ドイツ最大の雇用産出産業は木材関連業!100万人の雇用を創出している

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今回は林業に関連するエントリー。製材などの木材生産業や家具、住宅など木材関連業は産業の集積を促し、地域のみならず、国の経済社会を支える大きな柱になるという話です。

 

ドイツで100万人の雇用を生む木材関連産業

ドイツの森林面積(いわゆる生産林)は1057万ヘクタールであり、日本の人工林1040万ヘクタールとほとんど同じです。しかし、そこから生産される丸太はドイツの場合、6000万立方メートルと日本の人工林からの木材生産量の4倍以上に達しています(ここではあくまで丸太の場合について)。

 
注目すべきはドイツの内需の大きさです。ドイツで生産される丸太のほとんどは自国内で加工・消費されており、近年では製材品生産量の増加に伴い、製材品の輸出比率も上昇しているとのこと。なんと2009年には5割近くにまで達しているのです。

 
2005年に木材関連業(ここでは林業、一次・二次加工産業、木造住宅、内装、家具、製紙、林業・木材関係の機会等)のドイツ経済に占める重要性を分析した調査報告書が発表されました。

調査報告書によると、ドイツの木材関連産業における雇用はなんと約100万人!電気・電子産業の80万人、自動車産業の77万人をも上回る最大の産業となっているのです!

木材関連産業は林業、木材産業、家具、住宅、製紙など独立した産業(しかも中小の産業群)で形成されており、雇用の裾野が広いことがこの結果を生んでいます。木材関連産業には林業機械・木材加工機械なども含まれています。完成品メーカーを頂点にその関連産業が連なる自動車などとは異なります。

特に、林業機械・木材加工機械は巨大マーケット・欧州で常に国際競争にさらされていることが競争力のある輸出産業にも起因しているのでしょう。STIHL(スチール)あたりがドイツ資本の林業機械メーカーとして有名ですね。

日本の林業従事者は50年で90%が減少

ドイツの木材関連産業の雇用状況に対し、日本の現状を見てみます。林業、木材産業、製紙、住宅などといった木材関連産業としてのデータは見つけられなかったのですが、純粋な林業従事者のデータは見つけることができました。

なんと昭和35年(1960年)から平成19年(2007年)までのおよそ50年間で林業従事者は44万人から5万人まで減少しているのです。88%の減少です。森林率はこの50年でそこまで上下していない中で驚異的な数字です。これでは日本の森林を適切に管理することは難しいでしょう。

 
2003年度から始まった政策「緑の雇用担い手育成雇用事業」(通称:緑の雇用)の効果もあり、新規林業就業者数は年間3000人を越えるようになりました。しかし、給与や労働環境面などの問題もあり、雇用期間が過ぎれば林業界から離れてしまう就業者も少なくないようで定着率に問題を抱えています。

日本の木材関連産業は雇用創出という面でどのくらいの受け皿となりうるのでしょうか。引き続き、調べていきます。