あんたの息子を信じなさい、ホリャ信じなさい

ゴールデンウィークは両親が西粟倉にやってきた。

なかなか実家に顔を出さない次男坊にしびれを切らしたのか。それとも、息子がちゃんと生活できているのか現場検証にきたのか。

力男(55)&久美(53)が二人仲良く一泊二日の御来村。朝ごはんもロクに食べず、早朝4時出発の8時到着というブッ飛ばしドライブであっという間に西粟倉に到着。

 

「一人じゃ大変だから手伝ってよ」と、父と和室の床を張り替え、棚をつくり、電球を三つ替え、

「プランターに生えてる野菜使っていいよ」と、母とお昼ごはんをつくったり、コーヒーを淹れたり。

 

せっかくだから遠出しようよ、ということで、

鳥取のパンケーキの美味しいカフェに行ってみれば90分待ち、

それならばと、自然酵母の美味しいパン屋さんに行ってみればすでに売り切れ。

 

もう村に戻って温泉でも行こうや、と温泉でさっぱり汗を流し、

兵庫にホルモンでも食べに行こうや、とホルモンうどんを食べに行き、

コンビニに立ち寄ってビールとツマミを買ってさぁ二次会!

 

と我が家に戻ったのだけれど、テレビっ子の父母とテレビ無し生活の息子ではいかんせん間が持たず…

会話のすき間と沈黙を埋めるようにぐいぐいとビールを飲み干してはやっぱり話すこともなくなり、たいそう酔っ払って(三人揃って)川の字になって寝たのであった。その時刻まさかの21時。

 

そりゃ早く目も覚めるよって、全員が5時起床。父と二人で早朝6時から裏山でタケノコ掘りをしてみれば、母はせっせと朝食をつくってその帰りを待っていた。

 

「ちょっと山見てくるわ」と言って出掛けた父は大量のワラビを抱えて帰ってきて、

「あんた、これ要るでしょ?」と食べ物やらティッシュやらお皿やら、実家から持ってきたモノを大量に我が家に補充していく。

 

あっという間に時間は過ぎて「結局、私ら何しにきたか分からんが〜」「あんたの手伝いしに来たわけじゃないんだでね〜」と文句を言いながら、両親は嵐のように帰っていった。タケノコとワラビを抱えながら。

 

静かになった(そして、寂しくなった)我が家の冷蔵庫を覗いてみれば、ナカモの「つけてみそかけてみそ」カクキューの八丁味噌が居座っていて非常にしんみりしたのであった。ラブ味噌。ラブ名古屋。サンキュー父ちゃん母ちゃん。やっぱり名古屋の味だがね。

 

脳内BGMはハナ肇とクレイジーキャッツの学生節

一言文句を云う前に ホリャ親父さん ホリャ親父さん

あんたの息子を信じなさい ホリャ信じなさい ホリャ信じなさい

 

お盆は実家に帰って母ちゃんのつくった味噌汁(もちろん赤味噌)をすすらせてもらおう。

なんてことを考えていたら、iPhoneの写真データの奥底から力男(21)と久美(19)の青春があらわれたのであった。そりゃあ親もトシをとるし、自分も気づけば26歳なのであった。もっとちゃんとしよう、おれ。

rikiokumi