補助金&協賛金が収入の5割を占めるマラソン大会に持続性はあるのか?大会収支報告を調べて考えてみた

村民ランナーのハダ( @hada_tomohiro )です。

「マラソン大会は儲からない」とよく耳にするけど、実際の大会収支報告を読んだことがある人は少ないはず。かくいう自分もその一人でした。

いわきサンシャインマラソンは収支報告を毎年公開

調べてみると、大会ごとに収支報告を公開している大会もちらほらとあります。その大会の一つが「いわきサンシャインマラソン」です。

映画でお馴染み「フラガール」の故郷、福島県いわき市で開催されるこの大会はフルマラソン(42.195km)をはじめ、10km、5km、2kmなどのプログラムがあります。

  • 参加人数 9,456名(定員はフルマラソン7,000名、その他3,000名)
  • ボランティア 2,000名
  • 参加費 7,500円(フルマラソンの場合)

参加人数1万人弱の中規模の大会ですが、ランニングポータルサイトRUNNETの評価が92.8点と非常に高く

「運営には文句のつけようがなく、年々良くなっていきます」

「東北No.1のマラソン大会!」

と大会レポートは絶賛の嵐。ここまで否定的なコメントがないのはかなり珍しいです。フラガールの故郷を走ってみたい…!

収支報告を簡単に分析してみた

今年2018年で9回目となるいわきサンシャインマラソンは平成24-28年までの計7回分の収支報告を公開しています。> データはこちら

 

平成28年度(2017年2月)の収支報告と参加者等の概要をまとめると以下。

  • 収支総額 140,351,180円
  • 支出総額 139,070,992円
  • 差し引き 1,280,188円

1.4億円規模の大会で差し引きは128万円。

差し引き金額は繰り越して来年度の開催時の収入に補填するのでしょうけど、0.9%しか差分が残っていないんですね。そもそも収支を相殺できるように運営している様子ですね。

さらに何から収入を得て、何に支出しているんだろう収入と支出の内訳を調べてみました。

 

▶ 収入

  • 補助金 15,000,000円(収入の10.7%)
  • 参加料 62,144,600円(収入の44.2%
  • 大会協賛 60,860,844円(収入の43.4%

▶ 支出

  • 選手スタッフ費 22,688,444円(支出の16.3%)
  • 大会運営費 95,699,902円(支出の68.9%
  • 事務局費 5,547,797円(支出の4%)

 

参加費だけでは収入の半分にも満たず、収入の半分以上を補助金&大会協賛金等で賄っているのには非常に驚きました。

そして、大部分の支出が大会運営によるもの。

記録計測に1,600万円!印刷製本に1300万円!設営に3,000万円!と当日1日の大会運営で収入が飛んでいます。スタッフや事務局に値する費用は微々たるものですね。

補助金&協賛金が収入の5割を占める大会に持続性はあるか?

補助金が打ち切られたり、地域企業の景気が悪く協賛金が思うように集まらなかった場合、大会自体が即開催できなくなる危険性を感じたのでした。

 

万が一にもいわきサンシャインマラソンのような評価の高い大会が開催されなくなるのはランナーとして悲しい。

ランナーにも満足してもらいながら、事務局や地域も疲弊せず皆が幸せになれるマラソン大会の運営とは何なのか考えるきっかけになったのでした。

 

収支報告に関しては、いわきサンシャインマラソンのような地域主体のものと民間スポーツイベント会社ではかなり内容が異なると思うので、追って調べたいところです。

番外編:台風で中止になり物議を醸した「横浜マラソン2017」

昨年2017年に台風22号の影響により大会中止になった「横浜マラソン2017」は「中止の判断は妥当だったのか?」とインターネットで物議を醸しニュースにも取り上げられました。

その収支報告も出ていたので、大会概要と合わせてまとめてみました。

 

▶ 概要 

  • 定員 28,000名参加、7,000名のボランティア
  • 参加費 15,000円(返金はもちろん無し)

▶ 収入 878,938,927円

  • 参加料および協賛金 776,817,860円(収入の88.4%
  • 自治体負担金(横浜市、神奈川県) 99,983,968円(収入の11.4%

▶ 支出 878,938,927円

  • 広報イベント費 209,200,693円(収入の23.8%
  • 安全対策費 250,663,067円(収入の28.5%)
  • 大会運営費 340,294,014円(収入の38.7%
  • 事務局経費 39,860,256円(収入の4.5%)

 

いわきサンシャインマラソンのような1万人弱・予算1.4億円の中規模大会とはかなり内容がかなり異なります。

 

なんと予算8.8億円ッ!!2.8万人が参加する国内最大規模の横浜マラソンだけあって規模感が違いますね。

参加費と協賛費の内訳が記載されていないけれど、参加費1.5万円 ✕ 参加者2.8万人だとすると、参加費収入は4.2億円程度とすると、協賛費は3.6億円程度になるのでしょう。

いわきサンシャインマラソンと同じく、補助金&協賛費で収支の5割以上を占める内訳になっていますね。

広報やイベントに収入の25%近くを投入しているのも最大規模の大会ならではの数字でした。

 

完全に素人目線のまとめなので、マラソン大会運営にお詳しい方などフィードバックをいただけると嬉しいです…!

photo via Mārtiņš Zemlickis