「重い・安い・かさ張る」という木材の特性は物流に適さない三拍子。木材と物流は切っても切れない密接な関係性をもっており、物流システムを整えることが木材業において重要な鍵となります。
「材の値段はいいんだけどねぇ、運賃込みの金額で考えるとちょっとねぇ…」
材木屋(の営業マン)として働いていると、こういった意見をいただくことが少なからずあります。そう、運賃が高くついてしまう。
トラックをチャーターすれば納品時間の指定はできるけれど、運賃が高くついてしまいます。混載便だと運賃は安くなるけれど、長モノの配送の場合は納品時間の指定がしにくかったり…納品先付近の道幅が狭い場合は10トン車では納品できないこともあります。納入するアイテムや納品先によっては車上渡しか現場納品か異なる、なんてことも。
製造業はモノを作って終わりではありません。
モノをつくって、売って、そして、きちんと届けることができてはじめてお客さんに喜んでもらえるんです。だから、発注された木材を「早く・確実に・安く」納品することはサービスとして欠かしてはいけない。
冒頭に述べたように木材は「重い・安い・かさ張る」という物流に適さない特性があります。
そのため、総金額における運賃を割合はどうしても高くなってしまいます。その上、上記のようなさまざまな運送パターンによって金額も変わるため、見積もりの必要性もでてきます。木材を購入する時点で運送費が不透明になりがちなんですね。
こんなニュースがありました。
老舗建材商社の加藤ベニヤは2015年7月に自社配送・物流機能を活かした建材EC サイト「ONE ORDER」をオープンしたとのこと。
◎ ONE ORDER https://www.one-order.jp/
以下、プレスリリースを一部抜粋。
一般的に宅配便などの配送サービスでは、サイズの大きな商品や梱包の無い建材は規格外大型荷物の取り扱いとなり、送料が高額になるか、もしくは取り扱うことができないため、大手ショッピングサイトで購入することができません。
しかし、「ONE ORDER」では、そのような建材であっても、関東一円の指定された建築現場や配送先へ送料無料でのお届けを可能にしました。
さらに、PC やスマートフォンを利用し、どこからでも簡単に建材の注文ができ、納品日の指定もできる「ONE ORDER」は、現場の方々の負担を減らし、現場により専念できる仕組みとなっています。
これ、とっても面白いサービスです。現場のニーズをきちんと捉えた素晴らしいサービスだなぁと。
特徴は三点。
1)関東一円は送料無料(東京、神奈川、千葉、埼玉、栃木、群馬、茨城)
2)長モノやボリュームの大きいモノも可
3)到着日の指定可能(午前/午後。最短で翌日納品!)
気になる商品価格は相場の3〜4割がONされている印象。だけど、それをふまえても、上記三点の特徴を実行できる物流網と仕組みはすごい。現在は垂木や間柱、合板等が中心ですが、商品ラインナップは今後拡大予定とのこと。
これなら現場で足りない材料が急に発覚しても、スマホ片手にササッと注文できて、送料無料なので必要経費も算出しやすいし、なにより忙しい現場を抜けてホームセンターに走ったり、手間をかけて見積もりを依頼する必要もありません。
木材業をもっと簡単で分かりやすくする素晴らしいサービスです。分かった気にならないで、まずは早速つかってみねば。
「重くて・安くて・かさ張る」物流に適さない木材を「早く・安く・確実に」運ぶことができれば、もっと木材業はサービス業に近づけるはずです。