製材工場におけるロジスティクスのボトルネックは何処にあるのか?

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製材工場を経営する経営者さんや現場で働かれている方へタイトルの質問をさせていただくと、質問に対する返答はさまざまです。

 

「原木が手に入らないとなにもつくれないからねぇ」

「乾燥機の台数が増えると良いのだけれど、費用がかかる話だから」

「工数をかけてでも、人の目でちゃんと木材を選別しないと」

 

生産能力の向上に直結するボトルネックの課題解決はすべての製材工場が望むもの。

とは言うものの、その把握の方法や測定は、多くの製材工場が課題に感じているように見えます。

 

生産能力は、製材ライン構成や製造製品/人員配置/原木サイズなど、さまざな要素が複雑に絡み合い、決定されます。

 

エリヤフ・ゴールドラット「ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か」では、ボトルネックと生産能力の関係性について触れられています。

工場全体の生産能力は、ボトルネックの生産能力によって決まる。 それ故に、非ボトルネックを改善して効率が上がったとしても、工場全体の効率には全く影響を与えない。  

 

本書では、主人公がある事実に気づくことで物語が加速していきます。

それは、生産過程の中で最も生産性が低い生産過程(ボトルネック)のペースにあわせて、他の生産過程(非ボトルネック)のペースを落とすべきだということです。

そうでないと、非ボトルネックで作る部品は常に余剰在庫になり、在庫が増えることで管理コストが増えるためです。

逆に、ボトルネックをフル稼働させなかった場合、それは工場全体の売り上げ(スループット)の減少に直結するとのこと。

それは、ボトルネックの生産能力=工場全体の生産能力、であるためです。

 

少し古い記事ですが、木材建材ウイクリー(2013年11月11日) では、

今、国産材製材工場のボトルネックはKD設備で、高精度な国産材製材を使おうとした場合、ムクで使うか集成して使うかは別にして、乾燥は必須要件だ。乾燥を効率良く行うには、木屑焚きボイラーを使うのが効率的で、そのためには製材規模も大型化しないと木屑の集荷で苦労することになる。

とあります。

 

「乾燥は必須要件であり、乾燥効率を高めるためにはボイラーが効果的で、製材規模を拡大しなければいけない」という意見が良いか悪いかについてはぼくには分かりませんが、すべての製材工場のボトルネックが乾燥効率ということはないでしょう。

 

自社の製材工場のボトルネックは何処にあるのか?

その問いが尽きることはないのかもしれません。

 

部分的な最適に意味は無い、という事実は製材工場の生産能力ひとつとっても、多くの中間流通業者が介在する木材流通にとっても至上命題なのではないか、と思ったのでした。