ウルトラマラソン&トレイルランナーのハダです。
今回はマイルストーン(milestone)のMS-F1 トレイルマスターのレビューです。
- ヘッドライトは性能の違いが分かりにくく何を買って良いか分からない
- 100マイルレースで使用できるスペックのヘッドライトを探している
- 軽い・揺れない・長持ちのヘッドライトが欲しい
ナイトランパートが必ず入る100km越えのロングトレイルランニングレースとなると欠かせないのがヘッドライトです。ヘッデンとも呼ばれますね。
夜通し山を走る中で途中で電池が切れたらどうしよう、光量が足りず見えにくかったらどうしようと不安も尽きない分、ヘッドライト選びは慎重になってしまいます。
とは言うものの、レースやナイトラン練習など年に10回も使わないランナーも多いのでコストパフォーマンスが気になるところ。
今回は100マイルレースにも対応する国産ヘッドライト、マイルストーンのトレイルマスターの実力をまとめました。
- クイックダイヤルシステムで頭部にワイヤー固定するので走行中に揺れにくい
- 濃霧環境で照らしやすい電球色のフォグランプ装備
- ライトは上下180度に動き、状況に応じた微調整が可能
特に濃霧時に使用できる電球色フォグランプに点け替えられる点が大きな特徴ですね。
この標準仕様はなかなか見かけませんが、高温多湿な日本の山にはぴったりです。
ハダ
ハダはトレイルランニングシーンはもちろん、狩猟用のヘッドライトとしても活用しています。ガスった早朝や暗い夕方の山でも明るく照らしてくれますよ。
国産ヘッドライトブランド・マイルストーンとは?
ギミックにこだわった高級感のあるケースに封入されています
ヘッドライトと言えば、フランスのペツル(PETZL)やアメリカのブラックダイヤモンド(Black Diamond)、ドイツのレッドレンザー(Ledlenser)など、海外製ブランドがほとんど。
国産ブランドでLEDライトで国内トップシェアを誇るジェントス(GENTOS)がありますが、トレイルランニングシーンに合わせた商品展開はあまりありません。
今回ご紹介するマイルストーンは大阪発ヘッドライトブランドです。
岡山のトレイルランニングレース・FORESTRAIL SHINJO-HIRUZENで代表者の西岡さんにお話を伺ったことがありますが、ご自身もトレイルランニングに取り組む経験からトレイルマスターの開発に至ったそうです。
トレイルマスターは構想から開発まで3年の歳月をかけて完成した100マイルレースにも対応する国産ヘッドライトです。
マイルストーン MS-F1 トレイルマスターの概要
マイルストーン MS‐F1 トレイルマスターの全体像
トレイルマスターの概要は以下です。
- 価格 17,500円(税込)
- 重さ 180g(電池込)
- 電池 専用リチウムバッテリー
- 防水 IPX5(防噴流形)
- 照射 照射距離 約80m
- LED 2灯のLED(白色、電球色)搭載
- 製造 日本製
値段や重さはもちろんですが、特にトレイルランナーが気になるのは明るさを示す単位・ルーメンと駆動時間ですね。
図を見るとよく分かるのですが、一般的なヘッドライトは電池残量が減るのにつれて明るさが弱くなっていく一方で、トレイルマスターは時間経過と平行して明るさを一定に保ち続けるのが最大の特徴と言えます。
地味だけど長時間使ってみれば分かる重要なポイントですね。
- BOOST … 850ルーメン
- HIGH … 300ルーメン(5.5時間)
- MID … 160ルーメン(9時間)
- LOW … 80ルーメン(19時間)
トレイルマスターでは驚きの明るさ850ルーメンのBOOSTモードを備えつつ、300ルーメンで5.5時間、160ルーメンで9時間使うことができます。
レース中にずっと同じ明るさが必要になることはないので、山の状況によって明るさを使い分ければ一晩は問題なく使うことができます。
アジア最大のウルトラトレイルランニングレース・UTMFでは二晩のナイトランも想定されますが、必携装備としてヘッドライト2つ+各予備電池が必要です。
トレイルマスターの専用リチウムバッテリー
トレイルマスターの場合も予備電池を使うことで対応することができます。
特にトレイルマスターの専用リチウムバッテリーは外付けで簡単に取り外しできるようになっているので、レース中のバッテリー交換がスムーズにできることもポイントです。
操作方法についてはマイルストーン・西岡さんが動画で解説してくださっているのでこちらの動画をご覧ください👆
マイルストーン MS-F1 トレイルマスターの特徴
ゴムで頭に固定するのではなく、クイックダイヤルシステムでワイヤーを締め上げて固定
マイルストーン MS‐F1 トレイルマスターの特徴は以下です。
- クイックダイヤルシステムで頭部にワイヤー固定するので走行中に揺れにくい
- 濃霧環境で照らしやすい電球色のフォグランプ装備
- ライトは上下180度に動き、状況に応じた微調整が可能
ヘッドライト部分裏にはスポンジが取り付けられており額が痛くない
ゴムで頭部を固定するヘッドライトがほとんどですが、ゴムの場合、使用回数が増えるにつれてゴムが伸びてしまったり、レース中に少しずつ緩んでしまうこともしばしば。
トレイルマスターはクイックダイヤルシステムによるワイヤー固定なので、カチカチカチっと細かいサイズ調整をしつつ、レース中に緩んでしまうこともありません。
ステンレスワイヤロープは国産で49本撚り。
しなやかさを持ちながらワイヤならではの程よい弾力性も持ち合わせています。
そして、緩める時は中央部ボタンのワンクリック、装着・脱着のシンプルさも魅力です。
メインとなる白色LED灯
トレイルマスターの特徴は2種類のLED灯の使い分けができる点です。
こちらがメインとなる白色灯です。
最大850ルーメンの出力を誇りながら、160ルーメンでも9時間持続します。
不意の消灯を防ぐセービングモードを搭載しており、バッテリー残量低下時には30ルーメンの明るさで点灯するようになっています。
濃霧時に使える電球色のフォグランプ
そして、山の濃霧時には電球色のフォグランプに切り替えることができます。
光の特性として白い光は波長が短く水の粒で散乱するため遠くまで光が届きません。
一方、黄色は波長が長いため光が通り抜けてより遠くまで届くという性質があります。
そのため、濃霧時や雨天には白い光よりも黄色光のほうが見えやすくなります。
IPX5レベルの防水性能は備えているので雨の日のナイトランも安心。
180度の微調整が可能なヘッドライト
地味に嬉しいのがヘッドライトの角度調整です。
一般的なヘッドライトはカチカチっと一定の角度でしか調整できないことが多いですが、トレイルマスターはヘッドライトの角度を自由に調整することができます。
レース中にうつむいたり顎を上げたりしながら照らしたい場所に光を合わせるのは疲れますし、ランニングフォームが崩れる原因にもなりかねません。
トレイルマスターならレース中にも片手で照射場所の調整が出来るのが嬉しいですね。
マイルストーン MS-F1 トレイルマスターの気になる点
軽量化を重視したプラスチック製
マイルストーン MS‐F1 トレイルマスターの気になる点は以下です。
- 軽量化のためのプラスチック製なので若干安っぽい
- バッテリーの取り付けは容易だが、接続不良しやすい
- ヘッド部分が前に出ているので頭にしっかり固定しないとヘッドが揺れる
トレイルマスターはバッテリー込み重量180gと軽いことが特徴です。
一方で軽量化のために全体にプラスチック製パーツを使っていることが多く、若干安っぽく見えてしまいます。
クイックダイヤルシステムによるワイヤー固定は男心をくすぐるギミック感があって好きなのですが、プラスチック製なのでおもちゃ感もあります。
特にトレイルランニングシーンではヘッドライトはザックに入れて携行することがほとんどなので、プラスチック素材の耐久性が気になるところです。
特にヘッドライト部分が折れないかが心配…
リチウムバッテリーと本体の接続部分
バッテリーが外付けされており交換が容易な反面、接続がうまくいかない場合があります。
「あれ、点かない?」といざという時に慌てないように、使用前には本体とバッテリーの接続確認をしておくと良いと思います。
バッテリー装着部分はトレイルマスターのロゴ入り
トレイルマスターはクイックダイヤルシステムで頭部をワイヤー固定するヘッドライトです。
そのため、締め付けが弱いとヘッドライト部分が揺れてしまうのでご注意ください。
しかし、総重量が180gと軽く、頭部との接地面はグリップ性も高いのでしっかりと締め上げても頭が揺れるような重さは無いのが良い点です。
一般的なゴム固定によるヘッドライトは被るキャップのありなしでわざわざゴムを調整しなおす必要がありますが、トレイルマスターはダイヤルを回すだけでサイズ調整ができ着脱がスムーズな点も見逃せません。
特にキャップの上にヘッドライトを装着した場合、キャップごとヘッドライトが動いてしまうこともありますが、トレイルマスターはワイヤー式でしっかりとホールドできるので揺れにくいように感じます。
六甲縦走キャノンボールランのナイトランで7時間使用するも問題なし
写真右側でポールを持っているのがトレイルマスターを着用したハダ
2020年3月に開催された関西を代表する草トレイルレース・六甲縦走キャノンボールランでトレイルマスターを着用して走ってきました。
【六甲縦走キャノンボールラン2020】神戸の夜景を眺める六甲全山縦走・草トレイルレース
【六甲縦走キャノンボールラン2020】神戸の夜景を眺める六甲全山縦走・草トレイルレース21時スタートだったので六甲全山縦走の片道、総距離42km&獲得標高2,500m、走行時間7時間30分でトレイルマスターを使用しました。
今回は天候も良かったので電球色のフォグランプを使用するシーンはありませんでしたが、実際に着用してみて感じたことは以下です。
- 基本160ルーメン、特に暗い場所で300ルーメンと使い分けたが明るさは問題なし
- 明るさ調整がサイドタブボタンを上下するのみなので直感的に操作しやすい
- ダイヤルを回すだけでサイズ調整できるのでレース中の着脱や微調整がしやすい
唯一気になる点で言うと、ライトで照らす範囲を絞りで調整できると更に良いなと思いました。
しかし、概ねロングトレイルランニングレースに必要な機能を備えており、たいへん使いやすいヘッドライトだなという印象です。
トレイルマスターを着用してレースを走ってみて気づいたのは160ルーメン程度でも十分にナイトランに対応できるということです。
今までヘッドライト選びはルーメン主義と言わんばかりに明るく持続性の高いモデルを選んでいましたが、600ルーメンを越えるようなスペックは必要ないのではないかと気づくことができました。
特に、今回はGENTOSのハンドライトを併用してヘッドライトで全体を照らす&ハンドライトで足元部分を照らすと使い分けをしながら走ったことも大きいですね。
トレイルマスターはとにかく明るく全体を照らすよりもハンドライトで部分をカバーする両刀使いが合っているように感じます。
マイルストーン MS‐F1 トレイルマスターの購入方法
トレイルマスターは公式オンラインショップをはじめ、Amazonや楽天、ランニング専門店でも購入することができます。
日本人トレイルランナーが開発した100マイルレースにも対応する国産ヘッドライトをぜひ試してみてくださいね。
今回紹介したマイルストーン・トレイルマスターMS-F1とレッドレンザーの人気モデルNEO10Rの比較記事です。