狩猟に取り組んでいると「ジビエって臭いんでしょ?」「シカ肉は食べたことあるけどあんまり美味しくなかった」なんて声をちらほら耳にします。
それは「新鮮なジビエを美味しい調理法で食べてないからだ!」と猟師は声を大にして言いたい。
今回は東京出張にかこつけて東京・町田のイタリアンビストロ「肉炭イタメシittou」で美味しいシカ肉を食べてきました。
なんとハダが暮らす岡山・西粟倉で獲れたシカ肉をメニューに入れていただいているお店です。つまり、俺が獲ったシカは「肉炭イタメシittou」で食べられるぞ!!
東京・町田のイタリアンビストロ「肉炭イタメシittou」とは
「肉炭イタメシittou」は東京都町田市にあるイタリアンビストロ。2019年4月にオープンしたばかりのお店です。
メイド・イン・ジャパンをテーマに、名物のジビエ(鹿&鴨)の炭火焼きから野菜、ワイン、スピリッツ、ジュースにいたるまで国産で表現する「食通な大人のための“使える”隠れ家的ビストロ」です。
- 住 所 東京都町田市森野1-35-12
- 交 通 小田急線町田駅小田急線北口より徒歩3分、JR横浜線町田駅JR北口より徒歩8分
- 電 話 042-851-7629
- 営業日 月~日、祝日、祝前日
- 時 間 17:00〜翌0:00(料理L.O. 23:00、ドリンクL.O. 23:15)
- 席 数 23席
町田駅から徒歩圏内。新宿駅〜町田駅まで小田急小田原線で30分ちょっと。
東京で働いていた時は町田に行く機会は無く、地図で見ると「町田って都内から遠いな〜」と思いましたが、さすが東京の交通網。あっという間に到着しました。
シェフとの出会いは7年前の大学時代
中塚シェフとの出会いはハダが三重大学の学生だった頃に遡ります。2012年夏なのでもう7年前の話。
当時、ハダはロクに大学も行かずに三重県尾鷲市の温浴施設・夢古道おわせでインターンとして働いていました。お風呂屋さん発の全国展開イベント企画を夜な夜な考えたり、お風呂を洗ったり、ソフトクリームを巻いたりしてました。
そこで尾鷲に岩牡蠣やカツオの生節の仕入れに来ていた中塚シェフと夢古道おわせ・伊東店長を通じて知り合ったのでした。
東京から産地に足を運んで直接食材を仕入れるなんて本当に食材にこだわったシェフなんだなと強く印象に残っています。
そして、三重大学を卒業し、東京を離れて西粟倉村に移住してからも、ハダが働く西粟倉・森の学校の木材を他店舗の什器にお使いいただいたりとご縁をいただいていました。
そして、「肉炭イタメシittou」の看板メニューとしてホンシュウジカの肉を探されているタイミングで、狩猟を始め山でシカを獲るハダに連絡してくださったのでした。
現在は西粟倉村で獣肉の解体流通に取り組むエーゼロから西粟倉村のシカ肉を仕入れていただいています。
いつシカが獲れるか分からない中、多い時には1日5頭ものシカをエーゼロ自然資本事業部の友人の野木くん&若林さんが新鮮さを損なわないように迅速に解体してくれています。いつもありがとう。
ハダをはじめ、西粟倉村の猟師の一部がシカの個体をエーゼロに引き渡しているので「肉炭イタメシittou」では西粟倉村の山で獲れたシカを食べることができます。
自分が山で獲ったシカを東京で美味しく調理してくれるお店がある。猟師としてこんなに嬉しいことはありません。ご縁って素晴らしい。
猟師の自分が山で獲ったシカが誰かに美味しく食べてもらえる流通
ハダは狩猟免許取得4年目の素人猟師です。
かつて同居していた友人が狩猟免許を持っていたこともあり、「自分が食べる肉くらい自分で獲って捌けるようになりたい」と狩猟を始めました。
現在は、材木屋「西粟倉・森の学校」の営業マンとして働きながら、平日や土日のスキマ時間で狩猟に取り組んでいます。
【狩猟】家の裏山でタケノコを掘るイノシシをくくり罠で捕獲、解体して食べてみた くくり罠で捕獲したイノシシの骨で出汁スープを取って猪骨チャーシューラーメンを作ってみた 家の裏山でくくり罠を使って雄シカを捕獲したので解体して睾丸と陰茎を食べてみた今まで30頭以上のシカやイノシシを獲ってきましたが、自分でシカを捌いても自分自身や家族、友人に食べてもらう程度でした。
ですが、消費者ではなく生産者側に回ることでしか分からないこともたくさんあります。
獣の命を奪って肉やお金を得ているので心苦しく感じることもありますが、自分の努力が誰かの「美味しい」に繋がっているんだと思うと嬉しくなってきます。
実際に「肉炭イタメシittou」でジビエ(シカ肉)を食べてみた
ということでお店にやってきました。
インターン時代に知り合った中塚シェフのお店にインターン時代の仲間と訪問。
早速コース料理を食べさせていただきました。今回頼んだのは4,500円のコース料理です。
- 季節の野菜を使った本日のアミューズ
- 前菜の盛り合わせ
- 黒トリュフ香るオムレツorホワイトアスパラの炭火焼き
- 岡山県西栗倉産本州鹿の炭火焼 or 牛ヒレ肉のレアカツ
- 〆のパスタ
- 黒七味風味のトマトスパゲッティ 丸ごと炭焼きトマト
- デザート
- コーヒー or 紅茶
さあ、どしどしコース料理を紹介するよ。
本日のアミューズ:とうもろこしの冷製ポタージュ
まずは冷製スープ。ズズ。わ、とうもろこしってこんなに甘いんですね。
前菜の盛り合わせ
盛りだくさんの野菜はすべて中塚シェフが産地を訪れて仕入れた国産モノ。
色とりどりの野菜のインパクトが大きいですが、後ろには藁焼きした大きなブリが隠れています。
ホワイトアスパラの炭火焼き
じゅわっとあふれるアスパラの甘み。
大きなアスパラって口内に繊維が残ることが多いのですが、全くそんなことありません。
アスパラって茹でて食べることがほとんどなんですが、炭焼きしても美味しいんですね。
岡山県西栗倉産本州鹿の炭火焼
さあ、お待ちかねの看板メニューの登場です!
どん!
これが西粟倉村産のシカのシンタマ。
内股の下部にあたる部位です。1-2歳くらいの小ぶりサイズ。
どどーんっ!ぶ厚い!
これが看板メニュー・岡山県西栗倉産本州鹿の炭火焼です!
やわらか!しっとり!美味いに決まっています。
シカ肉は脂肪が少なく、鉄分が豊富、低カロリーなのに高タンパクとヘルシーなお肉。
たいへん上品な味わいでございます。ただ、火を通し過ぎると固くなりやすいので、熱のコントロールが重要です。
「このキワキワ感を出すのに苦労したんだよ。何度もサンプルを仕入れて試したんだから」と中塚シェフ。
「肉炭イタメシittou」では低温調理した後、炭焼きを行うことでやわらかさとしっとり感を残しています。
そのままでも美味しいのですが、土佐の粗塩をちょこんと付けるといっそう甘みが感じられます。
〆のパスタ
完熟トマトの甘みがじゅわ。
しっかり乳化されたパスタにソースが絡みついて激ウマ。
時間も遅かったためでしょうか、柔らかめに茹でられたパスタでスルスルと胃袋に入りました。
デザート&コーヒー
ガトーショコラとコーヒーの組み合わせが最高。夏みかんの酸味と甘さもアクセントになります。
あー、美味しかった!!
後ろのテーブルで「シカ肉美味しいね」と食べているカップルや女性グループに「このシカ、ぼくたちが西粟倉村って村で獲ったんすよ」と言いたい衝動に駆られながらも、中塚シェフと記念撮影をして退店。
中塚シェフ、本当にありがとうございました。必ずまた来るぞ!
最後に
ここ3〜4年、都市部を中心にジビエが盛り上がっていますが、2019年は亥年(いどし=猪)ということもあり、いっそうジビエブームが盛り上がっています。
しかし、都内のジビエレストランを覗いてみると、シカ肉は圧倒的にエゾシカが多い傾向。ホンシュウジカの課題はやはり安定的な流通。
中塚シェフも「エゾシカなら比較的手に入りやすいが、ホンシュウジカを安定供給できる地域が少ない」とおっしゃっていました。
猟師としてもっとスキルを磨き、シカやイノシシをたくさん獲っていろんな人に美味しいジビエを食べてもらいたいなと強く思ったのでした。
冒頭の「ジビエは食べたことあるけど美味しくなかった」とガッカリした知人達に美味しいシカ肉を食べてもらいたいな。
東京近郊にお住まいの皆さま、ぜひ東京・町田のイタリアンビストロ「肉炭イタメシittou」で西粟倉村のシカ肉を食べてみてください!
お店の訪問やコース料理の注文は事前予約がスムーズです。>公式WEBサイト
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