東京を歩いていても木が気になる材木屋のハダです。
東京出張で恵比寿を歩いていたら、偶然見かけたのが杉板本実型枠コンクリート工法。建築業界の方ならご存知の方も多いのではないでしょうか?
杉板本実型枠コンクリート工法
東京でコンクリートに木材の模様を付けた「杉板本実型枠コンクリート工法」をよく見かけます。写真のものは恵比寿。かっこいい。
浮造り加工(木目を残した表面加工)した杉板で型枠をつくってコンクリートを固めるので、コンクリートの表面に木材の模様が付くというものhttps://t.co/yE2ICY6gx6 pic.twitter.com/BtW2jfcQIg— ハダトモヒロ|西粟倉 森の学校 (@hada_tomohiro) 2018年6月13日
こんなにくっきりと木目が浮き出たコンクリートは初めて見ました。
こちらは浮造り(うづくり)加工と呼ばれる木材の表面の凹凸を浮き立たせる表面加工を施した杉板を型枠として使っているので、表情がかなりはっきりとしています。
*浮造り加工とは、木材の表面をブラシで削ることで、木材の硬い部分(=冬目)は残り、木目の柔らかい部分(=夏目)は削り取られた表面加工のこと
コンパネが無かった時代に生まれた工法
「なぜコンクリートに木目なんて付けるの?」
と疑問に思われる方も多いと思います。コンクリートに木目を付けるこの工法は、今では当たり前に使われているコンパネ(コンクリートパネル)がなかった時代に用いられた方法なんです。
今じゃコンパネありきで基礎をつくりますが、まだコンパネがなかった時代には実板を継ぎ合わせて大きな面をつくり、コンクリートを流していたんですね。
杉板本実型枠コンクリート工法のポイント
この施工方法、ハダも興味津々で調べてみました。以下がポイントです。
- 無機質なコンクリートに木目の自然な表情が付く工法
- 表面の凹凸をはっきりさせるには柔らかい杉が適している
- 杉板を浮造り加工することでより木目の表情がはっきりする
- コンパネの代わりに杉板を使うので、板の節穴などは事前に埋める
- 型枠を外すときに木が割れたり木目が埋まるので一度切りの使用
京都を街歩きした時にも見かけた「杉板本実型枠コンクリート工法」。こちらは浮造り加工をしていないため、杉の木目の浮き方が甘め pic.twitter.com/r2b3sSYRga
— ハダトモヒロ|西粟倉 森の学校 (@hada_tomohiro) 2018年6月13日
こちらは京都の街中を歩いていた時に発見したもの。小洒落た飲食店の入り口に使われていました。かっこいい…!
写真のものは浮造り加工をしていないので木目の浮き方が甘め。しっかりと浮造り加工を施してある方が木目が映えますね。ワザと型枠の杉板の厚みをずらして凹凸感を出しているのもポイント。
コンクリート打ちっ放しはよく見かけますが、この木目の表情を出すためにはコンパネではなく杉板を使う必要があるので、手間(=技術)もコストもかかる代物なんですね。
コンクリートなのに杉の木目?”すぎいたほんざねかたわく”を使った建物を探してみよう。
ちなみにハダが働く岡山・西粟倉村の材木屋「西粟倉・森の学校」のブログでも過去にスタッフが記事を書いたことがありました。
地味にSEO検索に強く(キーワードがニッチだからですね)、今でもブログを読んで連絡してくださる施工業者さんがいます。
西粟倉・森の学校でも対応できます
もちろん、今回の記事で紹介した杉の本実板(オプションで浮造り加工も可)も製造できますので、お気軽にハダもしくは西粟倉・森の学校までお問い合わせくださいね(宣伝)!
神保町にて。写真は板表面の浮造り加工無しでうっすら木目柄が表れてかっこいい。都会は無機質な素材を使うことが多いからこそ自然な表情を出したくなるんですね
🌲無機質なコンクリートに浮き上がる木目の美しさ。杉の柔らかさを活かした杉板本実型枠コンクリート工法https://t.co/6w2qkNZkqa pic.twitter.com/pDLfP9hDXn— 羽田 知弘|西粟倉・森の学校 (@hada_tomohiro) 2018年6月28日
表参道にて本日2件目の杉板型枠コンクリート工法を発見。
凹凸の実(さね)が付いていないので、板間のコンクリートの流れ込みが目立ちます。
浮造り加工なし、長さのピッチは短め。
ビル全体と施工面積がかなり大きいのでコスト削減でこの仕様になったと推測。 pic.twitter.com/q4ZnVQouIy— 羽田 知弘|西粟倉・森の学校 (@hada_tomohiro) 2018年6月28日
この記事を書いた翌週にも東京出張があったのですが、またもや発見。探してみるとよく見つかりますね。杉板本実型枠コンクリート工法、流行ってます!