お客さんを工場に案内し、木製品ができるまでの製造工程を見学していただくことが多々あります。
工場見学を楽しみにわざわざ東京から足を運んでくださるお客さんもいらっしゃるので、自然と案内にも力が入ります。
お客さんのリアクションはさまざま。
まるでトランスフォーマーのような製材機が丸太を食べ、あっという間に板になる様子に驚くこともあれば、高く積み上げられた木材の匂いに感動してくださることもあります。
宝物がはいった箱をのぞくように目をキラキラさせながら端材を選ぶ様子を見ていると、こちらまで嬉しくなってしまいます。
一本一本同じ木が生えていないのと同じように、木材も一枚一枚違います
「こんなに手間のかかる作業をしているんですね」
そう驚くお客さんが多いのが、節埋めの作業を見学した時。
節埋めとは、木材の節(かつて枝だった部分)を埋め木やパテで処理することを言います。抜け節を埋め木で埋めたり、割れた節をパテで埋めたりと一枚一枚の木材を手作業で処理しています。
ひとつとして同じ木が生えていないように、ひとつとして同じ木材もありません。色も違えば、木目も違う。もちろん節も異なります。同じものはありません。
一方で、お客さんに安心・安全に木材を使ってもらうためには、満足していただける品質の製品をつくり続ける必要があります。そのためには、節のひとつひとつにも丁寧に向き合わなければいけません。
赤ちゃんがハイハイしても安全な床、女性がストッキングを履いていても安心
節埋めの作業をするスタッフの多くは女性。男性がほとんどと言われる木材業界の中でも、西粟倉・森の学校は女性スタッフが多いことが特徴です。
赤ちゃんがハイハイしても膝を怪我しないように。
女性が履いたストッキングが伝線しないように。
これはお母さんスタッフたちの口癖です。
小さなお子さんをもつお母さんだからこそ、ストッキングを履く女性だからこそ、細かな点まで意識しながら製品づくりに取り組んでいます。
そこには「自然のモンだから節があったってしょうがないよ」なんて言い訳はなし。
ひとつひとつの節にも向き合いながら、お客さんの足元を快適にする床づくりを目指しています。
毎日何百枚何千枚の木材と向き合い続けるお母さんたちにはいつも頭が上がりません。寒い工場の中でも指先の感覚を大事にするために手袋もはめずに作業をしてくれています。
なんて書くと、お母さんスタッフのハードルが上がってしまうかしら。
実は、節埋め処理に使う埋め木は枝からできたものです。
年輪が詰まっているため処理をした後も固く動きにくいのです。木材の色や節の大きさに合わせて使い分けているんですよ。おかあさんスタッフたちのこだわりです。