材料費、設備維持費、在庫管理費、出張経費 etc…
材木屋(の営業マン)として日々働くなかでさまざまな費用(コスト)が発生していることに気がつきます。
フローリングを一枚つくるのにも、いろんなコストが重なり重なって販売価格に割り当てられています。
コミュニケーションコストもその一つ。
見積もりの計算をするのも、打ち合わせに事務所を訪問するのも、電話やメールのやりとりも、すべてコミュニケーションコストの一部。
仕事を通してお客さんとコミュニケーションをとるなかでもコストはかかっています。
そして、生産性が高い仕事とは、決して頑張っていることではなくて、頑張らなくても良い成果を残せるということ。
つまり、必要最小限のコストで最大の効果を狙うということ。
とは言うものの、思った通りにいかないのがシゴトの常。
サラッと流せる案件かと思いきや、やれ寸法変更だやれ納期変更だ、おまけに納品先も変更だ!と至急の対応に追われに追われ、お客さんには喜んでいただけたものの、工数が掛かった割には金額として難しかったなぁと感じる仕事もたくさんあります。
移動もそう。
片道で二時間、往復四時間かけてお客さんの事務所を訪問し、一時間の打ち合わせをする。それを二日繰り返せば計十時間。
一営業日が移動だけで終わってしまう。それだけで一人工(にんく)のコストがかかってしまいます。
かと言って、メールと電話だけではなかなか仕事を受注できないのも事実。
「コンチハ!最近、どうですか?」とお客さんのもとを訪問することで「今度はこんな仕事があってね…」と次の仕事につながることもある。
見積もりだってそう。
投げられたボール(依頼)を価格と納期だけを記して打ち返すだけでは、なかなか受注には至らないものです。
「あの案件の見積もり、どうでした?」とフォローの電話を入れてみると、状況の変化だったりお客さんの希望だったり情報を集められるし、「こんな方法だったらもっと安くできます!」と+αの提案がお客さんに喜ばれて受注につながったりするもの。
お客さんは「早い・安い・品質が良い」ものが欲しい。
そんなの当たり前。
営業マンとしてお客さんの希望にはなんとかして応えたい!
その一方で「ノウキサイタン」というマジックワードに振り回されていると、稼働率ありきの製材工場の生産計画が狂ってしまうことも多々あります。
大切なお客さんの注文なのか、製材工場としての生産計画なのか、何と何が秤にかけられているのかソロバン片手に考えていないと、利益が霞んで見えなくなってしまいます。
一つの案件にべったりと掛かりきりになっていては他の仕事が回らないし、日々降ってくるさまざまな仕事に忙殺されていては各々へのフォローがちゃんとできずに取りこぼしが発生してしまいます。
大切なのは言わずもがなバランス感覚なのだけれど、そのバランスを見極めるうえで大切なのは、完了までのプロセスをイメージすること。
営業マンは稼いでナンボ!
だけど、見積もり→受注→納品→請求というプロセスを経て、口座にお金が振り込まれてはじめて一つの案件が完了します。
「注文とってきました!」と満足して小躍りしていてはダメだ。
限りある時間(と期間)の中でどれを取捨選択するのか。折り返せていない電話、納期最短の見積もり、投げっぱなしの見積もりのフォロー、進まない企画書…。
緊急性と重要性の二軸のマトリクスの中で、いまやっている仕事はどこに当てはまるのだろう。
目の前の仕事に忙殺されているとそれすら分からなくなってしまうこともたくさんあります。
木を見て森を見ず、なんて材木屋に適した言い回しがあるけれど、木も見て森も見ることが大切なんだなぁと痛感。
ロマンを描きながらもソロバンはしっかりと握りしめていなければ!
そんなことをブツブツと考えながら、(コミュニケーションコストがたっぷりとかかっている出張の最中に)カチカチとキーボードを叩いていると、イヤホンからロバート・プラントの金切り声が響く(iTunesのシャッフル機能はすごい)。
Communication breakdown, Its always the same
早く見積もりつくれよ!