【ニワトリガチャ】3品種を交配させて15羽をミックス孵化させてみた

自宅の庭でニワトリを飼育し始めて1年以上が経過しました。

いつか第1世代のニワトリが卵を産まなくなってしまう時に備え、第1世代の3品種を交配させて第2世代を孵化させてみました。

まるでニワトリガチャのごとく色も形もさまざまなヒヨコが産まれました。高校生物の授業のようですが、非常に学び深く面白い結果になったので備忘録がてらキーボードを叩いています。

こんな人に読んで欲しい
  • 半ペット・半家畜のニワトリ飼育に興味がある
  • 子どもの教育も兼ねてニワトリを孵化させペットとして育ててみたい
  • 産みたての美味しい卵鶏肉を味わいたい

都市部ではニワトリ飼育は周辺住民の配慮も考慮するとハードルが高いですが、かつてニワトリは日本全国の軒下で当たり前のように飼育されていました。

一定数のメスを飼育すればスーパーマーケットで卵を買う必要は無くなりますし、家庭で出る野菜クズなどの生ゴミはニワトリが美味しく食べてくれます。親鶏の肉はコリコリした歯ごたえで旨味たっぷり、感動する美味しさです。

かわいいだけではなく実用的な半ペット半家畜なニワトリ飼育が広がるきっかけになれば嬉しいです。

今回の実験のまとめ
  • 第2世代は有精卵16個に対しヒヨコ15羽が孵化、孵化率は驚異の94%
  • 交配パターンは想定できても実際に孵化したヒヨコがどのパターンかは判断しにくい
  • 第1世代の親は卵を温めたりヒヨコを育てていないので第2世代を子どもだと認識していない

ハダ

第1世代は9羽でしたが、第2世代が15羽産まれたことで合計24羽の大所帯になりました。近所のオジジやオババにニワトリハウスと言われそう…

自己紹介:中山間地の庭付き一戸建て 移住7年目

ニワトリを飼育するにあたっては「どんな地域で、どんな家に住んでいる人がニワトリを飼育するのか?」を気にする人も多いはずです。自己紹介も含めて我が家のニワトリ飼育環境は以下です。

ハダの自己紹介
  • 岡山県北・人口1,400人の村・西粟倉村で生活(移住7年目)
  • 材木屋「西粟倉・森の学校」に勤務
  • お妻さまと2人暮らし
  • 平屋の戸建住宅(築7年)で生活 薪ストーブ薪ボイラーあり
  • ご近所さんに120㎡の畑を借りて野菜づくり
  • 狩猟免許保持(わな猟)→くくり罠の猟師7年
  • 趣味はトレイルランニングMTB

自宅でニワトリを飼育しやすい条件が整っていました。

  • 山に囲まれた村の集落で生活し、近隣住民の了承を得られた
  • 材木屋勤務なので鳥小屋の材料=木材が簡単に手に入り工具も揃っている
  • ニワトリを放し飼い飼育するための庭がある
  • 畑もあるので、鶏糞は畑の肥料に利用できる
  • 狩猟で獣の捕獲・解体をするので、卵を産まなくなったニワトリを解体して食べられる
  • お妻さまがフリーランスでデザイナーをしており自宅=オフィス。家を空けることが少ない

狩猟や農耕に取り組む延長でニワトリを飼育したら新鮮な卵も肉も手に入るのでは?と1年前に家庭養鶏をスタートさせました。

我が家のニワトリ飼育状況

2021年8月現在、我が家のニワトリの飼育状況は以下です。

現在3品種、計9羽のニワトリを飼育しています。

  • 名古屋コーチン メス3:オス2 有精卵から孵化
  • ホシノブラック メス2 ヒヨコで仲間入り
  • 烏骨鶏 メス1:オス1 大人になってから知人宅から仲間入り

名古屋コーチンは有精卵から孵化

名古屋コーチンは有精卵から孵化させて飼育しています。

実は有精卵の孵化は1度失敗しています。孵化器内の温度設定が甘かったため10個の有精卵が1個も成長しないまま終わってしまいました。2度目は孵化器を新調し温度管理も徹底し、10個中7個の有精卵を孵化させることができました。

7羽のヒヨコを生育をしていましたが、大人になってからメス1羽は知人宅に婿入り、オス1羽は解体・精肉して食べたため、2021年8月現在は5羽の名古屋コーチンを飼育しています。

卵も安定的に産みますし肉の旨さは国内を代表する地鶏として有名ですね。

ハダは愛知県出身なのでニワトリを育てるなら名古屋コーチンと決めていました(笑)

ホシノブラックはヒヨコから合流

ホシノブラックは孵化後2週間程度の状態から我が家にやってきました。

ホシノブラックは個人養鶏業者のニワトリブランド名で品種で言えば「おうはん」と呼ばれます。

知人がニワトリ飼育を始め、ヒヨコ状態のホシノブラック(メス)を共同購入したので(最低ロット50羽!)、2羽を分けてくださいました。

ヒヨコの時は子どものカラスみたいな見た目でしたが、すっかり成長して我が家では1番の年長者=お姉さんです。

大人しい性格で安定的に卵を生み続けてくれます。

烏骨鶏は雌雄ペアで大人になってから合流

烏骨鶏はニワトリ飼育をする村の知人宅から我が家に合流しました。名古屋コーチンのメス1羽が婿入りした代わりに烏骨鶏の雌雄ペアが合流しています。

ニワトリなのに足指が1本多い、トサカの代わりにコブが生えている、と変わった見た目がかわいい品種です。

名古屋コーチンやホシノブラックと比較する一回り小柄です。

大人になってから合流したせいか先輩の名古屋コーチンやホシノブラックにいじめられがちですが、素早く背中に乗り掛かって交尾を迫る姿はたくましいです。

烏骨鶏のメスは毎日安定的には卵を産まず2〜3日に1個小ぶりな卵を産みます。定期的に産卵箱に居座っては巣ごもり状態(抱卵期)に突入してしまう困ったムスメちゃん。

孵化後5ヶ月で卵を産み始め、毎日のように卵を産むが産卵数は年々減少する

一般的にニワトリは孵化してから150日程度で卵を産み始めると言われています。大雑把には孵化後5ヶ月ですね。

卵が産まれた後、次の卵が産まれるまでに最短23~26時間ほどかかると言われています。厳密には24時間以内に2個の卵が産まれることもありますが、1年間で365個が最大で1日1個の産卵が能力の限界とされています。

ニワトリの寿命は10年を越えますが、産卵個数は年々減少し7~8年でほぼ停止すると言われています。

しかし、スーパーマーケットで購入する採卵用養鶏はもっと短いサイクルで生命を全うします。

産卵を始めてから1年が経過すると、産卵率や卵の質が低下して新しい羽に生え変わる換羽が起こり、休産期に入る鶏が出てきます。

そして、産卵開始からおよそ1年半〜2年後、採卵鶏は新しい鶏と入れ替わり(廃鶏となり)、生涯を終えます。

実際に孵化させてみた

第1世代は3品種9羽いますが、そのうちメスは5羽。そのため毎日3〜4個は安定して卵が手に入ります

夫婦2人の生活では卵が余ってしまうことも多く、友達におすそ分けしながら自然の恵みを味わっています。

ニワトリは群れで順位付けする生き物ですが、基本的には毎日3品種問わず交尾を繰り返しています。また、有精卵と無精卵の判別方法が無いため、すべて有精卵だと仮定しています。

毎日3〜4個産まれる卵を冷暗環境で保管し、孵化器に入る限界12個の卵を孵化させます。

第1段は名古屋コーチンとホシノブラックの卵12個を孵化させ、孵化器が空いたタイミングで第2段として烏骨鶏の卵3個を孵化させました。

孵化させた卵の内訳は以下です。

  • ホシノブラック由来(オレンジ色) 7個
  • 名古屋コーチン由来(桜色) 5個
  • 烏骨鶏由来(ちび卵) 4個

孵化器の選び方や孵化方法のコツ、孵化後の飼育環境の構築などは別の記事で紹介しています。<有精卵を孵化させて名古屋コーチンを育ててみた ニワトリ家庭養鶏の準備と手順のまとめ>

孵化開始から10日前後で検卵が可能になります。

上の動画のように懐中電灯に当てることで卵の中身が透けて見ることができます。

検卵時は16個全ての有精卵が成長していることを確認できました。

孵化器に入れて加温を開始してから21日目で有精卵は孵化します。

すぐに卵を割ることができずピヨピヨピヨ…と鳴き声だけが響く時間帯が続きますができる限り手を貸してはいけません。自分の力で殻を蹴破るまでじっと辛抱します。

第1段の名古屋コーチンとホシノブラックの有精卵12個は全て孵化、第2段の烏骨鶏の有精卵は4個中3個が孵化しました。

合わせて卵16個中15個が孵化したので孵化率は94%です。

有精卵を鮮度高い状態で孵化器に投入すること、温度管理の徹底が功を奏しました。

有精卵16個中、唯一孵化しなかった烏骨鶏の卵1個です。

諦めて殻を割ってみるとかなり成長しており産まれる寸前でした。殻が固くて蹴破ることができなかったのでしょうか。庭に埋めてあげました。

今回の第1段・第2段の有精卵孵化は高い孵化率で終わることができましたが、過去には2回有精卵を孵化させており成功も失敗もしています。

初めて有精卵を孵化させようとした1回目は10個の有精卵から1羽も産まれることなく終わっています。

改善点を洗い出し(上記事参照)、2回目の挑戦で産まれたのが現在の第1世代の名古屋コーチンです。第1世代の名古屋コーチン5羽(かつては7羽だった)は有精卵10個中7個が孵化と孵化率70%。大きく改善することができました。

ニワトリ3品種から想定できる第2世代の孵化パターン

我が家のニワトリ3品種から想定できる第2世代の孵化パターンは上図の通りです。

ホシノブラック(オス・メス)、名古屋コーチン(オス・メス)、烏骨鶏(オス・メス)の組み合わせの場合は、2×2×2=2の3乗=8通りですが、ホシノブラックはメスしかいないため6通りです。

名古屋コーチンと烏骨鶏の組み合わせであるウコーチン名古屋コッケイは親のパターンが同じなので重複を削って7通りとする考え方もあります。

しかし、烏骨鶏の卵はホシノブラックや名古屋コーチンの卵に比べると1回り小さいです。メスがどちらの品種かで卵の大きさも変わるためパターンとして分けて考えています。

実際に産まれたヒヨコは、白・黒・茶色・まだら模様と様々な見た目のものが産まれました。か、かわいいっ…!

しかし、ニワトリの群れの順位付けの問題もあり、3品種の親が全て交尾し有精卵を産卵しているとは限りません。上記6通りの交配パターンを満たしているかは不明です。

有精卵の色は生んだメスと一致するため判別が可能です。

名古屋コーチンなら桜色、ホシノブラックなら濃いオレンジ色、烏骨鶏なら他よりも一回り小さい卵を生みます。産まれた個体と卵の色だけでも記憶できるように足輪を付けておくべきでした。

上の動画は第2段の烏骨鶏の卵を孵化させた時のもの。同じ卵でも毛の色はもちろん、地肌の色まで違います。ホシノブラックや名古屋コーチンは地肌の色が肌色ですが、烏骨鶏は(白色の羽なのに)地肌は黒いんですね。

色が違うだけではなく、よく観察してみると目つきや性格も大きく異なります。

好奇心旺盛で何にでも興味を持つヒヨコ、不安がちで群れから離れるとピヨピヨと鳴き叫ぶヒヨコ、マイペースで動かず眠ってばかりのヒヨコ…それぞれに特徴があって面白いですね。

卵の種類とヒヨコの見た目のまとめ

今回の第2世代の孵化に使用した有精卵の種類は以下です。

  • ホシノブラック由来(オレンジ色) 7個
  • 名古屋コーチン由来(桜色) 5個
  • 烏骨鶏由来(ちび卵) 4個(うち1個は孵化せず)

そして、生まれたヒヨコを大まかに見た目で選別すると以下になりました。

  • 黒色  1羽 ホシノブラック由来の黒色1羽
  • 白色  4羽 ホシノブラック由来の白色4羽
  • 黄色  7羽 ホシノブラック由来の黄色2羽、名古屋由来の黄色5羽、
  • 烏骨鶏 3羽 烏骨鶏由来の白色1羽、黄色2羽

黒色のホシノブラックが産んだ卵から生まれたヒヨコは黒色か白色でした。いずれの色も羽には模様が付いています。どちらが名古屋ブラック烏骨鶏ブラックか判断できません。

7個のホシノブラックの有精卵から生まれたヒヨコの色は黒色・白色・黄色の3種類。

群れの中でヒエラルキーが高くお姉さん的存在のホシノブラックが下っ端ギャングの烏骨鶏オスと交尾に成功した様子を見たことがないので、烏骨鶏ブラックの可能性は低そうです。

ということは名古屋ブラックの交配パターンから黒色・白色・黄色の3種類の色が発現したと言えるかもしれません。

茶色の名古屋コーチンが産んだ卵から生まれたヒヨコは全て黄色になりました。これは確率から言えば純正名古屋コーチンだと思いますが、ウコーチンが混ざっていないとは言い切れません。

白色の烏骨鶏が産んだ卵から生まれたヒヨコは白色1羽、黄色2羽でした。そのうち白色は地肌が黒いので純正烏骨鶏の確率が高そうです。黄色2羽は名古屋コッケイでしょうか。

いずれにしろ3羽ともニワトリには無く烏骨鶏の特徴と言える、足指が1本多い形状は発現しています。卵を産んだメスの品種が色濃く反映されているのでしょう。

親は自分で育てたヒヨコでないと子供だと認識できない

ヒヨコの成長スピードは目を見張るものがあります。生まれたてはか弱い印象ですが、2週間も経てば体が倍近く大きくなり元気に走り回るようになります。

2021年8月現在、第2世代(第1段のホシノブラックと名古屋コーチン)は孵化後1ヶ月経過したので屋内飼育から屋外飼育に切り替えています。

第1世代の親たちも自分たちが産んだ卵ではありますが、卵を温めたわけでもなく、ヒヨコを育てたわけでも無いので自分たちの子どもだとは認識していない様子です。DNAは確実に繋がっているんだけどな、なんだか少しさびしい。

親は「なんやコイツら新入りがピィピィ泣きよって」とマウンティングして餌を奪い取る、子どもは「この大人たちめっちゃイジメてくるやん、はよ逃げよ」と逃げ回っています。

今回の第2世代15羽の孵化の結果をまとめると以下です。

今回の実験のまとめ
  • 第2世代は有精卵16個に対しヒヨコ15羽が孵化、孵化率は驚異の94%
  • 交配パターンは想定できても実際に孵化したヒヨコがどのパターンかは判断しにくい
  • 第1世代の親は卵を温めたりヒヨコを育てていないので第2世代を子どもだと認識していない

第1世代9羽+第2世代15羽=計24羽と我が家の庭をニワトリが飛び回りいっそう騒がしくなりました。ニワトリが早朝4時台から鳴き始めるので最近はすっかり朝型生活です。