試作開発段階で「どんな人が商品を欲しいのか?」調査するテストマーケティングツールとしてのクラウドファンディング

先日、家入一真さん( @hbkr )やクラウドファンディングサービスCAMPFIREのスタッフさんが西粟倉村を訪問してくださり、一緒にごはんを食べる機会がありました。

その際、興味深い話を聞いたので自分の思考整理がてらキーボードを叩いています。

CFは試作開発段階でのテストマーケティングに活かせる

クラウドファンディングを実施する狙いと言えば、

  1. プロジェクトの資金調達を目的としたもの
  2. SNSと組み合わせた広報を目的としたもの

が多いイメージを持っていました。

 

ところが、CAMPFIREのスタッフさんのお話を伺っているとクラウドファンディングの活用方法はそれだけではないようでした。

 

それは、クラウドファンディングを通して、試作開発段階の商品の顧客ニーズを把握し、商品をさらなるブラッシュアップするためのテストマーケティングツールとして活用ができることが分かりました。

 

どういうことかと言うと、

  1. 「こんな商品をつくって売りたい!」とアイデアがある
  2. 試作品をまず1つ開発、実物に落とし込む
  3. CFでプロジェクト掲載(企画背景、商品概要、今後の展開など)
  4. 支援者(顧客)のニーズ把握(年齢や男女比、選択価格、反応など)
  5. 一定人数&金額が集まりプロジェクトが成功すれば商品化→販売
  6. 支援者(顧客)からフィードバック受け、さらなるブラッシュアップ

 

上記のようなPDCAサイクルを回す手段としてクラウドファンディングが活用できるということでした。

 

試作開発段階の商品でも、「商品化し販売したい!」とクラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げ、一定金額の支援が集まればプロジェクトは成功。

支援者の数=最小ロットで製品を開発し、商品化し販売することができます。それはつまり、在庫リスクや販売不振を軽減できるということ。

 

また、支援者が集まらずプロジェクトが失敗すれば商品化は無し。

けれど、支援者の数や金額、反応などからフィードバックを得て、さらなるプロジェクトのブラッシュアップに役立てられるというもの。

そして、何度でもクラウドファンディングで手を挙げることだってできる。

 

実際にCAMPFIREスタッフさんに話を聞いてみると、男性が購入するだろうと予想していたルームウェアが、蓋を開けてみれば極端に女性支援者が多い結果となったプロジェクトなど、企画者の想定外の反応を得られたプロジェクトも多々あるそうです。

プロジェクトの成功率を左右する伴走者=試作開発屋

試作開発段階でも実物が1つできれば、クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げることができ、支援者が集まればリスクを抑えながら最小ロットでの商品開発→販売することができます。

 

ただその試作品を1つ作り上げることが難しい。

実物として出来上がればOKというわけではなく、品質、仕様、コスト感、量産体制など商品化するまでに明らかにしたい要素はたくさんあります。

 

試作開発段階でどう完成度の高い実物サンプルをつくるかがプロジェクトの成功率を左右する重要な要素となります。

それはつまり、プロジェクト企画者の頭の中のアイデアを完成度高く具現化する、試作開発屋=伴走者の必要性を意味します。

 

「手当たり次第に電話して試作開発の相談をしたけど断られ続けた」

なんて話を発明家の創業ストーリーをよく聞きますよね。

 

市場に無かった商品を世に生み出そうとする際、周りの協力を一切得られず苦労した話は定番ですが、試作開発がボトルネックになることは言うまでもありません。

「つくりたい、がつくれる」がアパレル製造プラットフォーム

CAMPFIREが素晴らしいのはクラウドファンディングプラットフォームをつくるだけではなく、クラウドファンディングにプロジェクトとしてリリースする前の企画段階にもアプローチしている点です。

 

アパレル業界をはじめ、自社工場を持たないファブレスメーカーが「万人受けしなくて熱狂的なファンをつくる」尖った商品づくりが目立っています。

CAMPFIREはアパレルに特化したインターネット工場を運営しています。

 

STARted(スターテッド)

縫製工場やパタンナー、加工工場をデータベース化し、アイテムや数量に合わせた最適な組み合わせで製造が進む、インターネット上のアパレル工場サービス、それが「STARted」です。

1点だけから、小ロット、数千・数万の大量生産まで、有名ブランドと同じ工場でのOEM生産が可能。個人でも法人でもラフ画をアップロードするだけで洋服や雑貨などオリジナルアイテムの製造、ファッションブランドの立ち上げなどができます。

 

これは正に企画段階でのボトルネックになりがちな試作開発を、アパレルに特化してプラットフォーム化した取り組みです。

累計利用者数は3000人、年間市場流通額は1億円超、提携工場数は400にのぼるとのことです(2016年11月末時点)。

 

STARtedはアパレルに特化していますが、こういったクラウドファクトリーはこれからどんどん他分野に渡って生まれてくるのではないでしょうか。

 

国内外の工場や職人をデータベースにし、デザインやクオリティ・数量に合わせた最適な組み合わせでの製造を行うインターネット工場が発達することで、誰もがブランドを立ち上げられる世界になっていくのかもしれません。

「日本の木でこんな商品をつくりたい!」を形にする試作開発屋

「日本の木でこんな商品をつくりたい!」

と考えるファブレスメーカーの伴走者になれるのがぼくたち西粟倉・森の学校のようなオーダー対応型・中量生産のスポット案件が得意な製材業者(材木屋)だと感じています。

製品開発→量産→発送プロセスを自社一貫体制で対応できるのがポイント。

 

「実現したいアイデアはあるけど、工場を建ててヒトを雇って始めていたら何年先になるか分からない!どれくらい売れるかもまだ分からない。まずはファブレスでこのアイデアを実現したい!」

そんなアイデアを持つ事業者さんとスクラムを組んでモノづくりに取り組んでみたいと思っています。

 

未来のファブレスメーカーのあり方を考えながら書きました↓

これからのモノづくりに必要なのはファブレスメーカーの伴走者。開発→量産→発送まで出来る「オーダーメイド型の中量生産」に需要あり

 

CAMPFIREが目指す「資金集めを民主化し、世界中の誰しもが声をあげられる世の中をつくる」というミッションを地で行く取り組みに共感するとともに、ぼくたち材木屋だからこそできることをもっと展開していきたいと思ったのでした。