早旬のタケノコ一本、六百円

takenoko

「あたたかくなってきたんで、そろそろタケノコを掘りに行きましょう」

先週の日曜日、近所の友人から田舎の春らしいアクティビティのお誘いを受けました。断る理由などあるわけもなく。いいねぇ。さぁ、いざゆかん!目指すは竹林だーーーーーっと言っている間に、到着。徒歩一分に裏山があるって素ン晴らしい。

 

さっそくクワを片手にザクザクと竹林の中を捜索するも、お目当ての品は見つかりません。地表を掘り起こし、朽ちた竹をひっくり返してみてもヒントすらない。探してもいないのにケモノの糞だけはよく目につくから不思議なもんだ。

おかしいスねーこの前はあったんスけどねー本当なんスよー、と這いつくばって地表を触り続ける友人もなかなか見つけられず。

 

三、四十分もの間、竹林の中を這いつくばった甲斐もあり、ようやく見つけることができました。結果、ちいさなタケノコちゃんが三つ、のみ。うち友人が二つ、ぼくは一つ。

頭の先までスッポリと隠れているタケノコを探し出すのはえらく大変ですねぇと、長い冬ですっかり鈍ったカラダ(特に腰)が申し訳なさそうに言う。ちゃんと運動しますごめんなさい。

 

しばらくしたらまた取りに行きましょう、と友人から有り難く三兄弟全員を頂戴しました。

収穫した三つのちいさな旬。美味しく食べねばいけん!と思っていたのに、いちばん小さな三男坊は知らぬうちにどこかに落としてきてしまいました。すまぬ。

 

茹でるために米の研ぎ汁が要るので米を二合炊いて

米が炊けるのを待っている間に近所の温泉で汗を流して

せっかくならとスーパーでちょっとリッチなビールを買って

(同じようなサイズのタケノコがひとつ六百円で売っていて。高ェ!)

 

茹でたてほかほかの長男&次男。まずはそのまま食べてみる。言わずもがな、美味しいに決まっています。香りふんわり、歯ごたえしっかり、アクも全くない。お次はワサビと醤油で刺身風。うむ。最後にゃ鰹節をまぶしたりして。

あっという間に食べ終わって(すこし酔っ払って)、タケノコ中心にまわる日曜日の午後も悪くないなと思ったのでした。

 

あと二、三週間もすれば、きっと裏山にはボコボコとタケノコが生えてきます。なんたって竹の旬と書いて筍ですから。そして、もう今年はタケノコいらない!と思いながらも、たくさん食べることになる。その時には、旬の有り難みなんて一切感じられないんだろうな、なんて思いながら。

 

フキノトウは開く前にたくさん摘んでおひたしにでもしようと思っていたのに、気づかないうちに花ひらいたものばかりになってしまいました。もう手遅れだ。旬はあっという間に過ぎ去っていきます。

 

旬は、わずかでちいさいから美味しいのだ、きっと。足りないくらいがちょうどいいのかもしれません。

 

なんて記事を下書きしている途中、もういっぱい生えてますよ!と友人がつくったタケノコごはんをさっそく腹いっぱいに食べさせてもらったのが昨晩の話。やっぱり春はおいしい。余韻もつかの間、タケノコラッシュは始まった。