モノを運ぶためだけの台と侮ること無かれ
物流において欠かすことのできないモノのひとつがパレット。
パレットとはモノを輸送したり保管したりする際に用いる荷物を載せるための荷役台のこと。パレットには木製、金属製、プラスチック製、合板製、紙製などさまざまな素材のものがあります。近年では環境配慮の側面から廃プラスチック製や茶殻混合のものといったリサイクルパレットも登場しています。
パレットをモノを運ぶためだけの台と侮ること無かれ。レンタルパレット市場、これが非常におもしろいのです。
レンタルパレット市場が面白い
レンタルパレットサプライヤーの最大手企業では年間2,000万枚近いパレットをサプライチェーン上でレンタル提供しています。
ただパレットをレンタルするだけではなく、全国に何百と設置されているデポ(小型物流拠点)を通して一貫パレチゼーション(荷物を出発地から到着地まで、同一のパレットに乗せたまま輸送・保管すること)のサポートをしたり、RFIDを利用して1枚単位で個数管理をしたりとサービスもさまざま。
レンタルパレットサプライヤーの方に話を伺ってみると、普段は自社所有のパレットを使っていても物量が増える時期には一時的にレンタルパレットを頼むお客さんがいるようです。
また、荷物を載せたパレットを返送するためだけにトラックを手配して自社工場まで持って帰るという返送コストも馬鹿にならないため、レンタルパレットを導入するケースも増えているそう。「いかに効率的にモノを管理・運搬するか」という文脈でパレットの重要性がよく分かります。
以前、物流倉庫を見学しに行った時には、フォークリフトで荷物をトラックから積み降ろしたり、倉庫内で荷物を移動させたりととてつもない忙しさでモノが流れ動いている様子を目の当たりにしました。そして、モノが動く際に必ずパレットが下から支えている。パレットなしでは物流は成り立たないと言えるほどでした。
木製パレット市場は900億円、年4,000万枚の生産規模
パレットの素材はさまざまなものがありますが、木製パレットの市場はどの程度なのか調べてみました。
日本パレット協会のデータ(2013年度)によると、パレットの年度別出荷額の合計はおよそ1,600億円(2013年)。なかでも木製パレットは900億円。出荷額においては65.1%のシェアでしたが、この数字は年々減少しています(2008年度は80.0%)。
また、年に4,000万枚以上の木製パレットが生産されていますが、こちらも2010年度にはおよそ6,000万枚と減少傾向。プラスチック製パレットの台頭が目立ちます。
荷物が傷つきやすいものであったり、木屑が荷物に付着してはいけないような場合は木製パレットは好まれないようで、業界によって利用されるパレットの素材は異なるとのことでした。
安い・直せる・滑りにくい、木製パレット
木製パレットのメリットは大きく3点。
- 価格が比較的安い
- 修理が可能(壊れた箇所は貼り替えるだけ)
- 滑りにくい
鉄製やプラ製に比べ、コストが低いことが木製パレットのシェアに起因している印象を受けます。
原木高騰によりパイン→国産カラマツにシフトするメーカーも
一方で、原木の高騰などの影響を受けやすいのも課題のひとつ。
木製パレットにはニュージーランドやチリ原産のラジアータパイン、国内ではトドマツやカラマツが使われています。ニュージーランド原木の高騰で国産カラマツに材料をシフトしたという製造メーカーもいくつかありました。
ヒノキなどヤニが出やすい樹種や乾燥がしにくいスギはあまり好まれない傾向にあります。加えて、輸出用パレットには熱処理が不可欠だそう。荷物を載せるだけなんだからなんでもいいんじゃないの?と思っていましたが、そんなに簡単なことではないんですね。
木材市場は製材、パルプ・チップ、合板の3つの分野がその95%以上を占めています。なかでも製材分野ではその80%近くが建築材。
けれど、木製パレットのようなニッチで小さな市場にも木材の活用方法はまだまだありそうです。ざくっとしたパレット業界についての話になってしまいましたが、引き続き調べてみようと思います。