他人だけど助け合っているし、 敵ではないのに競い合っている

トレイルランのレースに出場すると、レース途中で身体に異常が起こったり、危険な目に遭うこともちらほら。

 

はじめて出場したトレイルランのレースでは、補給食を十分に摂らなかったことが原因でハンガーノック(エネルギー不足によるガス欠)状態になって倒れたことがありました。レース後半にずんずんと身体が重くなり、ウトウト眠くなり、気づけば舗装路でバタンっ。

その時「大丈夫?これ、食べなよ」と声を掛けてくれたおにいさんランナー。チョコレート(米国エネルギーバーの代表格:クリフバー!)を分けてくださったおかげで、わずかな元気を取り戻し、なんとかゴールまでたどり着くことができました。

 

また、先日参加したレースでは、折り返し地点を過ぎて「あと半分!あと半分っ!」と鼻息荒くペースを上げた途端に、下りのカーブで足を滑らせてコースアウト、笹原に突っ込んでしまいました。自分ひとりでは戻れないような場所にまで転げ落ちてしまい、焦りに焦っていたところを後続のおじさんランナーに助けられ、コースに戻ることができたのでした。

 

あぁ情けないと思いながらも、おにいさんがくれたクリフバーがとんでもなく美味しかったり、手を差し伸べてくれたおじさんのブ厚く大きな手が妙に心強かったりするわけで。

 

「ゴールでまた会いましょう」

「お互いさまだからね。この先で自分が倒れてた時は助けて下さい」

こういった掛け声がぐっと背中を押してくれます。言わずもがなトレイルランは個人競技だけれど、妙な一体感が芽生える瞬間があります。各々のペースは違うけれど、同じ目標(=ゴール)に向かって走り続けるひとつの集団、みたいな。

 

「負けてたまるか!」

「何がなんでも食らいつくゾ」

と闘志ムキ出しで必死こいて追いかけるんだけど、決して敵ではありません。むしろ自分自身の目標を達成するための重要なペースメーカー。

 

そして、レースをきっかけに会話が生まれて、お友達になることもあるんだからトレイルランっておもしろい。実はおにいさんランナーが美容室のオーナーであることを知り、後日訪れて髪を切っていただいたり、他のレースで偶然の再会することもありました。そういう瞬間がたまらないのだ。

 

「次に会うのは再来月のレースですね」

「それまでお互い頑張りましょうね」

レース後の温泉にて、全員素っ裸&身体バキバキ乳酸漬け、名前も素性も知らないランナー達とそんな会話をして盛り上がれるんだからやっぱり楽しいなと思ったのでした。

nakabahiruzen