6月25日付の日刊木材新聞に矢橋林業(岐阜県大垣市)が記事として取り上げられていました。
同社のプレカット事業では、ベトナムのグループ会社ビナキャドがCAD/CAM入力を担っているとのこと。また昨年春にはミャンマーにもグループ会社を設置しており、CAD/CAM入力のさらなる対応力強化やリスクヘッジに取り組んでいるようです。
記事によると同社は構造材:4,200坪/月、羽柄材:13,000坪/月の加工実績(2013年度)。決して大型工場とは言えませんが、CAD/CAM入力をベトナムやミャンマーで担うことでコスト削減を図っています。
こうしたプレカットにおけるCAD/CAM入力の海外展開の動きは日に日に大きくなってきているように感じます。ポラテックやテクノウッドワークスは中国・大連、トーアは中国・常州にCADセンターを開設し運営しています。
日刊木材新聞社の全国プレカット名鑑(2012年)によると、2011年の在来木造の新設住宅着工数はおよそ35万2,264戸。住宅1棟あたりの坪数を36坪と仮定すると、合計の坪数は352,264×36=12,681,504≒1,300万坪になります。
圧倒的な加工実績を誇り首位に君臨するポラテックをはじめ、テクノウッドワークス、中国木材、ハイビックなどプレカット加工実績上位40社の合計加工実績は480万6,448坪。上位40社がプレカット市場の38%を占めています。
中でもポラテック、テクノウッドワークスの上位2社の合計加工実績は114万606坪。2社でプレカット市場の9%を占めています。
現在、在来木造のプレカット率は88%を越えていると言われています(関東圏では限りなく100%に近いとの声も)。今や在来木造市場はプレカット加工なしでは成り立たない構造になりつつあります。
5月26日付の木材建材ウイクリーによると、ピーク時には900工場と言われたプレカット工場数も600工場を割り込んでいるとみられ、実質はCAD/CAM化された400工場が中心になっており、100工場でも足りるようになるという見方もあるそう。
新築木造住宅市場は少子高齢化や住宅ストック数の増加などで減少傾向にあります。その背景で、頭打ちしつつあるプレカット市場は大型化/海外展開の2つの大きな潮流が生じています。
確実に縮小し続けることが決まっている市場で、大型化したプレカット工場がシェアを奪い合うように大きく膨れ上がり、淘汰が進んでいます。
価格競争に陥りやすい環境の中で、中小規模のプレカット工場が追求すべき姿とは何なのか。
引き続き、調べていきたいと思います。