家の庭でニワトリ9羽を飼育しています。今回はニワトリの餌について考察してみました。
半家畜・半ペットなニワトリは事業ではなく趣味の延長。だからこそ、安定的な卵の品質にこだわる必要はありませんし、養鶏飼料のコスト削減をシビアに考える必要もありません。
「◎◎を食べさせてみたら喜んで食べた!」「△△は全然食べてくれない…」とニワトリの食いつきに一喜一憂しながら楽しんでいます。
メス6羽で毎日4〜5個の卵を収穫
我が家では現在、以下の構成でニワトリを飼育しています。
- 名古屋コーチン メス3:オス2 有精卵を孵化
- ホシノブラック メス2 知人宅から合流
- 烏骨鶏 メス1:オス1 知人宅から合流
6羽のメスから毎日4個以上の卵が収穫できます。烏骨鶏は毎日卵を産まず2〜3日に1回ペースなので控えめです。
ホシノブラックの毎朝の日課。
朝起きたら小屋を出て産卵箱に入り産卵。
産む前は落ち着かなくてソワソワしてるけど産み終わるとすっきりした顔つきで小屋を出る。
産みたての卵はあたたかい。#ハダん家のニワトリ pic.twitter.com/P2KWbBtXNb— ハダ|西粟倉・森の学校 (@hada_tomohiro) January 16, 2021
夫婦2人生活なのですが、スーパーマーケットで卵を購入することはなくなりました。むしろスーパーマーケットで市販される卵が少し生臭く、味も薄く感じ、物足りないような印象さえ受けます。
DIYで庭に鳥小屋を2つ建て、電気柵で囲っています。夕方〜朝までは鳥小屋+電気柵で眠らせ、朝〜夕方は庭で放し飼いにしています。鳥小屋のDIY方法や獣対策についてはこちらの記事をお読みください。【ニワトリ用 鳥小屋の作り方】木材で飼育小屋を簡単DIYし獣対策の電気柵設置
餌の基本はホームセンターで購入する養鶏飼料
基本的にはホームセンター(ハダの場合、コメリかカインズ)で購入できる養鶏飼料を食べさせています。
いつもコメリで購入している養鶏飼料・成鶏用配合飼料 鶏のエサは20kgで1,480円(税込)です(写真参照)。1kgあたり74円。9羽飼育で1ヶ月に1袋を目処に購入しています。カインズにはこだわりの粗めVer.も販売されており、心なしかニワトリも食いつきが良いように感じます。
ホームセンターで一般的に購入できる養鶏飼料には以下のものが入っています。
養鶏飼料の内容物 日清丸紅印配合飼料 鶏のえさ(西日本飼料株式会社)の場合(コメリで購入)
- 穀類(59%) とうもろこし、マイロ(イネ科の1年草)
- 植物性油かす類(28%) 大豆油かす、なたね油かす、コーングルテンミール、コーンジャムミール
- 動物質性飼料(1%) 魚粉
- そうこう類(1%) コーングルテンフィード、(ふすま)、(米ぬか)
- その他(11%) 炭酸カルシウム、動物性油脂、コーンスチーブリカー、食塩、パプリカ抽出処理物、(りん酸カルシウム)、(植物性油脂)、(無水ケイ酸)
え、ちょ、ちょっと待って!訳分からないモンがいろいろ入り過ぎ!
と驚かれる人も少なくないはずです。実際にハダも戸惑いながらも餌として食べさせています。
基本的には農業や漁業の副産物が主です。調べてみると「コーングルテンミールはトウモロコシからデンプンを抽出する際の副産物なのか」「パプリカ抽出処理物は黄身の色味をよ良くするためなんだな」と理解できるようになります。
一方で、遺伝子組み換えやポストハーベスト(収穫後の農産物に使用する殺菌剤、防かび剤)の心配がある輸入飼料は心配です。
自分が愛情をかけて育てるニワトリにヘンなモノは食べさせたくありません。そして、ニワトリは食べたものを栄養にし卵を生むわけですから結果的にその卵を食べる私達の体にも結びついているということです。
今朝は5個の卵を収穫。狩猟は獲物が獲れるか分からない&捕獲しても解体精肉が大変だけど卵は毎日当たり前のように産んでくれるしすぐに調理して食べられるのが良い。スーパーで買っても意識しなかったけど個々の健康状態で卵の大きさや色味、殻の硬さが異なっていて面白い。#ハダん家のニワトリ pic.twitter.com/QehyGgMqIZ
— ハダ|西粟倉・森の学校 (@hada_tomohiro) February 14, 2021
スーパーマーケットで卵や肉を飼う時はどうしても値段や見た目ばかり気にしてしまいますが、一歩踏み込んで考えると、その動物たちが何を食べて育ったのか=自分たちが動物を介して何を体に取り入れるのかが見えてきます。
ニワトリには伸び伸びとストレス無く育って欲しいし、美味しい卵も産んで欲しい。とはいえ、事業ではないので趣味の範囲で出来る限り健康的な食生活をして欲しいと養鶏飼料に加えて様々なものを食べさせるようにしています。
養鶏飼料の給餌器や水飲み皿は上のようにまとまった量を入れられるものがおすすめです。小さい餌皿や水飲み皿だとニワトリが乗っかって倒れてしまいがちなので鳥小屋のサイズに余裕があれば大きいものを使うと手間が楽です。
米ぬか・野菜クズ・山菜・魚・ジビエ… 何でも食べさせてみた
養鶏飼料をベースに餌として与えながらも以下をニワトリに食べさせています(勝手に食べています)。ニワトリのために用意するというよりも人間の食事で余ったものやご近所さんからおすそ分けしていただくことが主です。
人間の食事で副産物として発生する餌
- 野菜くず 長芋やニンジンの皮が大好き
- 果物の皮 キウイやリンゴの皮が大好き
- 米ぬか 我が家は家庭用精米機で都度精米するので毎日発生する
- 魚介類 魚やイカの内臓など なるべく魚1匹を購入して捌き、余りをニワトリに食べさせる
- ジビエ ハダが猟師なのでシカやイノシシの肉を食べさせる
- 山菜 タケノコなど山で採集してはニワトリに分けてあげる
ご近所さんからおすそ分けしていただける餌
- 古米 農家さんからおすそ分けしていただく
- 野菜くず 白菜など収穫過程で発生するくず野菜
- えごま油の搾りかす 知人の油絞り屋さんからおすそ分けしていただく
- セイヨウミツバチのムダ巣 養蜂業者の知人からおすそ分けしていただく
ニワトリが庭で勝手に食べる餌
- 虫 我が家の庭にはムカデとカエルがいなくなりました!
- 雑草 季節ごとの草刈りが不要くらいになるくらい食べる
その他
- 灰 薪ストーブや薪ボイラーで発生する灰は庭に撒いておく
ハダが生活する岡山・西粟倉村は人口1400人の中山間地。近所には農家さんも多く、古米や野菜くずをおすそ分けしていただいては食べさせています。
ニワトリは人間が美味しいと感じるものを好みやすい傾向があります。口に入りやすいサイズに切ってあげれば基本的には何でも食べてくれます。特に魚や肉、果物には強い反応を示します。鹿肉を頻繁に生でムシャムシャ食べさせてあげられる家なんてなかなか無いはずなのでニワトリちゃん達には感謝してもらって美味しい卵に還元して欲しいですね(笑)
以前捕獲したイノシシの後脚をニワトリに食べさせる。シカ肉と同じように食い付きは抜群。特にメスが大興奮している。毎日栄養たっぷりの卵を産んでくれるのでタンパク質は安定摂取できるようにしてあげたい。ジビエを食べた後に産んだ卵は味が濃い気がするけど気のせいかな?#ハダん家のニワトリ pic.twitter.com/jhYWTKsGSP
— ハダ|西粟倉・森の学校 (@hada_tomohiro) April 29, 2021
セイヨウミツバチを養蜂する仲間からお裾分けいただいた巣。蜂蜜たっぷり&幼虫入りなのでニワトリ達が大興奮。雌の食い付きが良いのは卵を産み続けて栄養を欲しているからなのかも。美味しい卵を産んで欲しい。#ハダん家のニワトリ pic.twitter.com/fFDafoitae
— ハダ|西粟倉・森の学校 (@hada_tomohiro) April 24, 2021
人間だって毎日同じものばかり食べていたら飽きてしまうので、ニワトリにも美味しいものを食べさせてあげたいなと実験的に食べさせています。
ニワトリが好きだと分かっているモノ(=例えば、キウイやリンゴの皮)を食べさせたい一心でスーパーマーケットで買ってしまうこともしばしば。
栄養のある餌を与えないと卵の殻が薄くなる
特にメスは餌への食い付きが非常に強いです。毎日卵(栄養の塊)を生み続けるがゆえに栄養を欲しているのでしょう。
たまに写真のような卵を生むことがあります。悪魔的な見た目ですが、これは栄養の偏りが原因なのか殻が非常に薄い卵です。少しお皿にぶつけただけですぐに割れてしまいました。卵殻はカルシウムが由来しているはず。養鶏飼料にも魚粉や炭酸カルシウムが混ぜられています。猟師という仕事を活かして砕いたシカの骨などを食べさせるのもアリかもしれません。
奥さんの親戚の養鶏場に話を聞いたところ「毎日卵を生み続けるメスは殻の非常に薄い卵を産むこともある」とのことで、実際にそういった卵を食べさせてもらったこともあります。
養鶏飼料さえ食べ続けていれば毎日健康で美味しい卵を産むことができるわけではありません。養鶏飼料はオールインワンでパーフェクトな餌ではないでしょう。そして、ニワトリがストレスなく伸び伸びと暮らし、眠り、適度に運動することも欠かせません。
ニワトリ飼育で生ゴミが減る、庭の雑草や虫が減る
ニワトリを半ペット半家畜として飼育することを強烈におすすめするのは「鮮度抜群の美味しい卵が手に入る」「美味しい鶏肉を食べられる」「ニワトリは可愛い」等さまざまな要素があるのですが、実際に飼育してみて気づいたのは「生ゴミ、庭の雑草&虫が減る」ということです。
ニワトリを庭で飼い始めてから、野菜の皮など生ゴミが減るようになりました。コンポスト要らずで人間が食べない食べものは美味しい卵へと生まれ変わります。
さらに庭の雑草や虫も減っています。ムカデやカエルを見かけなくなりましたし、雑草は草刈り不要なレベル。これはニワトリがすべて食べてくれるからこそ。
人間が食べない野菜くずや雑草、虫を食べて美味しい卵を生んでくれる上に、庭まできれいになってしまう小さな家庭内循環がニワトリを通して垣間見えるのが面白いですよ。