注文木造住宅市場の44%は大工・地場工務店がシェアを握っている

photo via Rachel Gallegos

 

人生でもっとも大きな買い物だと言われる家。その家の購入にあたって人々はどんな家を望み、誰に家づくりを依頼しているのでしょうか。

 

日本の住宅建築市場は年間1〜2戸を供給する事業体から年間10,000戸を越える規模のものまで幅広い階層性をもっています。大工、工務店、地域ビルダー、ハウスメーカーと業種はさまざま。また、家づくりの工法にもさまざまなものがあります。木造軸組工法(在来工法)、ツーバイフォー工法、プレハブ工法、重量鉄骨造、RC造などなど。事業体や工法の種類や違いを理解するだけでもかなりの労力が必要になりそうです…

 

「森林と生活に関する世論調査」(H23:内閣府)によると、「新たに家を建てたり、買ったりする場合、どんな住宅を選びたいか」という質問に対し、80.7%の国民が木造住宅を指向しているというデータがありました。「家を建てるなら木の家で!」と望む声は予想以上に大きいものでした。

また、国土交通省の住宅着工統計によると、新設住宅着工戸数の55.8%が木造住宅である(H25)とのこと。10年前の平成16年度は45.4%であることから値が大きくなっていることが分かります。10年前と比べ着工戸数の値は減少していますが、木造戸数はほとんど変化がないことから木造率が上昇しています。

 

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国土交通省のデータによると、木造軸組工法(在来工法)においては年間20戸未満を供給する大工・工務店が総供給戸数の43.5%を占め、さらに50戸未満までのものを加えると59.1%と過半を占めているようです。木造軸組工法の市場においては、年間1〜2棟の家を供給している小規模で地場に根付いた大工・工務店が40%以上のシェアを持っているのです。

ツーバイフォー工法では年間300戸以上を供給する事業体が市場の38.6%を占めている点や、プレハブ工法においては年間300戸以上を供給する事業体が78.1%を占めている点と比べると、その構成比が大きく異なることが分かります。「木の家を建てるなら地元の大工さんや工務店にお願いしたい」という確かなニーズがあるようです。

 

以前、年間数棟を施工している工務店の社長にお会いした際に印象的な話を伺いました。それは、先代(社長の父)が建てた家を30年経ってリフォームしたり、親子2代で家づくりを依頼してくださるご家族がいらっしゃるとのことでした。お隣さんにどこの工務店に家を施工してもらったかを聞き、家づくりをお願いしようと思ったといった声もあるそうです。家族や世代、地域のゆるやかな信頼関係を通して家づくりを頼む事業体を選ぶという選択肢が存在するのです。

都市部では建売の分譲住宅市場が大きくなり既製住宅を買う流れが大きくなっていますが、田舎では上記のような購入経緯も根強く残っているのかもしれません。

 

まだまだ人生で最も大きな買い物をする機会は訪れそうにはありませんが、ハウスメーカーや工務店のホームページをのぞきながらフローリングの樹種や子ども部屋の大きさを考えてしまう週末なのでした。