000円代

高級な広葉樹の突板フローリングであれば、12,000円くらいが相場。

そして、杉や桧などの国産材のフローリングであれば、サイズやグレードの違いはあるにしろ、杉だったら8,000円〜12,000円

桧でも10,000円〜14,000円くらいが相場。

もっと安い業者もたくさんあります(自然素材ゆえ、安かろう悪かろうにはご注意くださいませ)。

国産の杉フローリングよりも、大手ハウスメーカーが標準仕様にしているような突板フローリングの方が高かったりもします。

無垢=高い、というわけでは決してなくて、安いものも高いものもあるなかで、使い方や好みに合った無垢材の選び方が大事ということ。

だからこそ、材木屋の自分たちも納品して終わりではなくて、お客さんの要望に合った木材の提案が出来なければ存在している意味がありません。

だって杉や桧は全国に生えてるもの。

企画と提案、そして実現するモノづくりにしか価値はありません。

経年劣化ではなく経年美化。10年後の変化をイメージする

「無垢のフローリングって反れたり曲がったり傷ついたりカビたり…etc……するんですよね?よね!?」という相談を受けます。

…でも、それって無垢だけじゃないですからっ!

無垢以外のフローリングだって、当たり前のように傷はつくし、塗装は剥がれるし、表面は劣化します。

問題は施工直後ではなく、未来の話

ぼくの実家も20年前にマイホームを建てたとき(父ちゃんよくぞ頑張った)、コスト大優先で合板フローリングを張りました。

けれど20年経った今では、表面はパリパリと剥がれ合板丸見え、接着は剥がれて浮いてしまっているし、かつて室内で飼っていた犬の爪の引っ掻きキズが無残にも残っています。

大切なことは、汚れない・傷つかないフローリングを選ぶことではなくて、汚れ方、傷つき方こそ大事なんです。

そして、10年後、20年後の経年変化をイメージすること。

だって、一生に一度の買い物と言われるマイホームを何千万円も払って建てるんだもの。

日本の平均寿命は30年を切るなんて言われるけれど、それでも10年20年は平気で住むことになります。

工業製品をはじめ、多くの人工物は新品のときがいちばん新しくてきれいです。

使い込んで時間が経ち、古くなればなるほど、劣化していきます。

つまり、減点方式のようなもの。

100点からすこしずつ、すこしずつ減点されていくものです。

今住んでいる皆さんの家の床は何点ですか?

一方で、無垢の床は施工された時点で100点ではありません

その時点ではけっして完成していないんです。

時間が経つことで、使い込むことで、美しさを増し、味わい深くなっていく。

それこそが価値。

例えば杉。

使い込んで時間が経つと、日に焼け、木目が浮造りのように浮かび上がり、艶が増し、風合いが深まっていきます。

蓄積された傷や汚れも、暮らしの足跡のようなもの。その足跡には、住むひとの思い出が詰まっているはずでしょう。

経年劣化でも経年変化でもなく、経年美化。

古美(ふるび)ていく床。

人間だって同じです。

歳をとるのではなく、歳を重ねていく。年輪と一緒ですね。

そんな時間を無垢でなら楽しめるのかもしれません。

床の坪単価ではなく、トータルコストと費用配分がキモ

「でも、無垢よりも合板の方が坪単価2,000円も安いじゃないの!予算がないのよ」とお考えの方も多いと思います。

予算が厳しいのはみんな同じです。

家づくりで本当に大切なのはトータルコストとその費用配分です。

考えてみてください。

例えば、一戸建ての延床面積を30坪とした場合の、坪単価2,000円の差額は、わずか60,000円です。

杉の無垢フローリングを家一棟、全部張ったとしても30万円は越えません。

ましてや1階だけ張ったとすれば費用はその半分。

事実、無垢の実現にかかる費用ってそんなもんなんです。

2,000万円の家を建てたとしても、そのフローリング代なんてたかが知れてるんですよ。

家一棟の構造材(柱や梁)だって、無垢材にしたとしてもせいぜい100万円です。

だからこそ、考えて欲しいのが、家づくりのトータルコストと費用配分。

「どうしてもキッチンにはこだわりたいの」と最新の100万円のシステムキッチンを入れたとしても5年も経てばアレヨアレヨと旧式です。

だけどあなたがその家に住む期間は20年、30年、いや、もっとかもしれません。

これから住むであろう期間と家づくりにかかる費用を考えた時に、何に、いくら払うのかを計算することが大切です。

仕事のタスクは緊急性と重要性の二軸で優先順位を考えろなんて言うけれど、家づくりにおける費用の優先順位は、持続性と重要性の二軸なのかもしれません。

10万円の食洗機がなくても生活はできるけれど、靴下でも歩けないほど床が冷たいのでは冬は越せません。

バルミューダのトースターは買い足せるけど、残念ながら後で床を買い足すことはできませんよね。

家を建てるタイミングで、床を張るタイミングで、家づくりにかかる費用の配分を考えてみてください。

建材を施主支給することは決してタブーではない

つい最近、「息子が新築を建てるので、自分が育てた山の桧でフローリングをつくってプレゼントしたい」というご依頼をいただきました。

木の選定から伐採、丸太の製材からフローリングの加工、そして納品。

床材はどっしり30mm厚、天井板やボルダリング用の壁材なんてのも納品させていただきました。

工務店さんの多大なご協力もあり、本当におもしろく素敵なお仕事を経験させていただくことができました。施主支給・万歳。

完成が楽しみ過ぎる。

上の例はすこし極端かもしれませんが、施主支給がタブーなんてことは決してありません。

インターネットを開けば、お客さんがとびきりかっこいい建材を探すことだってできます。

Amazonで翌日には何でも届いてしまうこの時代にモノの値段を隠すことなんてできません。

ノを仕入れられることにはもはや価値なんてなくて、お客さんそれぞれに突き刺さる企画と提案にしか価値はありません。

だからこそ「あの会社この商品を使いたいんです」と思いっきり注文してみたらいいと思います。

注文住宅ならばなおさら。

それに応えられないようなら、その工務店はやめたほうがいいのかもしれません(言い過ぎかしら?)。

あなたの要望を実現するのがプロの仕事です。

自分が最後のピースを埋めて家づくりを完成させる「8割完成の家」、施主自身が工事業者に分離発注する「オープンシステム」、一人じゃ不安なDIYを黒子役としてサポートしてくれる「DIYサポート」。

家づくりや空間づくりに関わるサービスはどんどん増え、施主自身に主体性が求められています。それらサービスの提案者は施主支給を嫌がることはありません、きっと。

だって、施主が建材を支給することは近い将来、当たり前になるはずですから。

無垢のメンテナンスは怖くない。だって金太郎飴だから

「無垢材って自然のものだからメンテナンスが不安」…大丈夫です。

無垢のメンテナンスは怖くありません。だって無垢は金太郎飴なんですから。

削っても凹んでも、そこにあるのはまた木です。

化学薬品入りウェットシートは使わないことや過剰な水拭きをしないなど、気をつけないといけないことはありますが、無垢は削ればもと通り。

これこそ合板フローリングなどの新建材にはないメリットです。

  • 「水染みができた」…大丈夫、紙やすりで少しだけ表面を削ってあげてください。
  • 「モノを落として凹んだ」…大丈夫、水を染み込ませた綿を上に置いてドライヤーを当ててみてください。
  • 「黒ずみが気になる」…大丈夫、ご家庭にあるお酢で拭くだけでもきれいになりますよ。

無垢の魅力はなによりも時間とともに経年美化していくこと。

日々味わい深くなる無垢を愛してあげて、あなたなりの100点に近づけてください。

蓄積された傷や汚れも確かな暮らしの足跡です。

製材屋のオッチャンが言うてました。

「枝のない木なんてない、節があるのは当たり前。節なんて好きな女のホクロだと思って愛したってくれ」これって無垢のメンテナンスにも同じことが言えますよね。

「恋は奇跡、愛は意思」コピーライター・尾形真理子さんの名コピー、好きです。

愛は意思。愛は意思。

木が嫌いなひとなんていないし、意外と無垢のハードルは低い

長々と書いてしまったけれど、ぼくは今まで生きてきて、木のことを嫌いだと言う人に出会ったことがありません。

日本人はみんな分かってる。自然も木も好きだ。

だけど、実際に自分の生活に取り入れようとすると思いのほかハードルが高かったりするもの。

けれど、一見その高そうなそのハードル、意外と意思でどうにかなりますよって話でした。

インターネットで何でもすぐに買える時代だからこそ、買い物に自身の納得感を求めるようになってきました。

ぼくたち材木屋も、お客さんに納得感をもって木を使ってもらえるために企画と提案を続けます。

美しい西粟倉の森も、工場で一枚一枚フローリングをつくっているところも見て欲しい。美味しいジビエも、ほかほか温泉もあるよ。

ところで、家の中でもっとも身体が触れる場所、ご存知ですか?

ほら、足元を見てください。」です。

今も触れているでしょう?

踏み心地はどうですか?冷たくてゾゾゾッと嫌な思いをしていませんか?

無垢材を生活に取り入れて「やっぱり木っていいね」って心から思えるひとが、木を愛してくれるひとがたくさん増えるといいな。

夏はさらさら冬はあったか年中快適。ぼくはもう新建材には戻れそうにありません。

新築を建てる予定はないけど無垢フローリングで生活したい。

そう願う賃貸ユーザーのお客さま向けにこんな製品を作って販売しているのが西粟倉・森の学校です。

ふるさと納税の返礼品にもなっていますよ。

95%以上の日本人が丸太(原木)の値段を知らないからこそ、林業は可能性のある産業だ

ぼくたち西粟倉・森の学校は山から伐り出される丸太を仕入れ加工する木材加工メーカーです。そもそも丸太っていくらぐらいするの?と聞かれることも多いので記事にしました👆

初めてのリフォームはよく分からないからこそ選択肢を増やしましょう

材木屋に勤務していると「自分でDIYするかリフォーム会社に頼むか悩んでいます…」という相談をよくいただきます。

特に「あまり活用できていない和室の畳を無垢フローリングに張り替えたい」という相談が多いですね。

DIYで自分の手を動かせばコストダウンも図れますが、自ら計画・材料調達・施工をしなければいけません

初めての経験は不安も大きいですし、なにより個人の施工技術が空間の仕上がりに大きく影響します。

DIYもリフォームも現場ありきで一概にいくらとは言えないため、まずは見積もりして比較してみるのがおすすめです。

選択肢が用意できているとどんな選択をするにしろ、選択後の満足度は上がるものです。

【無料】リフォームの見積り比較サイト【タウンライフリフォーム】

タウンライフリフォームは全国対応の見積り比較サイト。

3分で申し込みでき、リフォーム価格を把握できるので1つの選択肢になると思います。

DIYするにしろリフォーム業者に依頼するにしろ、それぞれの費用や所要時間がざっくり見えると納得感が全然違いますよ。