ウルトラマラソン&トレイルランナーのハダです。
2019年10月27日(日)に兵庫県で開催されたOSJ氷ノ山山系トレイルレースに出場し、完走しました。今回はそのレースレビューです。
- 兵庫県最高峰の氷ノ山(1,510m)舞台にしたトレランレースに興味がある
- 氷ノ山山系トレイルレースってどんなレース?と参加検討している人
- 西日本&10月開催で距離50〜70km程度のトレランレースを探している人
初めてエントリーしたのは2017年でしたが、あいにく台風で中止。
2018年の初出場に引き続き、2年連続の参加です。
ハダ
総距離78kmと距離は長いですが、獲得標高3,725mと激し過ぎない、走れるトレランレースですよ
OSJ氷ノ山山系トレイルレースの特徴
トレイルランニングレースではお馴染みパワースポーツが運営するOSJ氷ノ山山系トレイルレース。
新城トレイル、ONTAKE100、安達太良山トレイル、KOUMI100など全国で計12戦あるOSJトレイルランニングレースシリーズの最終戦でもあります。
OSJ氷ノ山山系トレイルレースの概要は以下です。
- 距離 78km
- 獲得標高 3,725m *2018年のITRA参照
- 制限時間 15時間30分
- 参加費 10,000円
- 定員 600名
- 受付 前日受付必須
ハダ
参加資格は特に無く、15歳以上ならOKと参加ハードルは低いレース
OSJ氷ノ山山系トレイルレースの特徴は以下です。
- 総距離78km&獲得標高3,725mのロングトレイルランニングレース
- 兵庫県最高峰・氷ノ山(1,510m)を舞台にする兵庫県を代表するレース
- 獲得標高は高過ぎず、舗装路や林道比率は高いスピードが出せるレース
テクニカルな路面や急勾配なトレイルが多いレースではなく、淡々と走り続ける林道やスキー場のゲレンデの登り降りが印象的なレースです。
ハダ
テクニカルなコースよりもウルトラマラソンなど淡々と走り続けるレースが得意なので、OSJ氷ノ山山系トレイルレースは好きなコース
昨年出場したOSJ氷ノ山山系トレイルレース2018の感想
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2018年に初出場し、完走した際の結果は以下でした。
- 記録 12時間41分48秒
- 順位 127位/350人中
- 年代 年代別順位・20代男子 11位
レース中は「なんとか制限時間内に間に合わなければ!」と必死で自分の順位も全く分からなかったのですが、ゴールしてみれば上位36%という結果。うーん、もっと頑張れそうな気がする。
ハダ
1年前の自分にとっては人生最長距離のトレイルランニングレース。完走できるのかビクビクしながら当日を迎えたことを思い出します…
2018年のなんとか完走できた感ではなく、しっかりと走り切って、タイムを縮め、順位を上げたいと2度目の参加をすることにしました。
OSJ氷ノ山山系トレイルレースのコース(距離・獲得標高)
スタートとゴール地点は同じ
獲得標高は3,725mと高過ぎず、しっかりと走れるパートも多い
OSJ氷ノ山山系トレイルレースのコースの特徴は以下です。
- 距離78kmに対し、獲得標高は3,725mと激し過ぎないロングトレイル
- 林道&舗装路の比率が50%程度ある、走れるレース
- OSJらしくエイドは少なめ、ドリンク&フードは少なめ
- 応援や私設エイドなど地域主体開催レースのおもてなし感は無く淡々とした印象
特にエイドが少なく、ドリンク&フードが少ない点は2018年に非常に困りました。
エイドにはお菓子と水があるくらいでバナナやおにぎりなどのリアルフードは無いことがほとんど。
携行していた補給食も少なかったため「ハンガーノック(エネルギー切れ)になるんじゃないか?」と思いながら走り続けるのは不安で仕方がありませんでした。
大会で出会うランナーから本当によく聞く話なのですが、「OSJのレースではエイドに期待してはいけない」ですね。十分な補給食が必須です。
【おすすめ】ウルトラマラソンやトレランのスタメン補給食ジェル&サプリ5選ハダ的補給食のスタメンはこちらです。糖質だけではなく脂質も入れるのがミソ👆
OSJ氷ノ山山系トレイルレースの攻略のポイントはトレランポール
長距離レースは「いかに足を残すか」が大事だからこそ後半にポールが効きます
個人的にコース攻略のポイントは1つ。
OSJ氷ノ山山系トレイルレースはストック・ポールの使用が認められています。
大事なのでもう一度言います。
ストック・ポールの使用が認められています!!!
去年参加した際は「え?トレランポール?!使ったことないからよく分からんし、たぶん要らんでしょ?」とトレランポールの効果を甘く見ていました。
しかし、2019年9月に参加した上州武尊山スカイビュートレイル(143k&D+9,200m)で初めてトレランポールを使ってみて感動…!なにこれトレランポールってすごい!!!
上りでの下半身の疲労が軽減されるだけではなく、上りや下り関係なくトレランポールがあるおかげでランニングフォームのバランスが取りやすくなります。
今回のOSJ氷ノ山山系トレイルレースはトレランポールを使用することで下半身の疲労を軽減し、どれだけタイムを短縮できるのかが楽しみです。
【完走編】総距離143km&獲得標高9,200m越ウルトラトレイル・2019年上州武尊山スカイビュートレイル140レビュー上州武尊山は距離143km&獲得標高9,200m越え!国内屈指の難関ウルトラトレイルランニングレースと称される大会です。トレランポールが無ければ絶対に完走できませんでした👆
【シナノ トレランポール14.0】長野発・創業100年越えスキーポールブランドトレランポールは長野発の創業100年越えのスキーポールメーカー・シナノのトレランポールを愛用しています👆
マイチャレンジは地下足袋での完走&タイム更新
地下足袋=薄型ソール軽量ゼロドロップシューズ
2018年は完走することに精一杯だったのですが、2019年は完走やタイム更新だけではなく、マイチャレンジを加えたレースにしたいと思っていました。
そして、ハダのマイチャレンジはこちら。ドン!
地下足袋でレース完走&タイム更新
地下足袋でレースに出場してみます。
「え、なんで地下足袋なの?」と思われる方も多いと思うので、詳しくはこちらの記事をお読みください。
軽量ゼロドロップ薄型ソール・丸五「万年縫付7枚」はフォアフット走法向きの地下足袋愛用している丸五・万年縫付7枚のレビュー記事です。地下足袋は、日本の履物文化に根ざしたフィット感抜群の薄型ソール軽量ゼロドロップシューズです👆
片手で簡単に曲がるソールの薄さが地下足袋のポイント
70kmを越えるようなトレイルランニングレースになるといつも愛用しているのはアルトラのシューズ。
足先が広く、ゼロドロップ、そして、クッション性の高い厚底なので何十時間と走っていても疲れにくいのが特徴です。ハダはウルトラマラソンもトレイルランニングもアルトラ一択。
【アルトラ ALTRA ローンピーク4.0】ロングトレイル向けゼロドロップシューズしかし、その一方でシューズのクッション性に任せてトレイルを走っているような違和感を感じ続けています。
特に林道やトレイルの下りをドタドタと大きな足音を立ててブレーキを掛けながら走ってしまいます。いつか足首や膝を怪我してしまいそう…
高機能シューズのクッション性に頼らず、あえて地下足袋を履くことで走り方の改善をしたいと思っています。
足指が別れ、ソールの薄い地下足袋を履くと、足指を動かすことができ、路面の情報を足裏から感じ取ることができ、足に頼らず体全体で走る癖が付くので非常に新鮮なランニング感覚を味わうことができますよ。
やっぱり長年日本で履き続けられている足袋という履物は非常によく出来ています。
OSJ氷ノ山山系トレイルレースを実際に走ってみた
OSJ氷ノ山山系トレイルレース78k、事前受付終了 pic.twitter.com/JUqh6XJXl5
— ハダ|氷ノ山トレイル78k@1027 (@hada_tomohiro) October 26, 2019
OSJ氷ノ山山系トレイルレースの会場となるハチ北高原スキー場はハダが暮らす岡山・西粟倉村から車で2時間の距離にあります。
往復4時間は辛いところですが、慣れた自宅で食事や睡眠をとりたいので、前泊はせずに前日受付・レース当日と車で通いました。
OSJ氷ノ山山系トレイルレースの参加賞は2017年・2018年とTシャツだったのに2019年はランニングソックス。まさかのピンクだった。履けねぇ… pic.twitter.com/lWuu5SK1eS
— ハダ|氷ノ山トレイル78k@1027 (@hada_tomohiro) October 26, 2019
2017年・2018年の参加賞はティーシャツだったのに2019年の今回はコンプレスポーツのランニングソックスでした。カラーはまさかのピンク…!あれ、売れ残った余りの商品ですか?
定価2,200円(税抜)なので、レースに出る度にどんどん溜まっていく参加賞ティーシャツよりもよっぽど実用的で嬉しいですね。
スタート〜第1関門(30km地点)
レースは朝5時スタート。26時に起床して2時間の車移動でやってきました、ハチ北高原スキー場。あやうく途中でシカを轢くところでした。
2018年は当日の必携品チェックがありましたが2019年は無し。オペレーションが大変で省いたのでしょうか?
スタート会場には仮設トイレが無く、施設のトイレのみで大渋滞。家を出る前に用を足さなかったことを全力で後悔しました。そわそわ。
スタートの様子#OSJ氷ノ山山系トレイルレース pic.twitter.com/828W9nqxPc
— ハダ|氷ノ山トレイル78k@1027 (@hada_tomohiro) October 27, 2019
真っ暗闇の中、レースがスタート。意外と温かい。
まずゲレンデ急登→鉢伏山&氷ノ山越と登りが続きます。
トップ選手の走りを見たかったのでスタート直後は30位くらいの位置に付きながら必死に追いかけますが、さすがのトップ選手は早く、少しずつ順位が落ちていきます。
夜露で湿った丸太階段が滑りやすく何度も転びそうになりますが、トレランポールのおかげで転ばずには済みました。下りでも役立つのがトレランポール。トレランポールを持っているランナーは全体の半分くらいでしょうか。
1時間ほど山を登り降りしていると、空も明るくなってきたのでヘッデンの出番は終了。残りはゴールが遅くなれば使う機会が出てくるかも…?できれば使わずにゴールしたい…!
10km地点にはエイドステーションがありましたが、水分も残っているので立ち寄りはせずにスルー。まだまだ序盤です。
OSJらしい延々と続く林道
そして、ここから10km地点から第1関門のある30km地点までの20kmはひたすらロード&林道が続きます。
ここで林道に入った途端、足裏に大きな傷みを感じます。
「林道の石がめちゃめちゃ痛い」
地下足袋の薄型ソールを越えて突き上げてくる石たち。ロードやトレイルではそこまで痛みは感じなかったものの、林道の石はめちゃんこ痛い。いや、本当に痛い。
これはやばい。一歩一歩、石が足裏を突き上げてきます。ある程度スピードが出る下りが一番痛い…!もう必死。
いかに石を避けてフラットな地面で着地するかに必死。でも、この着地感覚が本来一番大事。
アルトラのシューズを履いてこればよかったと30回は後悔しました。DNFする?いやいや、マイチャレンジは地下足袋での完走なんだからもう少し頑張れ。
この20kmでかなりの人数に抜かれてしまい現在60位くらいでしょうか。序盤にも関わらずこのパートが一番長く感じてシンドかったです…
小石を踏むと足裏が痛む→衝撃を吸収しようと膝や腰が落ちる→フォームが崩れる→身体の他の部位に負担が掛かり、背中や腰が痛くなる…という悪循環に陥ります。
ようやく次のエイドが見えて安心したのも束の間、木の根に足を引っ掛けて盛大に転んでしまいます。手や膝は血まみれ。果たして完走できるのか、オレ。
第1関門(30km地点)〜第2関門(40km地点)
エイドでコーラをがぶ飲みして、補給食やサプリメントを摂取。気持ちを入れ替えます。
先日の台風もあり、落ち葉の量が非常に多い
扇ノ山山頂までの登りはトレランポールのおかげで比較的スムーズに進みます。
トレランポールと腕の力でグイグイと身体を持ち上げていきます。石も少ないので足裏が痛むこともありません。
山の中は若干霧がかっているような湿度の高さ。なんだか雨が降りそうです。
扇ノ山頂上(1,310m)で記念写真
ようやく山頂に到着!扇ノ山山頂で写真を撮ったら次のエイドまでは下り一辺倒。
よっしゃ、行くぞ!と進み出せば、途端に天気が悪くなり大雨が降り出します。
天気は持つ見込みだったのですが、山の天気は変わりやすいですね。レインジャケットを着込んで走り続けます。
「日が沈むまでにはゴールしたい」「地下足袋でも前回のタイムを越えたい」そんなことを考えながら山を降りていきます。
ようやくたどり着いたエイド。これで残り半分、あとは38km。
折返し地点を過ぎ、補給食が少なくなってきて若干不安を感じます。胃腸の調子は良く、エナジージェルも水で薄めながらちゃんと摂取できているのが救い。
エイドのスタッフによると現時点で80位くらいとのこと。抜かれることがあっても抜くことは少なかったのでずいぶんと順位が落ちてしまいました。ここから巻き返しはできるのか…
第2関門(40km地点)〜第3関門(50km地点)
ここからはひたすらロード&林道のパートが続きます。
何度もレース中にすれ違っていたランナー(テラシマさん)と仲良くなり、2人でお話しながらコースを進んでいきます。
マラソンはタイムが第一優先なのでレース中に話しかける機会はほとんどないけど、トレイルランニングの面白さはこういったところにありますね。出身地、仕事、家族、参加したレース、いろんなことを話しながら走りました。
ペーサーのように引っ張ってくださったので、コース取りもしやすく林道の石の痛みも随分と軽減できました。これを一人で走っていたら絶対に自分に甘えて歩いてしまっていたはず。
2018年も随分と長居した居心地の良い集落エイド
お話していると時間はあっという間に過ぎるものでエイドに到着しました。
エイドではまたしてもコーラをがぶ飲み。エイドの楽しみはコーラに尽きます。この日ばかりはカロリーたっぷり赤ラベルをがぶ飲み。
足裏のダメージはかなり蓄積されていますが、不思議と今回は足を一度も攣っていません。いつもならレース中に2−3回は攣ってしまうのですが、今回は攣りゼロ。トレランポールと地下足袋効果でしょうか。
残り18km。随分とゴールが近づいてきました。
第3関門(50km地点)〜第4関門(69km地点)
美しい村の風景が残った集落を渡り、ここからはひたすらロードの登り。
このパートを越えて次のエイドまで訪れることができたら残り9km。元気も出てきます。
延々と道路を登り続ける
引き続き、テラシマさんとお話をしながら一緒に歩き続けます。
トレランポールを使って腕の力でガシガシと登り続けます。トップ選手であればこういったパートを歩かずに走り続けるんだろうなぁと思いながらも足が前へ進みません。
走っているうちに去年も見た景色を思い出します。「ここにスキー場あったな」「この看板覚えてるわ」「ここからが意外と遠いんだよな」なんてことを考えながら歩き続けます。
登りに登って6km、ようやくとちのき村エイドに到着。
ここでもコーラをがぶ飲みし、温かいコンソメスープをすすり、休憩も早めに切り上げてラストスパートです。
第4関門(69km地点)〜ゴール
ここまで来たら気持ちはウイニングラン。残り9km!
スタート直後は真っ暗で見ることができなかったハチ北の絶景を求めて足早に進みます。
2018年とはコースが代わり、最後のスキー場までのパートは簡単になりました。
暗くなる前にハチ北で記念写真
2018年はすでにこの場所で写真を撮った際は暗くなり月が見えていましたが、今回は明るいうちに写真を撮ることができました。この景色のために走っていたんだ!
スキー場を降りて林道を進めばゴール
スキー場を下り、最後の林道の山を越え、ラストはひたすら下り。着地する度に下半身が痛みますが、ゴールまであと少し。
なんならラストスパートで他のランナーを抜いてやろうと思っていたのですが、他のランナーもまたラストスパート。みんなガッツあるなぁ!
マイクの声が聞こえ、見慣れた黄色いパワーバーの看板を見て一安心。最後にはテラシマさんと固い握手をしてゴールしました。
OSJ氷ノ山山系トレイルレースのまとめ
地下足袋での参戦だったが去年より20分タイムを短縮
あ〜〜〜疲れた〜〜痛かった〜〜〜!!!でも地下足袋で完走できて良かった〜!!!
2019年のOSJ氷ノ山山系トレイルレースの結果は以下でした。
- 記録 12時間20分36秒
- 順位 73位/345人中
- 年代 年代別順位・30代男子 16位
全体の上位21%には食い込むことができました。タイムも前回より20分更新。
地下足袋のダメージは想像以上でした。改めてランニングシューズのクッションってすごいんだな。
途中、足が痛すぎてDNFを考えたものの、最後まで諦めなくてよかった。
レースの半分以上を一緒に走ったテラシマさん
レースの半分以上を一緒に走ってくださったテラシマさんが居なければ、もっとタイムは遅かっただろうし、途中でDNFしていたかもしれません。
テラシマさんのおかげで地下足袋での完走を実現することができました。
レース後の地下足袋は「田植え後の足袋」感
肝心の地下足袋は汚れて真っ黒に。
真っ白だった地下足袋が真っ黒になったものの、大きな損傷などは一切なし。地下足袋は安くて長持ちしますね。
「よく地下足袋なんかで走るね」と言われるのですが、実現したいのは「ランニングシューズよりも地下足袋を履いた方が速い」という結果。
今回は力足らずで大幅なタイム更新はできませんでした。残念。鍛錬が足りませんね。
OSJ氷ノ山山系トレイルレースの評価は以下です。
エイドにはお菓子・水・スポーツドリンク(たまにコーラ)くらいしか置いていないのでOSJのレースに出る際の補給食は十分に持っていってくださいね。