杉や桧からできた食用パウダーを練り込んだパンやドーナツが登場。木を食べる時代がいよいよやってくる!木食が木材利用の巨大市場に発展したら面白い

飽食の時代と揶揄されるニッポン。いつの日にか(ひょっとすると)木を食べる時代、なんてのがやってくるのかもしれません。

 

2014年11月26日付の中日新聞WEB版に以下の記事が掲載されていました。

スギやヒノキのおがくず 食用パウダーに|中日新聞

静岡理工科大(袋井市)の志村史夫教授(66)らは25日、スギやヒノキの丸太の製材で出るおがくずを食用パウダーに加工する方法を確立し、特許出願したと発表した。浜松市中区のホテルで同日、パウダーを練り込んで試作したパン、ドーナツを披露した。

製材工場の製材過程で発生する「おがくず」を小麦粉ほど細かさのパウダー状にしてドーナツやパンに練り込んだとのことです。スギとヒノキのパウダーを生地全体の約三割とたっぷり練り込みパンを焼き上げたそう!

 

気になるのはやっぱりそのお味…

かむとスギやヒノキの精油成分が口に広がり森林の香りで満たされる。味は特にない。

特にないんかい!とひとりツッコみたくなるところですが、これが美味しかったり、健康に良かったりすれば「木食」は広がる可能性があるやもしれません。

しかし、食べることはできても栄養になりません。ヒトにはセルロースを分解する消化酵素(セルラーゼ)がないので致し方なし。食物繊維ですから便秘の解消にはよいのかもしれません…

 

記事にもありますが、

「これまで捨てていたおがくずが食べられるとなれば、山奥の廃校がパン、パスタの工場に変わっていったり、林業の振興の一助にもなるかもしれない」と期待をかける。

この未来のイメージは非常に大切だと感じています。

 

以前、ブログでこんな記事を書いてみましたが「木を食べること」について大真面目に考えています。

日本林業再生のためにぼくがヒノキを食べて妄想した日本木食計画

 

もはや「木を使って何かつくる」という考え方を捨てなければ本当に木材需要量を2倍3倍にするようなアイデアは生まれないのかもしれないと思うことがあるのです。

木を活用して既存のプロダクトの代替品を「つくる」のではなく、木を「食べる」とか「飲む」とか動詞を変えてしまうような突拍子もない考え方。

木材(良質なものもそうでないものも)が安定的かつ大量に消費され続け利益が出る、そのためには木を食べて消費するぐらいのことをしなければいけないのかもしれません。

 

リラックス効果を狙ったヒノキの葉のアロマオイルにボディクリーム、入浴剤に消臭スプレー。はたまたヒノキの酵素風呂。美容や健康分野で昨今広がりつつあるヒノキをはじめとした国産材の動き。次はもう、いよいよ食べるしかない。

 

いつか日本の将来に「やっぱり尾鷲ヒノキの赤身は美味いなあ」とか「吉野スギの柾目は味わいが深いですね」なんて会話があってもよいのではないかと真剣に考えています。

町のスーパーでは産地ごとにスギやヒノキが並ぶ。煮るなり焼くなりした木が家庭の食卓を彩る。産地に足を運んで丸太の1本買いをするレストランシェフも現れたりして。そして、木を食べることが木材利用の超巨大なマーケットに発展していたら面白いじゃないですか。