激減する新規参入者・進む高齢化。減少する大工就業者と住宅市場のこれから

photo via kumpei sugimoto
 

 
前回のブログでは製材工場数の減少と上位企業の大型化・量産化について書きましたが、今回の記事はさらに川下へ。木造住宅の担い手である大工について触れてみます。
 
 
総務省の国勢調査によると、木造住宅の担い手である大工就業者数は2010年約40万人1985年には80万人程度だったので、その数は25年間で半減(!)しています。
 
林業従事者数の減少についてはよく耳にしていましたが、大工就業者数もまた著しく減少しているようです。ちなみに、林業従事者数は1960年〜2007年までのおよそ50年間44万人から5万人約89%の減少。データの期間こそ違うにしろ、林業従事者も大工就業者も驚異的な数字で減少していることがよく分かります。
 
 
また、問題は大工就業者数の減少だけではないようです。就業者数の減少だけではなく、60歳以上の比率が高くなり、高齢化も顕著になってきています。
 
大工40万人のうち、60歳以上の人口は約11万人と約3割を占める一方で、30歳未満の若手大工は約3.4万人と極めて少ないのです。
今後15年以内に相当規模の退職が見込まれており、一定の大工の入職者数と熟練大工からの技能継承がなければ、住宅生産体制が空洞化してしまう恐れがあるとのこと。
 
新規参入者の減少も顕著。15~19歳の若年労働者数は1995年に1万9,444人だったものが、2005年には5,282人と10年約4分の1まで減少しています。

就業者全体の減少だけではなく、「高齢化」「新規参入者の減少」が問題となっています。
 
 
木造建築の新築工事ではプレカット技術が大きく普及しました。施工の合理化が飛躍的に進み、部材の墨付けや加工といった作業は大工の手から離れることになり、主な作業は加工済みの部材の組立や造作となりました。

しかし今後、新築住宅市場がより減少し、リフォーム市場が拡大することを考慮すると、プレカット技術だけでは十分な対応が困難なのかもしれません。リフォームの対象となるような住宅ストックはプレカット化されていない住宅がほとんどであり、設計図書がないことも往々にしてあるためです。

新築住宅の施工に求められる技能よりも、リフォームの現場に求められる技能の方が高いレベルを必要としているようです。
飲み仲間の大工のオッチャン(大工歴50年の大ベテラン)も「新築は設計図もあるしプラモデルみたいなもんだけど、リフォームは家の状態をよく見て自分の頭で考えてやらんといかんもんで経験と技術がいるわなぁ」だなんて言っていました。
 
 
住宅市場の縮小や空き家率の上昇はもちろん、従事者の減少もまた決まりきっている未来です。人が何十年と住む家をつくるのも直すのも人によるものだからこそ、新たな人が育ち、未来を担うための仕組みがいまこそ必要なのかもしれません。