2019年4月12日(月)に島根県・奥出雲町で開催されたウルトラマラソン・奥出雲ウルトラおろち100キロ遠足(第5回)に出場、完走しました。
人生2度目のウルトラマラソンで目標としていたサブ10(10時間切り)を達成できたので大会レビューを書こうとキーボードを叩いています。
人生初ウルトラマラソンは11時間24分39秒
はじめて出場したウルトラマラソンレースは、昨年5月に島根で開催されたえびす・だいこく100キロマラソン2018でした。
トレイルランニングを始め、いつかは100マイル(160km)のウルトラトレイルランニングレースを完走したいと強く思うようになりました。
だったらロードの100kmレースくらい完走できなきゃダメでしょ!と半ば勢いで申し込んだのがえびす・だいこく100キロマラソンでした。
当日は5月の日本海岸沿いの地域としては珍しい猛暑。
はじめてのウルトラマラソンということもありペース配分がまったく出来ず、前半飛ばし過ぎ&後半は大失速。足を引きずりながらなんとか完走しました。
- レース えびす・だいこく100キロマラソン(2018年5月27日)
- タイム 11時間24分39秒(上位9%程度)サブ12
- 順 位 61位/完走者364人中/エントリー669名(完走率54%)
後半は歩いてばかりのぐだぐだのレース展開になってしまいましたが、順位は思いのほか良い結果になりました。
猛暑のせいか例年70%近い完走率が50%台とずいぶんと難易度が高いレースになりましたが、ワンウェイで退屈しない絶景コースと充実したエイドでたいへん満足度の高いレースです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
<境港→出雲大社の島根横断ウルトラマラソン「えびす・だいこく100kmマラソン2018」を完走しました>
累積標高1,500m越え!高低差激しいウルトラマラソン
そして、今回出場する奥出雲ウルトラおろち100キロ遠足の特徴は以下です。
- フラットコースはほとんど無く、獲得標高が推定1,500m越えと激しい大会
後半70km地点から15km以上も上りが続きます。コース一番の難所は高低差162mのおろちループ。これは心折れる! - 5kmおきに設置される充実エイド19ヶ所
島根名物の出雲蕎麦はもちろん、イノシシ肉のボロニアステーキや、ジビエ団子のスープ、お寿司や卵かけご飯、チキンラーメン、スイーツもあり!豪華過ぎっ! - 土日休みのサラリーマンに嬉しい土曜日開催
平日の仕事終わりに夜間移動、土曜日に終日レース。そして、日曜日はしっかり休める。当日申し込み可の土曜日開催は非常に有り難い…!
後半の獲得標高が大きいレースなので、多くのランナーは上りでダレて歩きペースダウンすることが多いのではないでしょうか?
トレイルランナーとしては上りで挫けず、下りで攻めてペースをキープし続けられるように走り切りたいものです。
明日のウルトラマラソン、奥出雲ウルトラおろち100km遠足のペース計画表できた。サブ10目指してがんばるぞ pic.twitter.com/xuKuJJkASh
— 羽田 知弘|西粟倉・森の学校 (@hada_tomohiro) 2019年4月12日
サブ10達成のためのレース展開
今回の目標はウルトラマラソン100kmでサブ10=10時間切り。
1時間で10km。つまり、6分00秒/kmで走り続ければ達成することができます。
6分00秒/kmだとフルマラソンで4時間13分10秒のペースですね。
しかし、レース後半のペースダウンやエイドでの休憩を考えると、前半50kmは5分30〜40秒/kmのペースで走り続け、折返し50kmまでで15〜25分の余裕を見ておきたいところ。
5分40秒/kmはフルマラソンでサブ4(4時間切り)ペースです。かなり速い…!
過去のレース結果を見てみると、ウルトラマラソンランナーの大目標であるサブ10を達成できれば大会総合20位以内には食い込めそうです。
前回のえびす・だいこくマラソンでも前半50kmはサブ10ペースをキープ出来ましたが、後半は大失速で歩いてばかり。
前半は焦らず気持ちを抑え、後半でどこまでペースを崩さずに走り切れるかがキモになりそうです。
奥出雲ウルトラおろち100キロ遠足を走ってみた
今回は会社の先輩(ウルトラマラソン初参戦!)と参加しました。
お一人さまレース出場がほとんどなので心強い。
レース前日は夕方まで西粟倉村で一緒に仕事をした後、夜な夜な奥出雲町に向かいます。
途中、温泉に浸かり、蒜山サービスエリアで夕食を食べ(蒜山ラーメン+唐揚げ丼で1,800kcal!)、会場近くの駐車場で車中泊。
朝4時から受付スタート、午前5時にレーススタート、気温は0度。寒い!
4時に起き、5時には走り始めるため、身体が十分に起きず、朝食はドーナツやビスケットを無理矢理に口に放り込んで1,000kcalを確保。
レース直前に余裕がないのは不安になりますね。
ゆっくりトイレにも行けなかった…。
今回は576人が出走。まだ薄暗い中でレースはスタートしました。
過剰ペース気味のスタート〜50km
まずは折返し50km地点をいかにダメージが少ない状態で迎えるかが重要。
とにかくスローペースで集団後方からスタート。
次第にペースアップして5分40秒ペースを掴みたいものの、ランナーが固まっているだけあってペースが思うように掴めません。
気づけば7分オーバーの超スローペース。
3km地点を過ぎても6分後半のペース。
これはいかん!とぐぐっとペースアップを図り、ランナー集団の脇をすり抜けるようにして前へ前へ。
5km地点では5分40秒ペースで走ることができました。
しかし、レース当日の朝にトイレに行けなかったのが気がかりでなかなかレースに集中できません。お腹が重い…。
「トイレに行こうかな」「でもトイレが混んでいたら嫌だな」「ダッシュしても2−3分はロスしそうだな」悩みながら走っているうちに少しずつペースも上がってきました。
我慢できずに14km地点の第3エイドでトイレに駆け込みます。
光の速さで用を足して気持ちもすっきり、精神的にも物理的にもずいぶんと軽くなりました。
時間ロスを考慮し、レース前半のエイドでは立ち止まらず、おにぎりなどの補給食をピックアップして走りながら食べました。
走りながら少しずつかじる、ちゃんと唾液を出す。
毎10kmを目処にエイド補給食やエナジージェル、スポーツようかんで100kcal強を確保。
20km地点を過ぎる頃には5分25秒と少し早いペースで走っていました。
レース4分の1となる25km地点ではすでに右足のふくらはぎに違和感あり。
ただ、50km地点まではこのペースを維持しながら走ってみようと前のめりに勝負してみました。
とにかく上り坂では歩かない!下り坂は重力に任せて楽に走る!を徹底します。
この強気ペースが功を奏しました。
コースには折返しが含まれるのでトップ集団とすれ違うことが何度かありました。
トップを爆走し続けるランナー(7時間30分でゴールしたツワモノ)を皮切りに数を数えてみます。
すると、40km地点で20位以内に居ることが判明。
あれ、気づけばずいぶんとランナーを抜いたようでした。
毎年サブ10を達成するのは上位20人程度なので当然の結果ですが、やたらテンションが上がります。
いいぞ、いいぞ、俺!
とにかくペースを落とさない、辛い時間帯が続く50km〜75km
なんとか5分25秒ペースで50km地点を折り返し。
確実に身体にダメージは溜まっています。
しかし、50kmまでを4時間30分で走ったことで30分の貯金ができました。
これは精神的に楽。
あとはペースを落とさず、貯金を切り崩しながらサブ10まで走り切る!
55km地点でドロップバッグを受け取ることができるので、用意しておいたエナジージェルやアミノ酸(BCAA)、芍薬甘草湯(攣り防止)を補充。
ついでにティーシャツのお着替えもして気分転換(これ大事)。
残り45km!ここからが長いんだよな〜。
あと45km、あと40km、あと35km、あと30km…と残りの距離を考えてばかり。
上り坂はとにかくサボらない。ペースはゆっくりになってもいいが、歩くのは禁止。
踏ん張れ、俺。
55km地点を過ぎてから同じペースで走る福岡のおにいちゃんと仲良くなり、「なんとかサブ10切りたいっすね」「このペースだったらおろちループさえ越えれば大丈夫ですよ」と話しながら疲れを紛らわせます。
このお兄ちゃんと一緒に走らなかったら今回のタイムはありえません。
本当に精神的な支えとなってくれました(2人ともサブ10を達成、レース後に仲良くなり、また一緒のレースに出られるといいですねと連絡先を交換して別れました)。
しかし、60km地点を越えてからは胃に食物が通らなくなり、10kmおきに100kcal強の補給をするというマイルールも徹底できなくなりました。
エイドのおにぎりは食べる気がおきないし、エナジージェルは味が濃すぎて何度も吐きそうになります。
エイドにあるバナナをよく噛まずに喉に突っ込むのが精一杯。
コース最難関のおろちループ登場!75km〜ゴール
70km過ぎからコース最高標高地点85kmまでは350mをひたすら上り一辺倒の15km。
この上りに入る75km地点まで5分35秒をキープできていました。
おろちループの上りでペースが落ちても、なんとかサブ10は達成できそう、明るい希望が見えてきました。
50km〜75km地点で苦しい中ペースを維持したおかげです。
おろちループは日本最大規模の二重ループ方式の道路。
おろちループが登場するまでもひたすら上りが続くのですでにヘトヘトの中、「このぐるぐる登るのかよ!」と絶望するくらい長い、高い、二重巻き!
走るペースが遅くなっても決して歩かないことだけを徹底してゆっくりおろちループを上ります。
どこまで登るんだよ〜と気が遠くなりながらエイドに到着。
さあ、ここからラスト15kmは先程登った下り10kmと平地5km!
すでに残りは15kmなので、ここからの下りは足が壊れてもとにかく攻めまくろうと走り出します。
重力に身を任せて足を前へ前へ進めます。
太腿に衝撃が走って攣りそうになりながらも、1人、2人、3人とドンドンと抜いていきます。
平地でのペースアップは厳しいので勝負どころは10kmの下り坂。
女性ランナー1位も発見!
なかなか距離が詰まりませんでしたが、なんとか追い越すことに成功。
「あなた、9時間30分切りも狙えるよ!」と励ましてもらい、ラストスパートを掛け続けます。
エイドもタイムの計測チェックのみ、もう休憩はしません!
しかし、おろちループの下り坂で抜いた2人のランナーもラストスパートを掛けてどんどん距離を縮めてきます。
「あと5kmですね!」「サブ9.5狙えますよ」とさらっと抜かれてしまいます。
90km以上走った後に4分20秒近いペースで追い込みをかける2人はどんな練習をしているんでしょうか。
サブ10はいける。
でも、ここまで来たならサブ9.5を狙いたい!
ただ、足はどっしりと重くペースを上げ切れません。
もう歩いてもいいかな…そんなことを考えながら、走っては歩き、歩いては走る。
あと5kmがとてつもなく遠く感じます。
「最後まで頑張りな!あんた十分早いよ!」と沿道のおばちゃんに励まされて(叱られて?)また走り始めます。
しどろもどろになりながら、最後のコーナーを曲がってみるとばたことのある景色が広がります。
来た、来た!
遠くからはぼんやりとマイクアナウンスが聴こえます。
やっとゴールまで来た〜!そして、ついにゴールテープをくぐって完走!
長かった!辛かった!痛かった!でもゴールテープをくぐる瞬間は最高に気持ちいい。
レース結果は9時間32分11秒!自己ベストを2時間弱更新!
レース結果は以下になりました。
- タイム:9時間32分11秒
- 総合順位:総合11位/576人中(完走率85.5%)
- 部門順位:11位/460人中(男性)
- 年代別順位:1位(29歳以下)/12人中
目標だったサブ10(ウルトラマラソン10時間切り)どころか、サブ9.5(9時間30分切り)まで2分11秒足らずの記録更新ができました。
昨年はじめて参加したウルトラマラソンよりも2時間弱の大幅なタイム更新です!
そして、なんと順位は総合11位!全体の上位2%に潜り込みました!
1位の女性ランナーよりも早かったので(羽田の次点ゴール)、総合順位と部門順位が同じになっています。
そして、29歳年代別順位で1位!12人しかいないけど(笑)
レースの振り返り
よくやった!やりきった!と自分を褒めてあげたいと思える結果を残すことができました。
サブ10を目標に挑んだ今回のレースですが、十分過ぎる出来のレース結果となりました。
奥出雲ウルトラおろち100km遠足のような難易度の高いウルトラマラソンでサブ9.5近い結果を出せたんだから他のレースでサブ9.5、サブ9も狙えるんじゃないかと闘志がみなぎってきます。またやるぞ!
自分なりにレースを振り返ってみました。
良かった点と反省点は以下です。
良かった点
- 55km地点にドロップバッグを受け取れるレースだったので前半の携行食や水分は少なめに設定し荷物を軽減
250mlのソフトフラスクとエナジージェルやスポーツようかんを600−700kcal分を携帯 - MCTオイル(中鎖脂肪酸)を今回のレースで初導入
レース前半50kmで20ml程度をちゅぱちゅぱ吸いました。糖質によるエネルギー摂取だけではなく、脂質も取り入れながらレース後半で胃がダメージを受けてもエネルギー切れを起こさないようにする - とにかく上りでは絶対に歩かない!
どんなに走るペースが落ちても歩かなければそこまでタイムは落ちない
反省点
- ウルトラマラソンは早朝のスタートになるので、睡眠時間の確保や朝のルーティンは時間に余裕を持って徹底すべし
睡眠不足やレース前にトイレに行くことができなかった不安感は後々にも残る - レース後半は食べ物が食べられなくなってしまい、エイドに設置してあるコーラでのカロリー補給に頼ってしまった
結果お腹はパンパン。後半に胃がダメージを受けても定期的にカロリー摂取すべし。 - ラストスパートの追い上げ(と気迫)が足りなかった
最後に抜かれたランナー2人は見事サブ9.5を達成したので、なんとか付いていくことができればサブ9.5が達成できたはず
Reliveでのコース動画
最後に、StravaなどGPSランニングアプリのアクティビティを自動でマップに落とし込んでくれるサービス・Reliveでコースマップ動画を作成してみました。
コースマップを見る度にレース当日の様子を思い出します。
めっちゃシンドかったけど楽しかったな〜!と筋肉痛でバキバキの足をさすりながら動画を眺めています。
Relive ‘Okuizumo Ultra Orochi 100km Tooashi 2019’