国産材利用の機運の高まりと国産材集成材の流れ

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木材利用ポイント制度や公共建築物に対する木材利用促進法など国産材活用の機運が高まりつつあり、国産材集成材の需要が拡大しています。一方で、ラミナ供給をはじめ国産材集成材の生産・供給システムは整っていない印象を受けます。

 

国産材集成材のラミナ供給は以下の3つの流れに大別できます。<木材建材ウイクリー(No.1946)参照>

1)ラミナ供給を主軸とした製材工場を有し、安定的な原料供給を背景に生産を担保するもの

2)製材木取りの最適化の過程でラミナを生産するもの

3)欧州産ラミナを主力とする集成材メーカーが国産材集成材の生産に対応するためラミナ供給を受けるもの

 

(1)(2)の場合はラミナを自社製造する大型製材メーカーがほとんどであり、ラミナ供給と集成材製造を自社のみでおこなうことができます。

(3)の場合は、集成材製造のためのラミナは近隣の製材メーカーから調達します。(3)に当てはまる集成材メーカーに話を伺ってみると、「ラミナ供給が間に合わずに商品を製造できない」「急な発注の場合、(ラミナは)グリン材での納材になってしまうことが多い」などの声が聞こえてきます。特に製材事業はおこなわず集成材製造に特化しているメーカーは自身で原料製造ができないため、これらの問題は大きな課題です。

 

大断面集成材を利用した公共建築物の部材供給では集成材製造が間に合わないこともしばしば。県産材指定にもかかわらず、他県の集成材メーカーにラミナを供給し、他県で集成材を製造し、県内の公共建築物に使用するといったケースもあるようです。県内に大型の集成材メーカーがない場合は、他県の集成材メーカーに製造を依頼せざるを得ない状況になっているようです。県内には山も丸太も製材工場もあるが集成材工場がないために県内受注に対応できないのです。

 

集成材原料の樹種比率は欧州産が6割程度だと言われていますが、分譲住宅の拡大による既製品住宅の増加や金物工法プレカットの普及によりハウスメーカーやビルダーの集成材の利用率は上昇しています。品質のバラつきの小ささが評価され、価格も下がり、いっそう広く利用されるようになってきている印象を受けます。木材利用ポイントの開始に合わせて国産材集成材を取り扱い始めるビルダーもありました。

 

国産材集成材で難しいとされるのが梁を中心とした横架材です。ブログでも以前に書きましたが、横架材での国産材利用は国産材比率上昇の大きな鍵となるはずです。<木造住宅市場での国産材比率上昇のカギは梁・桁にある

 

国産材集成材に比べ、レッドウッドは強度や価格面で優位な立場にありますし、強度の高く価格の安い無垢ベイマツはコスト削減につながります。オール国産材で家を建てたいという施主の強いこだわりとそれに応える工務店などを除けば、品質・価格の面からはヒノキやカラマツ集成材を横架材に使用するメリットは少ないように感じます。

 

住宅市場の縮小が叫ばれて久しいですが、木材需要量の30%を支えているのが住宅市場。今後ますます国産材利用の流れが大きくなり、国産材集成材の需給拡大が進めば状況は一転するのかもしれません。まずは構造用の柱や土台で国産材集成材利用がどの程度進んでいくのかをハウスメーカーやビルダーの動きに注目しながら追っていきます。