多磨霊園にある岡本太郎の墓
「墓マイラー」という言葉をご存知でしょうか?恥ずかしながらつい先日この言葉をはじめて耳にしました。
墓マイラーとは歴史上の有名人のお墓を尋ねるひとたちのことを指します。著名人の墓参りをしながら散策を楽しむ墓マイラーは、歴女ブームなどと関連し、じわじわとその人口を増やしているそうです。
◎ お墓参りが人気!?墓マイラーの基礎知識となり方|nanapi
ぼくが墓マイラーかどうかは分かりませんが、上京してからたまたま府中の多磨霊園と三鷹の禅林寺を訪れる機会がありました。多磨霊園には、岡本太郎、江戸川乱歩、三島由紀夫、東郷平八郎…と名だたる文化人や著名人が眠っています。禅林寺も同じく、太宰治と森鴎外が眠っている場所として有名な場所。
文学が好きとしては文豪たちのお墓がどんなものなのか非常に気になるところです。三島由紀夫や横光利一、森鴎外、太宰治がどんな場所で眠っているのだろうと興味津々で足を運んだのでした。
印象的だったのは、禅林寺にある森鴎外と太宰治のお墓。
「余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス」という遺言があまりにも有名な森鴎外(森林太郎)の墓には読み古された小説が一冊お供えしてありました(作者とタイトルは解読できず…)。また、太宰治の墓には彼が愛煙していたゴールデンバットがぽつんと置いてありました。どちらのお墓もきれいに花が添えられていて、定期的にひとが訪れていることが伺えます。
お墓にはひとの生き方が表れているような気がします。豪勢だけれど手入れが行き届いていない墓もあれば、質素だけれどきちんとひとの手が入ってきれいに保たれているものもあります。
あるお坊さんがおっしゃっていた「死に目や死んだ後にこそ、人の人生が見えてくる」とはまさにこのことなのかなと。
三鷹市は太宰治ゆかりの場所として知られ、市内には太宰治ゆかりの場所の案内板が掲げられていたり、太宰治文学サロン(展示場)もあったりと、太宰治が観光コンテンツのひとつとして機能している印象を受けました。
絶景の景色や美味しいごはんを目的にした観光も素晴らしいけれど、三鷹市のように偉人の暮らした街の姿や変遷をコンテンツとして売り出すこともまた面白いなと感じたのでした。太宰治が見た同じ景色に思いを馳せるなんてお洒落。
次回は芥川龍之介が眠る慈眼寺や川端康成の眠る鎌倉霊園あたりに行ってみたいと思っています。