獣害に悩む田舎でこそジビエが食べられていないのはなぜ?

2017年、1頭目の鹿が獲れました。猟期2頭目、雌の子鹿ちゃんです。

猟期2頭目、雌の子鹿が獲れました

あたらしい足跡はあるわ、ほかほかの糞はあるわ、地面には落ち葉がこんもりで罠も隠しやすいわ、なにより近くを通りかかるところを深夜に目撃したこともあり「ここはゼッタイに獲れるぞ」と罠を設置。

小生、狩猟1年目のペーペー、まだ1頭しか獲ったことがありません。にも関わらず、そんなことは棚に上げてなぜか自信満々。当然、根拠のない自信どおりにはいかないもので(当たり前だ)、罠設置から7日目にようやく子鹿が掛かったのでした(ひと安心)。

 

後頭部を殴り、頸動脈を切って血を抜き、山から運び出しては軒先で解体。皮を剥ぎ、内臓を取り出します。そして、これがヒレ、これが背ロース…と先輩猟師から教えてもらった通りに肉と骨、肉と肉を取り分けていきます。

1頭目が獲れた翌日にAmazonでポチったビクトリノックスのナイフが大活躍。マイ・ナイフってテンション上がります。男は道具を手に入れただけで自身が強くなった気がしてしまう。馬鹿だ。いよいよマイ・軽トラも欲しくなってきました。

ミンサーで鹿肉のミンチを大量生産 #ジビエ

ハダトモヒロさん(@hada_tomohiro)が投稿した動画 –

文明の利器、ミンサー(ひき肉マシン)が秀逸すぎる

飯も食わずに没頭すればすっかり深夜、おまけに雪もちらついている。しかも明日は朝イチで出張だ。眠い。だけどまだまだ解体は終わりそうにありません。やべえ。

 

困った時こそ文明の利器、ということでミンサー(ひき肉マシン)の登場。肉をおおまかにカットしてひたすら突っ込めば、アレヨアレヨとミンチが完成!あっという間に2キロ以上の鹿肉100%ミンチが出来上がって解体作業も終了したのでした。ミンサーってすげえ。

鹿肉100%ハンバーグをつくるもよし、鹿肉キーマカレーをつくるもよし、餃子も美味しいだろうし、肉味噌なんかにもチャレンジしてみたい。

「生・焼く・煮る」の三択しかないジビエレシピのバリエーションが広がりそうです。一人暮らし用の冷蔵庫はすでにパンパンだけど、その分だけ妄想も広がります。

鹿が闊歩する田舎ではジビエが食べられない

「シシ(猪)は食うけど、シカはよう食わん」

「鹿で食べるとしたら背ロースくらいじゃな」

地元の猟師のおっちゃんたちは、あまり鹿を食べません。東京ではジビエを扱うレストランや居酒屋が増える一方なのに、鹿が闊歩する当の田舎では鹿が食べられることはほとんどありません。こんなに美味しいのに。

 

つい先日も近所のおばちゃんに鹿を獲って食べた話をしたら「あんた何でも食べるんじゃな〜」と驚かれたことがありました。「鹿肉いりますか?」「そんなんいらん」「あ、ですよね」

白菜やら玉ねぎやら大根やら、いつも野菜を分けてくれるおばちゃんへの御礼は、俺が獲った鹿肉よりも東京出張帰りに品川駅で買ったDEAN&DELUCAのお菓子のほうが良いようです。

 

一方で、東京からきたお客さんに鹿肉を食べてもらうと「鹿肉ってはじめて食べたんですけど本当に美味しいですね」「臭くないしヘルシーだし柔らかい」ととても喜んでくれます。鹿肉を食べることを楽しみに何度も足を運んでくれるお客さんもいるくらいなんだから、素材としてのポテンシャルは高いのだ。

 

地元のおっちゃん・おばちゃん「鹿はよう食わん」

東京のお客さん「鹿肉おいしい」

このギャップってどこから生まれるのかなと思いながら、我流ジビエレシピ開発に勤しむ夜なのでした。

最近のマイブームは鹿肉を1日タレで漬け込んでから圧力鍋で煮る方法。脂身が少ない赤身の鹿肉がほろほろに柔らかくなるんですよ。ご賞味あれ。