家の庭でニワトリを育てています。そう、家庭養鶏です。
現在は有精卵から孵化させた名古屋コーチン7匹(孵化後1ヶ月)、知人からヒヨコで分けていただいたホシノブラック2匹(孵化後2ヶ月)の計9匹を飼育しています。
有精卵孵化後、屋内飼育から屋外飼育に切り替える家庭で鳥小屋をDIYしたのでその記録をまとめました。
- 卵の自給自足に興味がある
- 自宅の庭でニワトリを育ててみたい
- 鳥小屋はどう作るの?と迷っている
今回は、屋内飼育用のダンボール飼育箱、屋外飼育用の木製鳥小屋(2種類製作)のDIYについてまとめています。
特にハダが生活する岡山・西粟倉村は岡山県北の中山間地に位置し、自宅の周囲にはクマやシカ、キツネなどがたくさんいるため、獣対策も念入りにしています。
- 孵化後1ヶ月までの屋内飼育はダンボール飼育箱でOK
- 屋外用鳥小屋は耐久性・耐候性・防獣性・利便性の4点を考慮する
- 1つ目の小屋では満足しない前提でまず安価・手軽に作ってみる
鳥小屋の既製品を購入しようとすると4万円〜15万円と価格も仕様もさまざまなので、無いものは自分で作るのDIY精神で自分の生活に合った鳥小屋を自作するのがおすすめです。
DIYに不慣れな人はお金で時間を買って既製品を購入するのが得策ですが、家庭養鶏を始めようとする(変な)人は自分で作る過程を楽しめる人だと思うので、ハダの記録が誰かの参考になれば嬉しいです。
アメリカのペットブランド・アドバンテック製のバードケージは幅104cm*奥行71cm*高99cmで42,000円程度。週末を費やして不慣れなDIYに勤しむのではなく、お金で解決するのもアリかもしれません。このサイズ(0.73㎡)ならニワトリ2匹程度は飼育できそうです。
孵化後1ヶ月まで屋内飼育、孵化後1ヶ月以降は屋外飼育
孵化後3週間程度の名古屋コーチン。そろそろ屋外飼育へ切り替えのタイミング
鳥小屋って何円くらいで作れるの?どれくらい時間が掛かるの?と聞かれることも多いですが、まずは家庭養鶏の手順を整理してみましょう。
ハダの場合、家庭養鶏は以下の手順で進めました。
- 有精卵の購入
- 孵化器に有精卵をセット 定期的な転卵→検卵
- 鳥小屋の製作 屋内用飼育箱&屋外用鳥小屋の製作
- ヒヨコの孵化 21日で孵化
- ヒヨコの屋内飼育 孵化後1ヶ月まで。ヒヨコからヒナへ成長
- ヒヨコの屋外飼育 孵化後1ヶ月以降〜。虫やカエルを食べ始める
有精卵の孵化から家庭養鶏を始める場合は鳥小屋を製作するための時間を用意しやすいです。
有精卵の孵化には21日、ヒヨコ孵化後に屋内飼育→屋外飼育に切り替えるまで1ヶ月、と計2ヶ月弱の時間があるので、その期間に屋内飼育用ダンボール箱と屋外飼育用の鳥小屋を製作することになります。
孵化後2週間のホシノブラック
ハダの場合、孵化後2週間でホシノブラック2匹を知人から分けていただいたため、屋外飼育用の鳥小屋を2週間で製作しなければならずアタフタ焦りながら作ることになりました。
有精卵を孵化させて名古屋コーチンを育ててみた ニワトリ家庭養鶏の準備と手順のまとめ家庭養鶏の手順についてはこちらの記事に細かくまとめましたので興味のある人はご覧ください。
屋内飼育用ダンボール箱での飼育のコツ
ヒヨコは寒さに弱いため、37度前後の環境下で育てる必要があります。
ヒヨコが孵化したのは梅雨時期の7月で1年の中でも暖かい季節でしたが、ハダが生活する岡山・西粟倉村は中山間地のため昼と夜の気温差が激しいため、孵化後1ヶ月は屋内飼育することにしました。
段ボールを再利用して屋内飼育用の飼育箱を製作
屋内飼育用飼育箱は大きめの段ボールを加工して製作しました。
会社に余っていた大きめの2重仕様の段ボールで強度も高いものを選びました。
画像のように透明クリアファイルを活用して窓を付けると、ヒヨコの様子が外から見えるのでおすすめです。
ホームセンター等で安価に購入できる透明のプラ製コンテナボックスや衣装ケースで代用するのも良いと思います。
印象としてはプラスチックに比べ段ボールの方が空気層があるので断熱性が高く、飼育箱内の温度を維持しやすいように感じます。
ヒヨコが脱走しないように高さのある飼育箱にする
地面から高さ30cmほどの薪ストーブの投入口までジャンプできるようになる
なるべく大きい段ボールを選ぶと面積が広く、ヒヨコが自由に動き回れます。
段ボールのフタ部分はガムテープ等で接着して高さが出るようにするのがおすすめです(写真は高さ60〜70cm)。
なぜかというと孵化後3週間ほどのヒヨコになるとジャンプして段ボールの縁に登るようになり脱走してしまう可能性があるからです。
37度の環境下を維持するためにプチプチシートで断熱
前述した通り、ヒヨコは寒さに弱いため、37度前後の環境下で飼育しなければなりません。
人の体温と同じ37度前後を一日中キープするのがなかなか大変です。
ペット用ヒーターを購入し、段ボール箱の縁に吊るして温めるのですが、夜間は温度が下がってしまい、ヒヨコが「ピヨピヨピヨピヨ…(寒い寒い)」と鳴き出します。
そのためペット用ヒーターに加え、夜間は下記の方法で室温維持を徹底しました。
- 屋内飼育箱の上からプチプチシートや新聞紙を乗せ、保温性を高める
- 2Lペットボトルにお湯(40〜50度程度)を入れウエスや靴下で包んだ湯たんぽ
プチプチシート(や新聞紙)で段ボール箱の天井を覆うのに加え、ウエスに包んだペットボトルにぬるま湯を入れて湯たんぽを作って室温を維持できるように努めました。
湯たんぽの近くにヒヨコが固まって寝ることも多かったのでやはり暖かい場所で寝たいのだと思います。
農家さんから分けてもらった籾殻を敷くと糞の処理が楽
写真は屋外用鳥小屋の2階部分、床には籾殻が敷いてある
屋内飼育用の段ボールだけでなく、後述する屋外飼育用鳥小屋にも言えるのですが、農家さんからおすそ分けしてもらった籾殻を敷くのがおすすめです。
狭い段ボールで1ヶ月ヒヨコを飼育してみると、1日の糞の量に驚きます。
棒状の正常便だけなら良いのですが、褐色・液状の盲腸便(通称:チョコ糞)は匂いもあるため飼育箱が汚れてしまいます。
こまめに糞を取り除いてあげないと糞の上をヒヨコが歩き回り足や胸元が糞でカピカピになってしまいます(笑)
当初は飼育箱の床面に新聞を敷くだけで対応していましたが、更にその上に籾殻を敷いてあげると籾殻が糞の水分を吸ってくれるのでメンテナンスが格段に楽になります。
ペットショップにハムスター等の小動物用の床材(紙や木材チップが原料)が販売されていますし、材木屋さんで発生するおが粉(加工屑)などでも代用も可能です。
飼育箱の床面を上げ、バーベキュー用の網を敷いて糞を落ちやすくする方法もありますが、ヒヨコの足が網の間から落ちて歩きにくそうだったので我が家では実践していません。
ハダ
籾殻と大量の鶏糞は庭に敷いておき、ある程度溜まったら畑の肥料にする予定です
屋外飼育用の鳥小屋DIYは手間を掛け過ぎない
費用10,000円&製作時間6時間で作った鳥小屋1号
次は孵化後1ヶ月以降で屋内飼育→屋外飼育へ切り替える際に必要な鳥小屋についてです。
ニワトリ4〜5匹を飼育する前提で考えた鳥小屋1号を製作した後、名古屋コーチンが7匹も孵化したため計9匹のニワトリを飼育することになりました。
その後、田舎によくある野菜の無人販売所をリノベーション?した鳥小屋2号を製作し、計2つの鳥小屋が庭に設置されています。
耐久性・耐候性・防獣性・利便性の4点を意識して作る
土台と柱の間には火打ちを斜めに掛け構造を強くしています
屋外飼育用の鳥小屋は以下の点を意識して製作しました。
- 耐久性 軽トラで移動させられるサイズ・重さでも構造はしっかり作る
- 耐候性 大雨や台風などで壊れない耐久性の高い構造
- 防獣性 キツネやクマ等の獣の侵入を防ぐ仕様
- 利便性 ドアの開閉のしやすさ、掃除のしやすさなど使い勝手を重視
Pinterest等のSNSやGoogle検索で様々な鳥小屋を調べた上でハダが意識したポイントは上の4つです。
ハダは材木屋勤務の福利厚生を生かして木材(端材)+工具は会社にあるものを使ったため、会社で鳥小屋を製作し軽トラに積んで自宅の庭に設置しました。
耐久性や耐候性は意識しながら補強材などを加え鳥小屋を製作しましたが、ニワトリの習性を理解しないまま製作した鳥小屋では後々修正点が出てくるに違いないと思い、再び製作し直す前提でまずは安く・早く・簡単に作ってみました。
結果的に鳥小屋1号は、費用10,000円&製作時間6時間で作ることができました。
鳥小屋1号は軽量&移動可能なチキントラクターをイメージして製作
まず最初に製作した鳥小屋1号は軽量&移動可能なチキントラクター風です。
鳥小屋で飼育しても庭の雑草は食べて欲しかったので、軽量&底面なしにし移動させられるようにしています。
平飼いの場合、1㎡あたり2羽程度の飼育密度が好ましいとのことで、以下のサイズで鳥小屋を製作しました。
畳1枚分(910*1,820mm=1.65㎡)の1F平屋 + 畳半畳(0.82㎡)の2F寝室 = 2.5㎡の鳥小屋
30*40mm程度の角材で構造を作り、金網を張って1F部分は完成。
その上に、板材を使って乗せるだけの2F部分(=箱)を作り、トタンを屋根代わりに乗せて完成。
2F部分には底面に穴を空け、ハシゴ代わりの板材を掛けて2Fにも上がれるようにしています。
総製作時間6時間程度の簡単鳥小屋の完成です。
木材が無料ですが、釘・金網・トタン、丁番などに10,000円程度掛かりました。
大きさにもよりますが、同サイズのものを木材含めて製作したとしても30,000円くらいは掛かりそうです。
安く・早く・簡単に製作できた点では満足度が高いですし、ハダ1人で移動させられる軽量性も気に入っていたのですが、以下の懸念点がありました。
- 軽量性を重視して細い材料を使ったため、移動させる度に痛む
- 屋根が小さく雨晒しになる木材部分が多く劣化が早い
- 鳥小屋と地面の間から獣が侵入する可能性がある
耐候性塗料は塗らずスギやヒノキそのまま無塗装で鳥小屋を製作したのですが、想像以上に雨による木材の劣化が早く、木が反ったり割れたりする箇所が出てきました。
あまり屋根が大きいと風で吹き飛ばされてしまうかなと屋根を小さめに作ったのですが、雨晒しになる木材部分が多いと劣化が早まってしまいますね。
さらに、庭がフラットではないため、鳥小屋と地面の間に隙間ができてしまい、獣が侵入する可能性が高い仕様になってしまいました。
石やコンクリートブロックで囲んでいるものの、村の知人がキツネに侵入されてニワトリが殺されているため安心できません。
鳥小屋2号は頑丈な高床式 野菜無人販売所をリノベーションして製作
鳥小屋1号は継続して使うものの、ニワトリ9匹は流石に入り切らん…ということで鳥小屋2号を製作しました。
近所のおっちゃんから「余っとる野菜の無人販売所があるけど鳥小屋に使うか?」と5,000円で譲り受けたものをリノベーションして鳥小屋になりました。
鳥小屋2号は以下のポイントを意識して製作しています。
- 高床式 獣が侵入しにくいように高床式、地面から60cmほど上げている
- 床の取り外し可能 小屋内を掃除しやすいよう床を取り外し可能にした
- 広々空間 畳2枚=1坪=3.3㎡で計9匹も入れられるサイズ
地面から60cmほど上げた高床式
地面から60cmほど上げ、高床式にすることで獣が小屋内に侵入できないようにしています。
柱に桟を渡して板を乗せているだけなので掃除しやすい
1F&2F部分の床は打ち付けずに薄い木材を乗せるだけにしています。
そのため、床板を取り外して小屋内を掃除がしやすくなっています。
現在は1F&2Fで計3.3㎡ですが、後から追加で階数を増やすことで床面積を広くすることも可能です。
板材に滑り止めスリットを入れてハシゴも製作
元々、野菜の無人販売所だったこともあり、屋根が大きく雨に晒される木材部分も少ないだけではなく、構造材もヒノキ75mm角を使用した堅牢な作りなので耐久性が期待できそうです。
難点としては大人2人でも移動が大変なくらい重いことです(笑)
ちなみに野菜の無人販売所をリノベーションした鳥小屋2号は、本体価格・丁番・留め具・金網等を合わせて費用15,000円程度、製作時間は8時間ほどでした。
野菜の無人販売所としての構造がしっかりしていたので側面に板を貼ったり扉を付けるだけで済み安上がりに完成することができました。
作り込みは甘々ですが、このサイズの鳥小屋を購入すると10万円以上掛かるので随分とお値打ちにDIYすることができました。
ハダ
既存の野菜無人販売所が傾いていたため、扉がcm単位でズレていますがあまり気になりません。自分で使うものを作っているだけなので少々のズレや失敗なんて気にせず作りましょう。失敗も翌日にはどうでもよくなりますw
鳥小屋の周囲に獣用電気柵を設置する
ハダ自身が猟師で自宅の裏山でもシカ・イノシシ・タヌキ・アナグマとたくさんの獣を捕獲しているので獣対策は欠かすことができません。
小屋を頑丈にするだけではなく、そもそも小屋に近づけないようにすることを目的に我が家では庭全体を加工用に獣用の電気柵を設置しました(費用30,000円、高い出費)。
人間が触ると「痛゛ッッ!!」と手を離してしまう程度のパワーがありますw
ソーラー充電できるタイプなので一度設置してしまえば電池交換は必要ありません。
自宅にハダ or お妻さまが居る時はニワトリは庭に放し飼いにしています。
ニワトリ(庭鳥)と書いて字のごとく庭から出ることはありません。
そのため、夕方以降の夜間のみ鳥小屋にニワトリを入れています。
ニワトリを鳥小屋に収容するのに合わせて電気柵のスイッチを入れるようにしています。
夜間には小動物(おそらくアナグマ)が電気柵に触れてギャン!と叫んでいたのを聞いたことがあるのでそれなりに効果はありそうです。
我が家は獣対策の鳥小屋+電気柵でニワトリを守っています。
懸念点としては、庭の雑草が成長してオレンジ色の電気紐に接触すると漏電する可能性があり、獣が触れた時の攻撃力が落ちてしまいます。
除草剤を散布するのはニワトリが食べてしまいそうなのでもってのほかですが、電気紐を通している周囲のみ除草シートを施工するのが楽なのかもしれません。
隣家にニワトリが遊びに行かないように庭の周囲に網を設置
我が家の隣にはおばあさんが1人住んでいるのですが、我が家の方が高い位置に建っているため、たまにニワトリがおばあさん宅の敷地内に侵入してしまうことがありました。
そのため、木製フェンスにプラ製の棒+網を取り付けてニワトリが逃げないように網を設置しました。
終日、鳥小屋内で飼育するのであれば必要ありませんが、広々とした環境でニワトリ自身がカエルや虫を食べてノンストレスに近い環境で飼育したいのでこのような方法をとっています。
ニワトリを庭で放し飼いで飼えば雑草を全部食べてくれて草刈り要らずかなと思いきや、成長し過ぎて固い草や笹は美味しくないのか食べてくれません。
ちなみに我が家の庭にはほとんどカエルや虫が居なくなりました。ニワトリが少し暇そうです。
鳥小屋DIYのまとめ
孵化後2ヶ月のホシノブラック
家庭養鶏に関する情報は書籍やインターネットでも少ないので試行錯誤しながら毎日を過ごしていますが、ニワトリの居る生活は非常に楽しいですよ。
早く卵を生んでくれないものかと孵化後4ヶ月に到達するのを心待ちにしています。
特に家庭養鶏において鳥小屋をどんなものにするのかは大きな問題なので今回記事としてまとめてみました。
- 孵化後1ヶ月までの屋内飼育はダンボール飼育箱でOK
- 屋外用鳥小屋は耐久性・耐候性・防獣性・利便性の4点を考慮する
- 1つ目の小屋では満足しない前提でまず安価・手軽に作ってみる
屋外飼育用の鳥小屋の自作はある程度のDIY環境が整っていないと難しい点も多いですが、自宅で育てるニワトリの小屋を自分で製作するという過程自体が非常に楽しく学び深いものだと思います。
DIYに共通して言えることですが、最初から完璧を目指さず多少の失敗を許容しながら進めていくのが良いと思います。
幸い鳥小屋は構造が簡単なので神経質に作る必要がないのも良いですね。
有精卵を孵化させて名古屋コーチンを育ててみた ニワトリ家庭養鶏の準備と手順のまとめ家庭養鶏の手順についてはこちらの記事に細かくまとめましたので興味のある人はご覧ください。
工具が限られた環境下でのDIYで難しいのは木材の厚み調整ですが、鳥小屋はわざわざ厚みを調整しないと作れないような構造ではないので、ホームセンター等で販売しているツーバイフォー材等をベースに製作するのが良いと思います。