コカ・コーラの競合って本当にペプシなんですか?

3976015338_524fe7f4f0_o

材木屋で働き、木材業界(の端っこ)に身を置いていると否応が無く耳にする「外材(外国産材)が日本の木材業界をダメにした」という風潮。

これ、聞く度に耳に違和感を感じます。でも、本当にそうなんスか?それでいいんスか?って。

 

◎国内中小企業 VS 大手&外国資本

木材業界あるあるの国産材 VS 外材、という構図だけではなく、他にも、

 

・工務店 VS ハウスメーカー

・地域の商店街 VS イオンモール

・喫茶店 VS コンビニの100円コーヒー

…と近しい例を挙げ出したらキリがありません。

 

世間は「国内中小企業 VS 大手&外国資本」といった構図を誇張して描きがち。でも、それって大きなマーケットを見ているようで、実は目線が狭いようにも感じます。

天災のごとく突然起こったわけではないし、ペリー率いる黒船来航・開国せよ!という強行突破でもありません。着実に確実に、自分たちの周りで起こってきたことです。

そして、市場に確かな需要があるからこそ、これらの企業が生き残っているわけだし、生き残っている理由は企業努力の賜物以外のナニモノでもありません。

 

◎敵をつくり、否定するのは簡単

「ハウスメーカーの家づくりなんて適当なモンだよ」

「イオンモールが近所に完成して、すっかり客足が遠くなってねぇ…」

 

景気や市場といった環境のせいにしてしまいがちだけれど、それらに所属し構成しているのもまた自分たち自身なわけで。

「ぼくの地元、何もなくて本当にツマンナイまちなんですよ」と暮らすまちを卑下するそのひと自身もツマンナイ地元を構成している一部分。

 

うまくいかない理由を環境のせいにするのは簡単だけれど、それでは何も解決しません。「昔はよかったね」なんて懐古主義に浸っても、過去は戻ってきません。今、ここで、変わらなきゃ・やらなきゃ生き残れやしない。

敵をつくり、否定するのは簡単です。だけど、もしも敵を倒したからといっても、その先には実は何もないのかもしれません。実は勝手に自分たちがでっち上げただけの虚像でした、なんて。

 

◎コカ・コーラの競合は本当にペプシなのか?

そして、当たり前のように大敵と設定している競合企業は、本当に競合なのか?という疑いを持たなければいけないと思うのです。

国産材 VS 外材、工務店 VS ハウスメーカー、地域の商店街 VS イオンモール、喫茶店 VS コンビニの100円コーヒー…と、上に挙げた構図が本当にただしいのか、その問いをやめてはいけない。

 

コカ・コーラの競合は本当にペプシなのか?

 

確かに同じ大手飲料メーカーであり、同じようにコーラを販売する企業としては完全に競合しています。

だけど、ぼくたちエンドユーザーはそう認識しながら、コーラを選んでいるかと言うと、そうではないはずです。

 

ぼくはコーラ大好きなので、コンビニでよく買うことがあります。

いつも買うコーラは決まってコカ・コーラゼロ。ふつうの赤ラベルも買わない。これ、ゼッタイに。コカ・コーラゼロがいちばんうまいんス。

 

コカ・コーラゼロが無い場合は仕方なく、ペプシを買う。

サントリー社のメッツをはじめとしたそれ以外のメーカーのものも買いません。だから、コーラを買うという選択をする時に、ぼくの頭にはコカ・コーラかペプシしかないのです。優先順位もはっきりしているし、それ以外は選択肢にすらあがっていのです。

 

でも、コンビニにふらっと立ち寄った時に悩むんです。

コーラを買おうか、コーヒーを買おうか、炭酸水を買おうか、とか。

飲み物を買う理由が「喉が渇いたから」とか「眠いからシャキっとしたい」という理由であれば、これらのどの飲み物も合致します。

 

その時、ぼくにとってのコーラの競合(というか選択対象)は、ウィルキンソンの炭酸水かコンビニの100円コーヒーなんです。

結局、「最近コーラばっかり飲み過ぎだわ…」「そういえば、今日はコーヒー2杯も飲んでる」なんて考えたあげく、ウィルキンソンの炭酸水を買うこともあるのです。その瞬間、(ぼくのなかで)コカ・コーラはウィルキンソンに負けたわけです。

 

◎エンドユーザーの秤に乗っているものは何だ

いつも身を置いていると、ついつい業界目線でモノゴトを考えてしまいがち。ぼくもエンドユーザーとしての立場(=消費者としての自分)を持っているはずなのに、業界のことをその立場で考えられないことも多い。

 

家を建てようとしているひとにとって、国産材の杉フローリングの競合は、外国産パインのフローリングではなく、食器洗濯機なのかもしれません。床にかかる費用を抑えて、電化製品をひとつ買おうか悩んでいる可能性だって大いにあります。

 

本当は喫茶店でゆっくりコーヒー片手にトーストでも食べたいと思っているひとも、「時間がない」「近くに店がない」ことを理由に、仕方なくコンビニでサンドイッチと100円コーヒーを買い、慌ただしく車内で腹の中に詰め込んでいるのかもしれません。

 

フィリップ・コトラー先生は「顧客を理解すること。そして顧客ごとの異なるニーズを見抜くことが重要だ」なんて言うてました。

 

エンドユーザーが何と何を秤に乗せて考えているのか、それを自分たち自身の生活に当てはめてみるとぐっと視野が広がるんだなと。

コーラではなくウィルキンソンの炭酸水を選んだ出張帰りの車内で考えたのでした。