最近、ウルトラマラソンやトレイルランニングなど長時間かつ大量のカロリーを消費するエンデュランススポーツで話題に挙がることの多い「FAT ADAPTATION(ファットアダプテーション)」。
ファットアダプテーションとは、安静時や運動時に脂質をエネルギーとして利用しやすい身体に調整することです。
自分自身もファットアダプテーションに興味を持ち、MCTオイル(中鎖脂肪酸油)を取り入れ始め、3ヶ月で5kgの減量やウルトラマラソン自己ベストタイム更新(サブ10達成)することができました。
今回は、より体系的にファットアダプテーションについて学びたいと思い、STRIDE PERFORMANCE CENTERが開催するFAT ADAPTATION PROGRAMのウェブセミナー(ウェビナー)の基礎編を受講し、感じたことをまとめました。
FAT ADAPTATION(ファットアダプテーション)とは?
FAT ADAPTATION®の公式サイトから引用すると、
FAT ADAPTATION(ファット・アダプテーション)とは、安静時、運動時に脂質をエネルギーとして利用しやすい身体に調整することです。
日々の食事や、運動の種類、頻度によって、安静時、運動時にエネルギーとして利用している栄養素の割合は違います。
特にウルトラマラソンや長時間継続する競技では、運動中の脂質と糖質をバランス良くエネルギーに変えることで、長時間高いパフォーマンスを安定して維持できる能力が必要になります。
スプリントのような短く強度の高い競技でも、普段の脂質代謝を優位に高めることで、リカバリーを早め、高いパフォーマンスを維持できることが証明されています。
マラソンやトレイルランニングのエネルギー補給と言えば、エナジージェルなど糖質(炭水化物)が主になりがち。
マラソンのエイドに並んでいる食べものは、おにぎり、バナナ、オレンジ、コーラなど、糖質ばかりですね。
しかし、ファットアダプテーションでは、糖質だけに頼らずバランスよく脂質を取り入れ、また、体内に蓄えている脂肪を活用し、脂質代謝を高めて脂質をエネルギーにしやすい身体づくりを目指します。
ファットアダプテーションを知ったきっかけはSTRIDE LABのブログ
そもそもハダがファットアダプテーションについて知ったのは、多摩市・聖蹟桜ヶ丘にあるランニングショップ・STRIDE LABのブログがきっかけ。
ブログを読み、良い脂を適量摂り入れることの重要性を知ることができました。
さっそく日清オイリオのMCTサプリメントゼリーとMCTパウダーを購入し、朝食やランニング中にMCTオイルを摂り入れる生活を始めました。
日清オイリオのサプリメントゼリーはヨーグルト味で美味しく、携行性が高いのでランニング中の脂質補給にもおすすめです。
またMCT(中鎖脂肪酸)オイルを摂り入れ始め、3ヶ月が経過したのでレビューを書きました。
身体に表れた効果はもちろん、おすすめのMCTオイルについてもまとめています。
ファットアダプテーションで脂肪を燃やす身体づくり。MCT(中鎖脂肪酸)オイルを毎朝飲み続けて3ヶ月経過した効果をレビューファットアダプテーションで体重5kg減、ウルトラマラソン自己ベスト更新
現在は朝食代わりに毎日プロテイン+MCTオイルを混ぜて飲んでいます。
朝食は毎朝しっかり食べたい派でしたが、脂肪が燃えているせい?か昼までお腹が減りにくくなりました。
MCTオイルを取り入れ始めたばかりの頃は身体が慣れず、お腹がゆるくなる日もあり不安に感じましたが、次第に慣れていき、お腹のゆるみも無くなりました。
またMCTオイルを摂り入れ始めてファットアダプテーションの効果が如実に表れるようになりました。
特に食生活の改善や練習量の変化はないものの、MCTオイルを摂り入れ始めてから3ヶ月で体重が5kg減少しました。
MCTオイルはダイエット文脈で語られることが多いですが、見事にその効果を実感しました。
そして、先日参加した100kmウルトラマラソンでは自己ベストタイムを2時間弱更新し、9時間32分11秒で完走し、サブ10を達成。
総合順位11位、年代別総合1位になることができました。
レース中は前半50kmで20mlのMCTオイルを摂取して走っています。
胃がダメージを受け食べものが喉を通りにくくなった後半50kmでしたが、最後までエネルギー切れにならず、むしろラストスパートを掛けることにも成功しました。
【奥出雲ウルトラおろち100キロ遠足】総合順位11位!年代別1位!人生2度目のウルトラマラソンでサブ10達成FAT ADAPTATION PROGRAMのウェブセミナー・基礎編
今回、受講したSTRIDE PERFORMANCE CENTERが開催する、FAT ADAPTATION PROGRAMのウェブセミナー(ウェビナー)は「Fundamental」編、つまり基礎編です。
Fundamental / 受講料 ¥1,000
【対象】 Fat Adaptationに興味があるすべての方。 スポーツパフォーマンスアップ、ダイエット、健康。
ハダは2019年5月8日(水)20時から開催されたWEBセミナーに参加しました。
参加者は平日の夜にも関わらず、オンラインで24名!
100マイルレースを100回完走することを目指す井原知一さん(通称:トモさん)と、ALTRAでお馴染みの株式会社ロータス・福地孝さんの2名による豪華ウェブセミナーです。
一度はお話を聞いてみたかったお二人なのでとても楽しみにしていました。
実はセミナーのチケット購入が直前になってしまい、購入後もメールが届かず、セミナー開始3分前までドキドキしっぱなしでした。
しかし、問い合わせに対する福地さんのメールのレスポンスがとても早く、迅速に対応してくださったおかげでなんとかセミナーに間に合いました。
本当にありがとうございました…!
実際にウェブセミナー基礎編に参加してみた
受講内容をまとめてみました。
ファットアダプテーションの効果
- ファットアダプテーションとは?
安静時、運動時に脂質をエネルギーとして利用しやすい身体に調整すること - ファットアダプテーションの効果
運動中の摂取エネルギーの量を減らすことができる
疲労物質(乳酸など)の除去能力が増え、エネルギーとして活かすことができえる
井原知一さんによると、ファットアダプテーションに出会うまでに参加した100マイルレースは、エナジージェルを30−40個(4,000-5,000kx)も携行・摂取していたものの、今はエナジージェルを摂取することが無くなり、摂取カロリーも半分程度で済むようになったとのことでした。
身体が利用しているエネルギー:糖質と脂質の違い
- 糖質
◎ 必要な時にすぐにエネルギーとして利用できる
△ 身体の中に蓄積できる量が限られている - 脂質
△ エネルギーになるまで時間がかかる
◎ たくさんのエネルギーを蓄えておくことができる
糖質と脂質の関係は、STRIDE LABのブログでも分かりやすく説明していますが、財布・銀行・デビットカードの話がとても分かりやすいです。
参考 山の補給学STRIDE LAB BLOG- 糖質=財布の中のお金
使いたい時にすぐ使うことができるが、財布に入る金額はある程度決まっている。それ以上が必要な買い物はできない場合がある
- 脂質=銀行
たくさんのお金を蓄えられるが、いきなり必要になってもすぐに使えない - MCTオイル(中鎖脂肪酸)=デビットカード
財布に入れておくのはデビットカード1枚とすこしのお金(糖質)だけ。実際は無限にある銀行のお金をいつでも利用しながら、急に必要な小銭はお金(糖質)で賄う
マラソンやトレイルランニングでは、レース直前に食事の炭水化物割合を増やすカーボローディングという方法があります。
カーボローディングを行うことで体内グリコーゲン(糖質)の蓄積量を増やすことができ、その蓄積量は1,000〜2,000kcalとも言われています。
しかし、100kmウルトラマラソンの消費カロリーは7,000kcal以上にもなります。
いくらカーボローディングを行って体内グリコーゲン量を増やしても、ウルトラマラソンを走り切るカロリーは賄うことができません。
つまり、レース中に財布の中のお金(糖質)を使ったり、銀行(脂質)を利用しながら走る必要があります。
ファットアダプテーションの前提条件と継続性
- 前提条件
バランスの取れた食生活の中に摂り入れることが健康を維持する上でとても重要 - 継続性
継続する上で効果を得ることができるプログラムなので、現在の生活スタイルに最も適した方法でファットアダプテーションプログラムを導入することがとても大切
自分自身、低糖質ダイエットなどを試したことがありますが、なにより食べることが大好きなので、好きなものが食べられないことによるストレスが溜まって仕方がありませんでした。
ファットアダプテーションも同じで、バランスの取れた食生活の中に摂り入れつつ継続することで効果が得られるものとのことでした。
なぜファットアダプテーションなのか?
- 運動中の摂取エネルギーの量を減らすことができる
- 脂質代謝をメインにすることで、外部摂取を減らすことができ、長時間の運動が可能になる
- 外部摂取に頼らないため、内臓疲労を軽減できる
ex)ウルトラマラソンのDNF(途中リタイア者)の原因の3分の1が補給トラブルや内臓疲労によるものと言われている。つまり補給トラブルや内臓疲労によるトラブルが起きなければ完走率が33%高くなる
財布(身体)の中に入れられるお金(糖質)の量は限られているので、銀行(脂質)とデビットカード(MCTオイル)を上手く使いながら、財布(身体)を軽くして走れるようにしましょう、ということですね。
ハダもトレイルランニングレースの後半には胃がダメージを受けて食べものが喉を通らないことが多々あります。
エナジージェルは味が濃くて美味しく感じられないし、リアルフード(おにぎり)は喉を通りません。
でも、いま食べておかないとゴールまで走り切れないカロリーが足りないどうしよう…!と吐きかけながら口に突っ込むことも少なくありません。
無理して少量しか蓄えられない糖質を摂り続けるのではなく、体内にある脂質を活かすのがファットアダプテーションの根本です。
脂肪を1kg燃焼するのに必要な消費カロリーは7,200kcalと言われています。
その逆を考えれば、体内の脂肪1kgをエネルギーとして使うことができれば7,200kcal分も走行できるということですね。生かさない手はありません。
インスリンが分泌される時間を減らすためにファスティング(断食)する
- ファットアダプテーションで重要なのは、インスリンが分泌される時間を減らすこと
食事の間をしっかり空け、インスリン濃度が下がる時間を作ることを心がける - そのために1日10〜15時間のファスティング(断食)を行うことをおすすめする
ファスティング=インスリンの分泌が行われる食事を取らない時間を指す - インスリンの血中濃度が高いと糖質をエネルギーとして使う
インスリンの血中濃度が低いと脂質をエネルギーとして使う
朝食はコーヒー+MCTオイル。夕食〜次の昼食までファスティングする
じゃあ、何をいつ、どれくらい食べればいいの!?という点が最も気になるところですが、STRIDE LABでは下記のような食事例をおすすめしていました。
- 朝食(AM8時)
コーヒーとMCTオイル
インスリン分泌の無い脂質のみ - 昼食(AM12時)
通常の食事 - 夕食(PM9時)
通常の食事 → 夕食から次の昼食まで15時間
この内容なら厳しい食事制限があるわけではないので始めやすそうですね。
MCTオイルは無味無臭無色なのでコーヒーに入れても風味を損ねることはありませんから飲みやすいですよ。
参考 FAT ADAPTATIONの実践STRIDE LAB BLOG最後に:朝食ではコーヒーの代わりにプロテインはダメ?
最後にオンラインチャット上で質問の時間がありました。
ハダ
という質問に対し、ロータス・福地さんがたいへん丁寧に答えてくださいました。
- 朝食にプロテイン+MCTオイルではファスティングにはならない
- なぜなら、ホエイプロテインにはタンパク質だけではなく糖質も入っている
調べてみると、愛飲しているホエイプロテイン・MYPROTEINにも糖質が含まれている(甘いですもんね)
ちなみにプロテイン1食分:タンパク質21gに対し、糖質1.3g、脂質1.9gと微量 - 血糖値とインスリンの関係を理解する必要あり
糖質を摂り血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが瞬時に分泌
インスリンの作用により、ブドウ糖が肝臓や筋/脂肪組織に取り込まれる
肝臓からのブドウ糖の放出が抑制されて血糖値が下がる
どうせならMCTオイルだけではなくプロテインも同時に摂ろうと深く考えずに朝食はプロテイン+MCTオイル生活を続けていました。
しかし、プロテインに含まれている糖質が、ファットアダプテーションで重要なファスティングを邪魔してしまうんですね。
とても学び深い時間だったので次回セミナーも参加してみたいと思います。
ハダは仙台勝山館のMCTオイルを愛飲しています。
癖の強い海外製MCTオイルに比べ飲みやすいのがお気に入りです。
毎日飲むためストックが無くなると不安になってしまうので定期購入を活用しています。