赤提灯でひとり酒のすすめ

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最近は少しずつ出張の機会が増えてきました。まだまだ上司の同行とともに顔見せ程度のものですが…

学生時代には決して訪れることのなかった地域を訪れることも多くなりました。現在は秋田なうです。

 

すっかり疲れきった夜は、腹さえ満たせればよいと宿泊先近くのコンビニでお弁当だなんて寂しい夜もあるのだけれど、時間と心の余裕があれば、ひとり街を歩いてその街の景色や文化に触れてみようと街へと出歩いています。

 

最近のお気に入りは、赤提灯が軒にぶら下がるような薄汚い昔ながらのお店にひとり凸(突撃)すること。

田舎にあるカウンターしかないようなローカル赤提灯な居酒屋は、食べログにもほとんど情報が載っていません。でも、それがいいのです。

 

「こんばんは」とおそるおそる店内に入り、カウンターに座ってまずはビールを頼む。

店のおかあさんにお薦めを聞いて、とりあえず、それを酒の肴に頼む。

そして、ジモトークで盛り上がる隣のオッチャングループの会話に耳を傾けながら、ひとりでビールを飲むのです。

 

しばらくすると、「ニイチャンも焼酎飲むかい?」と隣に座っていたオッチャンが焼酎のボトル片手に話しかけてくれることもしばしば。

オッチャンがつくってくれた濃い目(それは焼酎:水=8:2くらいの非常に濃い目)の焼酎の水割りをすすりながら、地元の街のこと、オッチャンのこと、自分自身のこと、他愛もない話に花を咲かしながら酒を飲む。そんなひとときが好きなのです。

 

決してチェーン店では味わうことのできない、その土地ならではの空気感と食、会話に触れることのできる瞬間にワクワク。

 

「今はこんなんだけど、オッチャン、昔は相当モテたんだぞぉ」とか「◯丁目の△△さんは実はね…」なんて話を伺いながら、濃い目の焼酎をひたすらに飲む。

 決して、ウィキペディアやまとめサイトには載っていない、その土地で暮らすひとたちの生の情報がなによりも新鮮なのです。

 

そして、「また出張で来た際には必ず飲みに来ますねー!」と約束して店を去る。

「あのオッチャンにまた会えるかな?」と思いながら、再びその街を訪れることが出来る日を心待ちにするのです。

 

地域活性化とかまちづくりだとか、街のあるべき姿がなんなのかだなんてぼくには到底分からないのだけれど、好きな街には好きなひとの顔が浮かぶものなのだと思います。

 

呑んだくれのオッチャン、街の変遷をリアルに話してくれるおかあさん、パチンコとお姉ちゃんのお店の話しかしないニイチャン…

 「またあの人に会うために」街を訪れたい、そんなひとたちが溢れている街はきっと素晴らしい街なのではないかと思った夜なのでした。