DIYという言葉を頻繁に耳にするようになってきました。
雑誌やテレビでの特集をはじめ、RoomClipやMAKIT!といったDIYメディアが登場したり、DIY-FACTORYやtukuribaといったDIYに特化した店舗も続々と登場しています。
モノであふれ、何でも簡単に手に入る時代だからでしょうか。
だからこそ、自分の頭で考え、手を動かし、自分だけのモノをつくってみたいと考えるひとが増えてきています。
自身作をつくるなら、材料にだってこだわりたい
DIYと木材は切っても切れない深い関係ですから、ぼくたち材木屋にとっては非常に嬉しい流れ。
いろんなひとにチャレンジしてもらいたいし、木を使ってその魅力を感じてもらいたい。
そして、そのためのサポートを丁寧にしていきたいと思っています。
日々さまざまなご相談やご依頼をいただきます。
- テーブル用に岡山県産材のヒノキ天板を探しています
- 天然乾燥のスギ材でベッドをつくりたいんです
こういったご依頼をいただいて木材を製造・納品することがいっそう増えてきました。
せっかくなら地元の木を使いたいと言ってくださる方、化学物質に対する過敏症を考慮して天然乾燥材を求められる方など、お客さんの属性も、依頼内容も多種多様です。
- ホームセンターでは良い材料がなくて…
- せっかくなら、材料にだってきちんとこだわりたいと思って
一方で、こんな声があることもまた事実。
木材を購入しようと思って、真っ先に思いつくのがホームセンターです。
値段も安いし、品揃えも豊富。
さらに、工具のレンタルなども行っており、その場で材料を購入し加工することも可能です。
最近では、プロユースを考慮して早朝から営業していたり。
リアルはコミュニケーションこそ価値
自分で品質や価格を比べてモノを選べるひとや、自分で工具も持っていてある程度の加工ができるひとは、ホームセンターのような便利な場所をとことん使い倒せばいいと思います。
ぼく自身も頻繁にホームセンターに足を運んでは、DIY用の部品を探しています。いつもお世話になっています。
とはいうものの、広大な敷地に平置きした在庫が並んでいるだけで説明が薄かったり、それぞれの分野で専門性の高いスタッフが常時対応してくれるわけでもありません。
商品の置いてある場所までは案内してくれるけれど、商品自体のことを質問しても的確な回答が返ってこなかったり。
すこし前にこんな記事を書きました。
< お花屋さん、開店祝いの御花を選んで欲しいんですけど! >
どこで買っても同じ製品なら、安い方がいいに決まってる。ネットで買えば、手間も省ける。
自分で選んで決めることができるのならば、ワンクリックで買ってしまえばいい。
ですが、その一方で、リアルな場でないとできないコミュニケーションが存在するのも確かです。
みんな、自分で決められないから悩むのだし、よく分からないから尋ねるのだ。
それを解決する過程にこそ、リアルな場でのコミュニケーションの価値があるんだと思ったのでした。
木材って自然のものなので、写真一枚じゃ雰囲気まではなかなか伝わりません。
やっぱり実物を見て、触って、確かめてから買う方が良いに決まってます。
なんなら店員さんのアドバイスなんかも聞きながらしっかりと選びたいもの。
でも、まだまだそういった場所は限りなく少ない。
ぼくたち材木屋も、田舎発インターネット経由で木材を販売するうえで、もっとも苦戦するポイントはここです。
スギやヒノキの色味の微妙な違い、節のありなし・その多さなどなど、伝えたいのに伝えきれないことがたくさんあります。
空中戦ではフォローできないことも多い。
DIY向けプレカットオーダー市場
何でもいいや!ではなくて、せっかくDIYで自身作をつくるならば、材料にだってこだわりたいと考えるお客さんはこれからいっそう多くなってくるはずです。
木材の樹種、寸法、表面仕上げなどのオーダーはもちろん、冒頭の産地指定や天然乾燥材の話のような需要もあるでしょう。
さらに言えば、塗装や接着材の指定も考えられます。
DIY向けのプレカットオーダーも可能性があると感じています。
以前、お話を伺った家具屋さんではこんな話を聞きました。
DIY教室を毎月開催しているものの、DIYワークショップ用の材料の準備に手間がかかって仕方がないとのこと。
お客さんに簡単にDIYを楽しんでもらうために、DIYキットの事前準備をするものの、その準備を人手が少ない中で続けていくのが非常にシンドイということでした。
例えば、ぼくたち材木屋がこの準備(オーダープレカット対応)をすることで、ワークショップが簡単に開催しやすくなることだってできるのです。
同じような相談は、ワークショップを頻繁に開催している工務店さんからもいただいたことがありました。
同じように悩んでいる企業さんは他にもいるのです。
まだまだニッチでマイノリティなDIY市場かもしれないけれど、明確な困りゴトへの解決策提案は、確かな信頼とリピートを生むのだと思ったのでした。
材木屋ができることはたくさんあるゾ。