国産材製材企業の大型化・量産化が進み、素材調達の流れが変わりつつあるようです。
平成26年度の森林・林業白書によると、2011年の製材工場数は6,242工場。2000年には11,692工場あったのですから、およそ10年で製材工場は半分近くに減っています。
一方、日刊木材新聞の調査によると、年間原木消費量が5万m3を越す製材企業は44社あり、そのうち、10万m3以上の企業は13社あるとのことです(調査:2013年11月)。2年前にはそれぞれ31社と8社ですから、製材工場数は年々減少しつつも、大型製材企業が増えていることが分かります。
製材企業の大型化・量産化が進み、既にいくつかの上位企業は年間原木消費量が30万m3を越えています。複数の拠点を設け、40〜60万m3を目指す段階に入っているようです。
これら大型製材企業にみられるのは、製材/集成材/バイオマス燃料用チップの複合生産です。
その原料となる丸太はA材だけではなく、B材、C材、D材、さらには抜根材といった未利用間伐材までもを利用し、一気通貫の全幹利用を目指しています。あらゆる丸太でも受け入れる体制を整えつつあるようです。
森林資源のフル活用が可能になる製材・集成材企業の次の動き。それは資源の確保です。
素材調達は山からの直送がメインになるとはいえ、素材業者任せでは安定調達を担保しにくく、かといって相場の変動に配慮しながら一般流通市場から補うにも限界があるようです。
すでにいくつかの大型製材企業では山林取得や立木購入の動きが大きくなってきています。それらは最も安定的かつ有効に丸太を調達できる方法なのかもしれません。
また、近年では再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)導入によるバイオマス発電工場の建設が相次ぎ、製材工場端材や未利用間伐材の利用拡大が期待されています。
全国各地で24時間365日ボイラーが稼働し続けるなかで、製材用のA材/B材までもがバイオマス燃料用に引っ張られてしまうのではないかという心配の声を耳にします。
本来「生きるために食う」はずが、よもや「食うために生きる」なんてことにならないことを切に願います。どうなる、バイオマス発電。
国産材製材企業の大型化・量産化、バイオマス発電工場の建設ラッシュなどを受けて、素材調達の流れが変わりつつあります。
業界に身をおいて、業界紙を毎日読んで、なんとなく業界人になった気がしてもしょうがない。動向をきちんと把握しながらも、せっせと現場に足を運び、生の声をもっともっと聞かねばと思ったのでした。